魔王、配信中!?2 (講談社ラノベ文庫)

【魔王、配信中!? 2】 南篠 豊/れい亜 講談社ラノベ文庫

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勇者の家系である日下家に居候している引きこもリア充こと、魔王イスティ。協力して作ったMMD動画が300万アクセスを叩きだし、力を取り戻すも勇者パワーにあっさりと屈してしまう。そんな彼女の前に、最近流行りの○ーチューバーネットアイドル、『魔法少女レインボーキャット』が現れる。自らの存在価値に悩んでいたイスティは、キャットにそそのかされるままに日下家を飛び出してしまい――。一方日下家でも、勇真と友人の少女・奏多の仲がアレな感じになったり、妹・雪凪が初めてのイラスト仕事に悩んでしまったり――! 仲良く動画を作ったあの頃には、もう戻れない!? ハイテンションラブコメ、次は○ーチューブに進出の第2弾!
あっあっ甘酸っぱいぃぃ!!
前回はすれ違ってしまった兄と妹の関係修復物語であって、ラブコメしている余裕なんか一切なかったのだけれど、あれこれと家庭問題解決してしまってふと我に返ってみるといつの間にか目の前に、本来なら在りえないほどの近い距離にいる親友が。ということで、落ち着いてしまうと今まで気にする余裕がなくってそのままにしていたものにぶち当たってしまうわけで。これ、改めて知らん振りするには、お互い距離感見失ってしまってるんですよね。今まで通りの関係で、なんて今までがある意味平静でなかった分、どうやったらいいかわからないし、そもそもそれでお互い納得できるような感情じゃあなくなってしまっているわけですよ。
妹の雪凪との関係がかつての没交渉が嘘みたいに仲良しになってしまったのとは別に、キャットの登場で居候でいつの間にか家族となってたイスティが不穏な行動を取り出して、またぞろややこしいことになりはじめたことも、関係を元に戻すどころか急き立てることになってしまって。この勇真と奏多の二人して積極的なのかヘタレなのかわからん余裕なさすぎてお互いプロレスのちから比べみたいにつかみ合って押し合いへし合いしたと思ったらへっぴり腰になって、というやり取りがもう可愛いやら甘酸っぱいやら。二人共元々突っ張った気合入ってるタイプなだけに、押すとなったらガガガって押してしまうのが勢いこそ若者よねえ、という感じでなんともおもはゆいのよねえ。奏多姐さん、あの男前な性格なくせに女っ気でだすと途端に面倒くさい女になってるのがむしろらしい感じなんだけれど、勇真はあれ、惚れた弱みか付き合い出してからのあのへこへこっぷりはなんなんだろうね。何気に妹ちゃんへのおっかなびっくりの対応見てても、何気に女の子には弱いんだよなあ、こやつ。
あくまで惚れた女には、という限定なのはイスティへの容赦ないビシバシ制裁見てるとよくわかるのだけれど。でも、あれで家族としての愛情がたっぷり篭っているのは、イスティが出ていったあとの不機嫌さやもやもや吹き飛ばすための暴れっぷりを見てると伝わってくるものが十分あるわけですが。
前回は、雪凪の社会復帰のためにみんなでそれぞれの技能を持ち寄って一緒に一つの作品を作ろう、という一代プロジェクトを達成する、みたいな物語としての一本の道があってそれはそれでよかったのだけれど、今回はそういう縛り、敢えて物語の筋道としての流れを縛り、というけれど、それがない分、わりと自由に各人が動けていた気がするんですよね。そのお陰でイスティが随分と迷走はしたわけですし、それの巻き添えをくって勇真もえらいウロウロしてしまっていましたが、だからこそお互いの個々の人間関係や、キャラクター同士の大きな括りとしての人間関係の環の中でのそれぞれの立ち位置、役割を様々な側面や方向から改めて見ることが出来たり、知ることが出来たり、明らかになったり、という展開が積み重なっていて、一巻の話を踏まえた上での大きな飛躍であり、土台の上に家を建てました、みたいなホームとファミリーの現出があって、なんか読み終えて凄く満足感がありました。ラブコメものとファミリーものとしての両方の形が、見事に両立したのをこうして振り返ってみると実感できる次第。二巻でキレイに片がついた形でもありますが、まさに良作でありました。よかったよー。

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