昔勇者で今は骨2 双竜の転生者 (電撃文庫)

【昔勇者で今は骨 2.双竜の転生者】 佐伯庸介/白狼 電撃文庫

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Kindle B☆W

骨になっても心は勇者な冒険者(※ただし骨)が往く、 異世界ファンタジー

『とりあえず王都に来んかーい!』
かつての仲間・フブルさん激怒につき王都へ参上した昔勇者、今は骨な冒険者・アル。一人前の魔法使いになるべく、学園に通いはじめたご主人・ハルベルのためにひと肌脱いじゃう(※ただし肌はない)アルだったが、王都を騒がせる怪現象の調査は意外な過去に繋がって……
『貴様の方は未だこの世にしがみついていたとはな……』
秘密を握るのは、容姿も魔力も桁外れ、初対面なのに見覚えのある少年で――!?
骨になっても心は勇者な彼がゆくところトラブル多発! 魔王が倒された後の世界で、なんだかんだと世界を影から救っちゃう、お気楽異世界ファンタジー!

一巻でも絶賛に近い形で感想書いた本作ですが、いやあこれやっぱり当たりですわ。なんかこう、自分のツボを見事なくらいストライクについてくる。しゅき!
何気にこれまでの作品は単発ばかりで、二巻を出すのは本作がはじめてだそうなのですけれど、一巻で登場したキャラクターたちがさらに掘り下げられた上に、同じ場所に放り込まれることで連動して相乗的にお互いのキャラを膨らませていき、世界観をも広げていくのを見るとむしろ続ければ続けるほど作品の土台が広がり、物語が上積みされて面白くなっていくタイプの作家さんじゃないですかね。
結構、これまでを踏まえてその上に着実に積み重ねていける人って多くはないんですよ。大概、ポロポロと取りこぼして、新しいのを補填して賄ってくばかりで、定着はしないし芯が細っていってしまう。
今回は王都編ということで、賑やかな王都に帰ってきたアルとミクトラ、そしてはじめて村を出るハルベルの穏やかなる日常パートが前半繰り広げられるんですが。ハルベルが色んな意味で逞しすぎるw
ハルベル、田舎娘なのですけど物怖じすること無くイケイケドンドンなんですよね。通い始めた学園でも、クラスメイトの新キャラたちと喧々諤々ぶつかりあいながら、楽しそうにしてますし。
構成で見ると日常パートは短編集っぽく、いろんなキャラクターの色んな話を盛り込んできていて、その中でもちろん主人公のアルは大事な話の要として機能はしているのですけれど、前述のハルベルをはじめとして、ミクトラやフブルさんとか、学校のクラスメイトのペリネ、ゲルダ、ダステルといった新キャラたちもそれぞれ自己主張強く話の中で主役張っていて、話の展開が全然アルに頼り切ってないんですよね。
なんていうんだろう。個々のキャラクターたちの話であり、彼らが走り回っている王都という舞台の話であり、この【昔勇者で今は骨】という作品の世界の物語として、全体的にバランス良く、全体を底上げするように包容力たっぷりに盛り上がっている、といった感じで。
この掛け合いとかノリとかが軽妙にも関わらず、懐広く足場がしっかりしていて、全体包み込むような大らかな雰囲気をまといながら、根底に「戦乱」という時代の渦中にある要素を見失わない絶妙なバランス感で描かれてる物語、というのがホントに自分のツボを突きまくってる気がします。
なんでもない場面なんですけどね。クライマックスで前線に向かうアルを、避難しようとしているその辺の市民が声かけるシーンが、もっそい好きなんですよ。見た目アンデットでスケルトンであるアルに、普通に「無理すんなよ!」って心配して声かけるシーンが。
元々、あんまりアンデットに対してそこまで拒絶感のない世界観なのですけれど、それでもスケルトンである。そこらへん歩いてたら驚かれるし、魔物かと警戒されるのは当然のことで。それでも、自分たちを守ってくれる側だとわかれば、何の裏表もなく素直に心配して、アンデットに「命を大事に」と声をかけてくれる人たちが当たり前にいる世界。こういう何気ないシーン、何気ない一幕を大仰ではなく、サラッと挟んでくるところ、ほんと好き。
好ましいといえば、曰く在るキープレイヤーとして登場するダイスくん(三歳)のあの死生観もなんか好きなんですよね。もちろん、姉の愛情をたっぷり注がれたことは意味がないわけじゃあないのでしょうけれど、ダイスのあの人間に生まれたからには人間として生きる、というスッキリとして一本筋の通ったブレのない生き方って、絆されたとか姉との生活で考えを変えたとかじゃなく、彼の魂の在り方っぽいんですよね。その意味では、彼の生き方って前世とは何も変わってないし、何も変えていない。頑固とかそういうのでもなく、あくまで自然体。
竜たちに対してのスタンスも決して突き放していなくて、自分なりの竜としての生き方の信念を尊重して気負いも罪悪感もなく向き合っているところなど、前世今世とかあんまり関係なく、竜として人としてとこだわっているわけでもなく、揺るぎなく彼は彼として誠実に在りつづけてるんだろうな、前世も実はこういうスタンスだったんだろうな、というのが伝わってきて、なんちゅうかこのスッキリスッパリ感が格好いいんですわー。ほんと好き。
クライマックスも、ドタバタ感満載だった日常パートにさり気なく集約されるべき要素が散りばめられていたり、と盛り上がりもたっぷりで。ハルベルは、かなり能力に制約つけられてましたし今回みたいな一件ではなかなか活躍し辛いだろうなあ、と思ってたら最後の最後で思いっきり良い所持ってっちゃって、おおお、華がある娘だなあ死霊術師なのに!
ミクトラも、凄腕冒険者で上級貴族のお姫様で、と美味しい要素満載で、王都編でも両方の特性を色んな場面で活用されて、何気に便利すぎる! おまけにハルベルの同性の友達としても横から強襲してきたペリネに奪われることなくポディションをガッチリキープして、堅実に存在感をアップさせていたのですが、ラストではそれに満足せずにさらにがっつり食いついてきて、この娘も負けず劣らずヒロインとして自分で立ち位置確立してきたなあ、と思わず目を細めたり。
エピでは、ついに真打が姿を見えて「メインはわたし!」と一発で自己主張してきただけに、ハルベルとミクトラの現状に甘んじない弛まない意欲的なクライマーっぷりは頼もしい限り。
これはほんとに、ぜひぜひ三巻読ませて欲しいものです。色々と楽しみな要素が多すぎる。

めちゃくちゃ楽しかった一巻からさらにパワーアップしての続編でありました。面白かった!
大変オススメ♪