ロード・エルメロイII世の事件簿3 case.双貌塔イゼルマ(下)【書籍】

【ロード・エルメロイII世の事件簿 3.case.双貌塔イゼルマ(下)】 三田誠/坂本みねぢ TYPE-MOON BOOKS

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双貌塔イゼルマ。至上の美を体現する、双子の黄金姫と白銀姫。そのお披露目で起きた殺人事件は、新たな人物――アトラム・ガリアスタとその部下たちの乱入によって、さらに混迷を深めることとなった。彼らに対抗すべく、エルメロイ教室のフラットとスヴィンは師の制止を振り切って暴走し、冠位(グランド)の魔術師・蒼崎橙子は愉しげに観察する。入り乱れる魔術師たちの戦いの中、ロード・エルメロイII世は、美しき死の謎へと挑むが……!魔術と美、陰謀と闘争が交錯する『ロード・エルメロイII世の事件簿』第二幕の結末を見よ。
これフラットくんだけじゃなくて、スヴェンくんの方も十分問題児じゃないか! いや、エルメロイ教室は全員問題児って言われてるそうだから当然ちゃ当然なんだろうけれど、フラットくんのアレっぷりが目立ってたんで突出しているのかとも思ったけれど、この様子だと筆頭ではあっても突き抜けてはいなさそうだなあ。ルヴィア嬢だって近未来ではアレになってしまうわけですし。
しかし、これだけ才ある若者たちの才能を開花させておきながら、それにいちいち嫉妬している先生も大変だなあ。それでいながら、その弟子を護るために自分の人生そのものとも言える「財」を賭けてしまうんだから、この男は……。
しかし、蒼崎橙子やその師匠、のちに第五次聖杯戦争でマスターとして参加することになるアトラム・ガリアスタなどの逸材たる魔術師たちを相手に回しながらも、キャスティングボードを握り続けるのはこの男なんですよね。っていうか、橙子さんを敵に回しながらよく生きてるもんだよ。しかも、この橙子さん、魔法使いの夜並にヤバイ雰囲気まとったバージョンなのに。
だいたいさー、橙子さんあれだけの奇跡の呪物を好奇心だけで使い潰しちゃうとか、そりゃみんな目を剥いてひっくり返るに決まってるじゃん。エリクサー使えない病の自分からスルと発狂モノである。ちなみに、FGOでも聖杯まだ誰にも使ってないww
石油王ことアトラムくん、そもそもメディアじゃなくて最初ジークフリートを喚ぶつもりだったのかー……いや、性格的にアポのおっちゃんよりも合わないでしょう、それ。ただ、メディアに嫉妬しまくった挙句に無能の極みみたいな扱いでボロクズにされてしまった末路から想像していたよりも、遥かに有能でしたたか、という印象なんですよね、彼。現代の魔術師としては非常に有能だったんじゃないだろうか。天候魔術なんかでも手放しで褒められてたし。ただ、その魔術自体は年代を経ていないこともあって確かに二流なんですよね。その魔術を使う技術、戦闘技能に関してはまさに一流そのもので、だからこそ魔術使いと誹られることになるのだけれど。それに激高する魔術師としてのプライドの高さがこそが彼の末路を決めてしまったのかも。敢えて自分を魔術使いと位置づけるならメディアともうまくやれたんじゃないだろうか、とすら思う。まあ無理か。あのアトラムが示したエルメロイ先生への共感というのは何だったんでしょうね。あくまで上から目線ではあったものの、見下すというほどでもなく、えらい好感示してましたし。彼の魔術への自信と歴史の浅さのコンプレックスが、エルメロイ先生の在り方に何か思う所を示したのだろうか。
さて、事件の方はというとそもそもミステリーで双子ネタというところから予想できる範囲は狭まっていたものの、何しろ黄金姫と白銀姫のインパクトがすごすぎたせいでまさに盲点を突かれたという感じだった。というか、これ橙子さん居る前提じゃないと成り立たないしなあ。色んな意味で便利過ぎる。技術も然ることながら、その自由過ぎる精神性といい。この人、間違いなく青子先生と姉妹だよ。
しかし、この事件の真相に近づくきっかけがグレイの過去に繋がるとは。やっぱり彼女、最重要ヒロインなのね。単に「似ている」わけじゃないのか。そりゃそうだよなあ。偶然なんかだけで成立するほど、魔術というのは、魔術世界の闇というのは浅くはないか。そんなグレイにえらい優しいライネス嬢。性格的にというかドSの性向的にグレイの抱いている闇とか性格とかめっちゃ弄りたそうにしているくせに、我慢しているところは偉いものである。まだ本人が意識しているかはわからないけれど、ほんと友達なんだ。
にしても、グレイの死神の鎌が単なる「槍」の偽装だけではなく、色んな武器に変形するのはこれ浪漫だなあ。趣味全開じゃないですかー!! よし、もっとやろうぜ!

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