境域のアルスマグナ3 紅蓮の王と幽明境の君 (MF文庫J)

【境域のアルスマグナ 3.紅蓮の王と幽明境の君】 絵戸太郎/パルプピロシ MF文庫J

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混沌と騒乱を愛する、無貌の影――《幽明境の君》ダビド・パピヤス。

《継ぎ接ぎ公爵》レオ・フランケンシュタインを退けた怜生。それを期に連盟は、妖精人の国を建立する計画を本格始動させる。一方〈青の医術師団〉が世界的な糾弾の対象となり、その騒動を衝いて人造人間(ホムンクルス)の少女たちが脱走を果たす。彼女たち、イロハ、ニイナ、サクヤは自分たちの夢を叶えるため〈緋の龍王〉に戦いを挑むのだが――。さらに、既にこの世に存在しないはずの人物までもが、怜生の前に姿を現す。誰もが夢を憧れを願いを抱き相対する黄金巨樹の上、怜生と花蓮は理想郷に至るのか!? 超絶過激な魔王の狂宴、再び誓いの言葉を交わす第三幕!
ああ、3巻で終了かー。近年の新人さんの中では屈指の歯応えのある作品だったんだけれどなあ。自分的にはドストライクだったのですが。登場人物を大量に投入しすぎた、というのをあとがきでも書いてらっしゃいましたけれど、正直持て余している風でもありませんでしたし、今回話しを畳まないといけないということで出番が齧られた人たちもいましたけれど、長期シリーズへの流れに乗れていたならこの登場人物の多さがむしろ強力な武器として機能したんじゃないだろうか、と思えるほどにはキャラ立ち良く出来てましたもんねえ。特に、男の親友二人は白眉でした。このラストでも縦横無尽に活躍してくれましたし、特にここから伸びるキャラだったんだけれどなあ、と惜しむ気持ちが滾々と湧き上がるばかりです。
ただ、物語をたたむにおいても急展開だったり性急にバタバタと話を前倒ししていくような感じでもなく、しっかりこの「境域のアルスマグナ」という物語のクライマックスを立ち上げてるんですよね。しかも、キレイに小さくまとめているわけでもありませんし、途中でばっさり戦いはこれからだ、とやっちゃっているわけでもなく、もしこのシリーズが長く続いても大まかなラストの流れはこれだったんだろうなあ、という貫禄含みの完結編だったのは結構脱帽ものだったんですよね。これなら完結であっても打ち切りとは感じないんじゃないだろうか、と思うくらいに。
境域のアルスマグナというタイトルを大いに意義に感じる展開でもありましたし、最初からラストはこんな感じ、というビジョンがあったんだろうなあ。怜生も、王として見事に立志してみせましたい、一介の主人公としても多くの配下を従える王としても、痛快極まる威風でしたし。王として何を成し遂げるのか、世界に何を刻みつけるのか、という答えもこれ以上無い形で具体的に示してくれましたし、主人公としてやるべきことは全部やり遂げてるんですよね。
もっとやりたいこと描きたい話、キャラたちのあれこれはあったんでしょうけれど、やるべきことはちゃんと全部やってみせた、という意味ではよくぞ3巻だけで、と感嘆するばかりでしたし、意地と構成力展開力というのを見せられた感じです。
いやあ、あの怜生の狂気を内包したキャラといい、周りの人たち、あの姪っ子ちゃんたち含めていい具合にキレているのといい、凄い好みだっただけに、やっぱりもっともっと読みたかったシリーズでした。
次にはぜひ二桁巻数目指して欲しいです。ほんとに。

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