悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました (角川ビーンズ文庫)

【悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました】 永瀬さらさ/紫 真依 角川ビーンズ文庫

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Kindle B☆W

婚約破棄され前世の記憶が甦り、乙女ゲーム世界へ転生したと自覚した令嬢アイリーン。でも前世の記憶は不完全で、破滅フラグが立ったのに、回避方法がわからない。確実なのは、全ての破滅フラグの起点が、ラスボスの魔王クロードだということ。「ではクロード様をわたくしのものにすれば死なないわよね?」かくして魔王の愛を得るために、求婚したり、魔物を助けたり、起業したり…悪役令嬢が狙う、一発逆転ハッピーエンド!?
これ、メンタリティの方は前世の記憶が戻ってきたとは言っても殆どアイリーンのまま、というパターンですね。元々英邁な女性で個人的に事業を展開していたり、人脈を広く持っていたり、と没落の危機に陥っても味方してくれる人が沢山いる状態だったようですし。ってか、味方というより手下ども、という雰囲気なのは悪役令嬢らしい、と言えばそうなのでしょうけれど。むしろ、記憶が戻ったことでリミッター外れてガンガンいこうぜ!になってしまったというべきか。元々行動力があるタイプだったのが開き直った上に婚約者を立てる、という自分が陰に回って支えるという立場を放棄したが故にか、もうイケイケドンドンになってしまって。それがまた痛快な行状になっているのですけれど。
いきなり押しかけてきた、貴方を飼いますわ!とか言われて動揺する魔王さま、大変ご愁傷様です。感情を表に出さない氷の王子様、みたいな体を装いながら、その実感情が自然現象として発露してしまうので、内心ダダ漏れな魔王さま可愛いです。動揺するたびに落雷が落ちまくる、というのは結構迷惑な気もしますけれど、初回を除いてアイリーン完全に慣れてしまっているのがワラタ。
怒ったり悲しんだり喜んだり、という喜怒哀楽も晴れたり曇ったり雨降ったり、と実にわかり易すぎて、アイリーンの手下たちの人間たちにも魔王さまどう感じているか丸わかりになってしまってて、なんかもう親しみやすい魔王さまになっちゃってませんか?
基本的にアーモンドやベルゼブブといった魔物たちも、素直で疑いを知らない無垢な生き物なので、アイリーンにイイように飼いならされてしまって、わりと速攻に魔王の妃殿下みたいな感じで収まってしまって……。慕われているのも確かなのですけれど、見事に魔物たちに君臨してしまっている風情で。正直、この悪役令嬢と魔王さまカップルコンビに優秀な手下ども、というチームに対してはメインヒロインと王子たちは小物がすぎて相手にならなさすぎました。もうちょっとこう敵役にしても格好つけてほしいものですけれど、無様でしかなかったもんなあ。ちょいとこのメンツに対しては役者不足がすぎましたね。
とりあえず、この女泣かしてみたい、というイイように振り回されながらベタ惚れしてしまった魔王さまの、アイリーンに対する願望にはちょっと共感。こういう高飛車で自信満々でやりたい放題な娘さんには、いい意味でギャフンと言わせてちょい泣きさせてみたいですよね。案外と魔王さま、Sっ気がありますなあ、さすがであります。