最底辺からニューゲーム! 2 ~奴隷商人は次に地位と名誉と無垢な少女を手に入れます~ (HJ文庫)

【最底辺からニューゲーム! 2.~奴隷商人は次に地位と名誉と無垢な少女を手に入れます~】 藤木わしろ/柚夏 HJ文庫

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奴隷の立場から一転、「お人好しの奴隷商人」として出世街道を爆走中のタクミ。そんな彼の功績により、下層地区の商会だった“鈴蘭”は、国家公認の四大商会の一角にまで上り詰めていた!しかしその程度では当然満足などしないタクミは、新たな事業と人脈作りに勤しむべく、王家主催の立食会へと参加するが―「籠の中の鳥は…自由に啼くことすら許されないのです」奴隷のように扱われる幼き大司教の少女リーゼと出会ったことで、タクミは世界の常識をぶち壊し、彼女を救うことを決意する!!奴隷転生からの痛快ファンタジー、出世しまくりの第2弾!
おおっ、これは面白いぞ。
ゼロから立場と人間関係を構築していく、というか勝ち取っていく足場づくりを描いた一巻と違って、二巻はいわば役者が揃い舞台が整ったところからはじまるわけですけれど、タクミがやりたいようにやるための手段と立場と人脈が出来ているためか、前回よりもさらに話に躍動感が出てきた感じがします。やっぱりある程度以上舞台が整っていた方が、話を動かしやすいタイプの作家さんなんだろうなあ。タクミがやりたいようにやるのは当然なのですけれど、それに合わせて周りのキャラクターがしっかりと合わせて動いてくれるのは、一巻で積み上げた信頼関係とキャラ描写の蓄え故なのでしょう。貯めがきいている分、タクミだけでは広げきれない世界を縦横に拡張してくれていますし、彼ら彼女らが動いてくれて出来た余裕分をもって、新キャラクターである大司教リーゼや女王陛下などもハードルを高くせずに物語の中に入ってこれた印象があります。
合わせて、この憎ったらしい敵キャラ、あるいはヤラレ役の描き方もまあうまいんですよね。まさに、全力でぶっ飛ばしてくれ、と心から思えるいやらしい悪役の配置が絶妙でカタルシスを得やすいんですなあ。一方で、小物ばかり相手にしていると主人公サイドの格も下がってしまうので、ちゃんと底知れぬ手強くある種のヴィランとしての格調を持った大物も用意しつつ、そんな大物をすら飲み込むかのようなタクミという主人公の、ちょっと悪役じみた「計画通り」とほくそ笑むような素振りがまたそそるわけです。同時に、そんな遠謀を一人の少女を助けるためにあっさりと放り投げる情の深さを垣間見せて、計算高い人物にありがちな冷淡さを感じさせず、それでいて大丈夫問題ないと言い切ってくれるような頼もしさも見せてくれるという、まあこうなんというか……甲斐性のある主人公ですなあ。
物語的にもただ悪人をぶっ飛ばす、という勧善懲悪な流れだけではなく、貴族に国政を握られている女王がいわゆる絶対王政的な王権への権力の集中をもくろんでいる流れにタクミが乗っかる、或いはお互いに目的を確認しあい利用し合う、わりと悪人同士意気投合して悪い顔して悪巧みしている女王陛下と奴隷商人、的な物語の裏面もあって、あれやこれやとなんとも楽しいものがある。
女王陛下のあの優しく情け深い側面と、計算高く利用できるものはなんでも利用するという結構な悪人な側面が違和感なく両立しているところは、かなりタクミと似通っていて、まさにこう……政治家だなあ、とうなずかされる次第である。
なんにせよ、キャラもストーリーもメリハリのついた動きある内容で、うん一巻から見てもかなり面白くなってきた。

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