暗殺拳はチートに含まれますか?2 ~彼女と目指す最強ゲーマー~ (ファンタジア文庫)

【暗殺拳はチートに含まれますか? 2 ~彼女と目指す最強ゲーマー~】 渡葉たびびと/きただ りょうま 富士見ファンタジア文庫

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俺の彼女で、暗殺拳継承者な葵。彼女との日々は…
「(窓から)遊びに来ちゃった」
「ベッドに潜り込むのはいいけど、ここ4階だぞ?」
相変わらず遊んで、甘えられな毎日!そんな俺たちが挑む、初の大会で立ちはだかるのは、実力急上昇中の大人気アイドルゲーマー・アカリ。なんと彼女は…
「ずっとAIさんを追ってたんだから!」
俺のファンだった!?特訓に割り込んできたり、デートに付いてきたりで仲がどんどん深まる俺たち。アカリに触発されて、葵の暗殺拳&恋人スキルもレベルアップ!?強豪たちを薙ぎ倒して勝ち進む、俺ちの中で頂点に立つのは、果たして…!?

いやいやいや、これ葵ちゃん最強すぎないですか? 戦闘力は前提として、対人コミュ的にも。アカリに対してのあの純真無垢な押しまくりのアタックとか、アカリほとんど抵抗できずに寄り切られて土俵から真っ逆さまに滑落して陥落しちゃってるじゃないですか。
本来なら、新たなヒロイン登場、鋭一の昔からのファンで突然現れた恋人だという葵に嫉妬して、二人の間に割って入ろうとしてくるキャラ配置であり前フリもそんな感じだったのに、いざ宣戦布告とばかりに登場した途端に葵に無邪気な子猫みたく顔面に飛びかかられむしゃぶりつかれて無理やり引っぺがすことも無垢すぎて出来なくて、アワアワやりたい放題されて陥落!! って感じで、むしろこの新ヒロイン、メインヒロインの方にメロメロになってるというかされちゃったんですけど!
いや仕方無い。これはもう葵が強烈過ぎた。一巻での鋭一への無邪気で可愛げ全開な懐きっぷりはヒロインとしても相当な魅力でありインパクトでありましたけれど、そうかー、これ主人公相手限定じゃなくて、わりと全方位なのかー。
どちらかというとマスコットタイプの可愛らしさなのだけれど、それだけにこれは抵抗できない。過去の出来事から、自分から友達を作ろうとせず他人を避けてきたというけれど、この娘暗殺者スキルで学校でも気配消しまくってたから避けられてたのであって、普通にしてたらクラスメイトの方からキャプチャーされて、無理矢理にでも友達とか出来まくってたんじゃないだろうか。それくらい、当たり前にしてても可愛いぞ。動物動画をほっこり眺めてるような存在自体が可愛い、みたいな風格すらある。
最強にして最高の可愛さを、という両立を志すアカリからすると、そりゃ葵は理想形だわなあ。それに対して無闇な反発や敵対という構図にならずに速攻で仲良くなってしまったのは、前述の通り葵の魅力も然ることながら、アカリの人の良さが伺えるというものである。
ただ、そんなふんわりとした雰囲気の分、アカリのゲーマー格闘家としての強さへの飢餓感、夢に対する貪欲さという部分がやや弱くなってしまった感がある。なぜそんな夢を抱くに至ったのか、その夢をかなえるためにアイドルとしてデビューするためにどんなことをしてきたのか、そしてもし夢を叶えたあとどんな自分の姿を思い描いているのか。
設定としてそういうものを備えている、という領域から出切れていなかった感があるのが若干残念でした。アカリの葵への感情、葵のことが好きになり彼女をライバルとして親友として「想う」姿は実に生き生きとしてアカリ自身のものとして輝いていただけに、尚更に。
こういうの、描写に分量を沢山割いたり変に過剰だったり派手な展開にしたりすればそのキャラの「実」になるかというとそういうものでもないから勘所が難しいんですけどね。一度、アカリが離れかけるのはどっちにしても中途半端だった気がしますし。
それはそれとして、肝心のバトルの方はと言うとトーナメントである。大会である! こういうの、十把一からげにせずにそれぞれ個性的な面々が集められたのは、世界観の裾野を広げるのにも一役買っていて、まだB級なのになかなか良いメンツでありました。リアルでもプロ格闘家やってる人も然ることながら、ゲーム世界ならではの流派まであるのか。このゲーム内における最強の存在が、決して超然とした他人を寄せ付けない孤高の人物、みたいなキャラではなく……というあたりが本作のコンセプトの一つであろう「ゲームで楽しく思う存分遊ぼう」をブレることなく体現していて、なんかこうすっごく擽られるものがあったんですよね。ちゃんと正体の知れないミステリアス・キャラはランク2位に配置してあるし。
こうしてみると、作品の土台となる基礎工事と柱の部分はどんどん着実に固めていってる上に、葵という物語におけるあらゆる方向に威力を誇る揺るぎのない最強兵器が存在しているだけに、このままキャラの掘り下げ方も熟れてきたらもっと面白くなりそう。一巻の時に感じた期待感を裏切らずにしっかり伸ばしてくれた第二巻でした。

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