浅草鬼嫁日記 三 あやかし夫婦は、もう一度恋をする。 (富士見L文庫)

【浅草鬼嫁日記 三 あやかし夫婦は、もう一度恋をする。】 友麻碧/あやとき 富士見L文庫

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かつて鬼の姫“茨木童子”だった前世の記憶を持つ女子高生、茨木真紀。彼女と同じく元あやかしの天酒馨や継見由理彦を巻き込み、あやかし世直し&やり直し人生を謳歌中!そんな三人の前に現れたのは、前世の宿敵“安倍晴明”の生まれ変わり、叶冬夜だった。叶は真紀たちがお互い前世にまつわる重大な嘘をついていると暴き立て、三人の関係を壊しにかかる。叶の言葉に真紀と馨はギクシャクしたまま、修学旅行で京都を訪れて…?宿縁の地で明かされる前世の真実。鬼嫁夫婦の恋物語はここからはじまる!
大激震の真実じゃないかーー!!
これは確かに、三人の関係を根底から変えかねない「嘘」だった。そもそも本作って、真紀ちゃんがメインで描かれることが多い話だっただけに、彼女が見せている姿をありのままで捉えてたんだけれど、彼女が抱えていた嘘を踏まえて振り返ってみると、なんか泣けてすら来るんですよね。
この現代に、こうして人間として生まれ変わり、愛する酒呑と再び巡り会えた。それがどれほどの奇跡だったのか。彼女がかねてから語っていた茨木童子の末路から鑑みても、この時代に馨や由理と再会できたことは奇跡以外の何物でもなく、その重さは理解できていたつもりだったんだけどなあ。明るい真紀ちゃんの姿に安心してしまっていて、その重みを本当は何も理解出来ていなかったことに気付かされる。
これは、馨もおんなじで。というか、馨が主犯で。お前、一巻でまだ夫婦じゃないとか言ってたの、万死に値するぞ。彼女があやかしたちを慈しみ、困っている彼らを助けてまわり、友との時間を大切にし、満面の笑顔で馨に絡んでカラカラと笑い声を立てる。そこに込められていた想いの深さを、馨も読者サイドもこれは何もわかっていなかったんじゃないだろうか。
その愛の深さを、何も理解してなかったんじゃないだろうか。それをわかってたのは、きっと由理なんだろうね。ああ、そりゃ茨姫の従者たちが馨に対して思う所あるのも仕方ないわ。これは仕方無い。
正直、この三人の間に嘘がある、と指摘して引っ掻き回した清明先生には歯噛みしたくなるけれど、彼が言う今世のおいて人間となった彼らには幸せになってほしい、というかしたる! という彼の意図の意味は渋々ながらわかるんですよね。真紀ちゃんがついている嘘は、とてもとても優しいもので馨を愛するが故のものだったのは間違いないんだけれど、それは馨が知らなきゃいけない真実だった。知らなくても幸せにはなれたかもしれないけれど、それは真紀にずっと嘘をつかせるということだ。彼女が永遠に罪を抱え、負の遺産をうちに押し込め続けることだ。それを、引き受けてこそ夫婦ってなもんだろう。彼女の真の想いを、夫なら知りたし知るべきだったろう。
自分たちがこうして再会できたことの奇跡の意味を、思い知るべきだろう。
故にこそ、清明先生は意地悪だけれど、きっと正しかったのだ。でも気になるのは、彼があくまで人間の味方である、というのを強調していたところなんですよね。話していた時は、その流れからして真紀ちゃんと馨のことだとばかり思い込んでいたんだけれど……。あとになってみると、もしかして、と思わざるをえないもう一つの衝撃的な真実が明らかになってしまったわけで……。
ともあれ、本作は真紀ちゃんが偉大すぎて、女性が器大きすぎて、もう男の子たち頑張れ、としか言いようがない。馨はもとより、浅草互助会の兄さんとか、津場木くんとか。頑張って苦労しろ!! 元から苦労性な連中だけれど、頑張って苦労しろよー。

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