英雄覇道の狐巫女 1 (オーバーラップ文庫)

【英雄覇道の狐巫女 1】岩山駆/葉山えいし オーバーラップ文庫

Amazon
Kindle B☆W

君となら戦える。君となら強くなれる――!
天涯孤独の少年と、彼に寄り添う伝説の狐巫女。そんな2人が綴る怪異バトルファンタジー!

「精霊獣」と呼ばれる存在が人間と共存し、長い歴史を歩んでいる世界。英雄の血筋である少年・アルフは、しかし小さな狐の精霊獣しか召喚することができなかった。実の父からも見限られ、ひとり天涯孤独の身となったアルフ。だが彼に寄り添うその小狐は、かつてある英雄に仕えていた「伝説の狐巫女」であった。
狐巫女とともに精霊界で修業をつんだアルフは、その類まれな才能と実力を発揮。またたく間に退魔組織のトップエージェントとなる。そんな彼にある時課された任務。それは、とある学園への潜入であった。
そしてその学園では、精霊獣にまつわるとある事件が発生しており……?
人と精霊、そして魑魅魍魎が跋扈する現代で、新たな怪異譚が幕を開く
そんな粗大ごみを不法投棄するみたいに子供を捨てるとか。ってか、町中に置き去りにしてどうするんですか。普通は帰ってこれない森の奥とか山の中でしょうに。ヘンゼルとグレーテルだってちゃんと森の奥まで連れて行ったでしょうに。いやさ、普通に考えてそんな人通りありそうなところに置き去りにされた子供とか、警察に保護されて保護者呼び出されて怒られるだけじゃないの? そこまで治安悪い社会にも見えなかったし。
狐の精霊獣が伝説のそれだった事にまったく気づかなかった事と言い、このアルフくんの父親ってただのバカなんじゃないのか、と深刻に考え込んでしまいました。
アルフの妹には彼は勝手に出ていった、みたいな言い訳していたみたいだし。だからそのすぐにバレそうな嘘を娘について誤魔化すとか何ナノ? 隠蔽らしい隠蔽もしてないっぽいし。本気でただのダメ親じゃないだろうか。
正直ここまで間抜けで小物っぽいと、見返す云々という気持ちも盛り上がらないんですよね。アルフくん当人もそこまで実家に対してもう興味もないみたいだし。まあ、どれだけ自分らが間抜けで見る目がなくてアホなのかを思い知らせて「ざまぁ」と後ろ足で砂かけるくらいはいっぺんしてやっても良さそうな気もするのだけれど、逆に関わるだけ無駄という気もするのでどっちもどっちだなあ。
当人が真面目に努力して大成しているだけに尚更に。
この主人公、努力家であるという以上に幼少から苦労し虐げられ理不尽を味わい続けたことから来る、同じように理不尽や無用の差別を受けてきた人に対する労りの心根が響いてくるんですよね。
苦しい時に自分が受けた優しさを忘れること無く、それをただ返すのではなく、自分と同じような境遇、苦しみの中にいる人たちに分け与えることができる。優しさという強さを体現出来ているというのは、本人の資質もあるのでしょうけれど、それだけ鈴狐が愛情をたっぷり注いだ育成に励んだってことなんでしょうねえ。ダダ甘に見えて甘やかすことはしなかったみたいですし。
ともかく、それだけ主人公が健やかな性質をしているだけに、敵役の見事なまでのクズっぷりが余計に引き立っていたと思う。いやあ、あそこまで性根腐ってるのも珍しい。それでいて、小細工の一つもできない頭の悪さだし。ヤラレ役として教科書に載せるべきなんじゃないだろうか。あとでさらに性根を拗らせてしつこく復讐してくるほどの資質もなさそうですし。改心することもなく、見事に実力でも社会的立場もペチャンコにされて再起不能、っと後腐れのなさでもお見事である。
まあこういうの度々出られても困るので、一回で十分ですけれど。
狐のお姉ちゃんもいいけれど、ワンコな妹分もよろしいなあ。ヒロイン的には後から加わったマカミや、まだまだ背景ありそうな男装の先輩などの方がポテンシャルありそうで、鈴狐さんもうちょっと頑張れ。