最底辺からニューゲーム! 3 ~奴隷商人は捕まっていても、必ず相手の一歩先をいきます~ (HJ文庫)

【最底辺からニューゲーム! 3.奴隷商人は捕まっていても、必ず相手の一歩先をいきます】 藤木わしろ/柚夏 HJ文庫

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貴族殺害の冤罪で異端審問にかけられることが決まった奴隷商人の青年タクミ。実質的な死刑宣告に等しい状況だが、部下であるカリンたちは「タクミなら自分でどうにかするだろう」と、あえて放置を決め込むことに!そんな中で唯一、タクミを救おうと奮闘を始めた大司教リーゼをミルトに託し、カリンたちは先ごろ任命された叙勲騎士の義務として、魔獣被害を訴える領地へと赴く。しかし到着早々、亜人というだけで領民から受け入れを拒否されてしまい―!?
あははは、これはあかんわ。そんな先の先まで時勢と展開を読んで周到に準備してたら、そのへんの一流どころの悪党じゃ太刀打ちできんわ。少なくとも、行動原理がバレバレになってしまってたら読み切られてしまうわなあ。何か強烈な目的を持つ有能にして容赦呵責のない人物というのは、だからこそ行動が最適化しやすいとも言えるし。
それにしても、これだけの事を易易とやれてしまうタクミ、前世では最初から多くを持ちすぎていたが故に有利すぎてそれが不満だった、という話だけれど、この能力とその扱い方を見てると出自とか生まれた時のスタート時点の有利不利って殆ど誤差でしかないでしょう、これ。よっぽど何か極端な縛りプレイでもしないと大したハンデにならんのじゃないだろうか。
まあある意味自由に動けてても拘束されて牢屋に入れられてても関係なくやらかすであろうタクミは、せめて牢屋でおとなしくさせておいて、当面の活躍は残ったメンバーで、というのが今回のお話でした。死罪確定の投獄を食らったにも関わらず、仲間の誰もが心配すらしていない、というのはそれだけ信頼されているのか、手に負えないと思われているのか。まだ仲間になって間もないリーゼだけが一生懸命に助けるために駆けずり回るのが、なんとも健気で可愛らしかったのですが、最終的に彼女も「タクミぇ〜〜」と半眼になってしまうので、まあ順当ですな。
それにしても、いつの間にかタクミの商会の面々も、彼に関わる周りの面々もタレント揃いになってきて、主人公不在でも物語そのものが躍動しているのはとても良い感触でありました。さすがに、相手の悪役も一筋縄ではいかず、正直取り返しがつかないようなキッツイどんでん返し、ちゃぶ台返しを食らってしまって、あの展開はなかなかに想像を絶するもので有無を言わせぬ厳しいものだったはずなんですが……、完全にあれ、この展開を逆手に取って大逆転どころか、むしろ先を見据えた足がかりとして利用したに過ぎない流れなんですよね。
恐るべきは、これが完全にタクミの計画通りに進行した、というわけではなく、色んな人の窮地を救うために非情に徹すること無く危険を飲み込んだ上で、その上で相手の謀略すべてを踏み台にしてみせたというんだから、どれだけ余裕を見込み柔軟性を仕込んでいたのか。
お陰で、一気にえらいところまで駆け上ってしまったわけですけれど、こっからどこを目指すんだろう、って既に女神様との談話から最終結論は出ているのだったか。ここからさらにスケールアップしていくとしたら、それは楽しみである。

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