絶対城先輩の妖怪学講座 十 (メディアワークス文庫)

【絶対城先輩の妖怪学講座 十】 峰守ひろかず メディアワークス文庫

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四十四番資料室の怪人・絶対城が紐解く伝記ミステリ、待望の第10弾!

『白澤(はくたく)』に襲撃された狐からの情報を受け、警戒を強める絶対城たち。そんな中迎えた夏休み。つきあって初めての長期休みにもかかわらず、礼音は一人、牧場で短期のアルバイトに励んでいた。
優しい夫妻が営む牧場を気に入る礼音だが、いるはずのない子供の影を見てしまう。心細さを感じつつ、休日に近くの川で水浴びをしていると、そこには礼音を心配した絶対城の姿が。二人は牧場主夫妻の発言に疑いを持ち始め──?
“予言”に纏わる妖怪たちの謎に迫る第10巻!
前巻のラストの急展開に胃がキューッとなってたんですが、良かった、さすがは狐さんである。せっかく、絶対城先輩と礼音が付き合い始めたというのに、あんな事があったら浮かれてなんていられませんもんね。
もっとも、この二人が付き合うって具体的になにするのよ? と想像もつかなかったのだけれど、どうやら当人たちにとっても全くイメージが湧かなかったようでお互いどうしたらいいのかわからず、何となくぎこちなくなってしまっているご様子で。
それでも、傍から見てる感じだと本人たちが気にしているほどギスギスしてる事はなくて、当人たちは居心地悪いのかもしれないのですけれど、普通にイチャイチャしてますよ、貴方たち。変に会話が続かないってわけでもないですし、反応に失敗して気まずい雰囲気になったりということもなく、なんだかんだと柔らかい空気感が二人を包んでますし。まあこの二人の場合、定番の妖怪話というネタがありますからね。絶対城先輩はウンチク語らせてたらそれだけでペラペラ喋ってくれますし。それに、こうして見てると礼音ってかなり聞き上手なんですよね。合いの手を入れるタイミングも絶妙だし、疑問に思ったことも良いタイミングで尋ねるし、的はずれなことを聞いて相手を閉口させるような真似もしませんしね。無知だったり素人だったりしても、相手の話をちゃんと興味を持って聞いていたら、変なことは聞かないんだよなあ。お陰様でか、絶対城先輩も随分と喋りやすそうで。
そうやって普通に妖怪の話をしているだけでも、二人の間に流れる空気はポカポカしていて、ご馳走様ですってなもんであります。世間一般の恋人同士とはそりゃあ全然違うんだろうけれど、この二人はこれで十分ラブラブカップルしてますよ、うん。

さてさて、物語の方はというと、ついに白澤と呼ばれる何者かの謎へと踏み込むことになってきた絶対城先輩たち。また、白澤に近しい「予言獣」と言われる妖怪たちが今回のテーマにもなってましたけれど、たしかにこの予言獣ってわりと最近の言葉なのかなあ。「件」などの話で他の作品でも予言獣という言葉はチラホラと見たことはありましたけれど。
しかし、一連の様々な予言獣の正体をこう関連付けていくとは。実在する予言獣の真実をこのような形で位置づけたのは面白かったんだけれど、同時に予言獣と白澤との関連性にも言及していた以上は、あの予言獣の正体ってのは白澤の正体とも無関係ではないってことなんでしょうねえ。
前回のラストにも引けを取らない最後の衝撃的な展開も、あの予言獣の正体に関連付けてみると色々と想像の翼も羽ばたいていきますし。しかし杵松さん、ずっとこう「あれ」なポディションだなーと思いながらも四巻あたりで怪しい役回りを請け負って以来、一切変なとこを見せなかったものですからそろそろうがった見方するのはやめようと思ってたらこれですよ。ついに来たなあ、という感じですねえ、うんうん。
それにしても、準レギュラーの礼音が通う道場の小学生・蒼空くんが一つ年上の剣道少女の海晴ちゃんとと同級生の子清香、二人共以前事件で知り合った子たちだけれど、二人の女の子と面白い関係になってて、この野郎である。まあ三角関係というより、海晴←蒼空←清香という一方的なそれなんだけれど、小学校六年生でこの野郎である。長ずれば主人公だなあ、うんうん。

シリーズ感想