東京競馬場の第三コーナーの内側には、大きな榎の木が立っている。榎である。ケヤキではない。だが、広く一般的にかの大木の名称は「大けやき」で通っている。
この大けやきは、その位置関係上テレビカメラからコース上を覆い隠していて、東京競馬場でレースをする際は三コーナーから四コーナーへと差し掛かる途上で、一度馬群はこの大けやきによって姿が見えなくなってしまうのだ。
そんな大けやきの向こうに馬の姿が隠れる瞬間、今でも時折ドキリと心臓が跳ねることがある。
再び、大けやきの向こうから姿を現した時、果たして無事に走れているだろうか、ととてつもない不安に駆られてしまう。

それは忘れられない光景だった。今でも覚えている。それはもう既に伝説で、それが現実に神話の領域へと至ろうとしている、誰もが確信していた瞬間だった。

大けやきの向こうから現れたスズカの姿に、皆が悲鳴をあげ、息を呑み、言葉を失って沈黙した。
アナウンサーがレースの実況を続けながら、こらえきれないように叫ぶ。
「沈黙の日曜日ぃ!!」

アニメのスズカの、あの故障したあとの失速していく走り方。人の姿をしているのに、あまりにもそっくりで、スタッフどれだけ仕事してるんだよぉ。
もうめちゃくちゃ映像見たんだろうなあ。あのシーンをあれだけ見事に再現してみせたことに、ここにかける想いの強さというものを感じたようでした。
そして、痛いほどに音を消して、実況の声だけが響いてくるあの静寂の演出。
っていうかね、もう泣けて泣けて。
スズカとライスとホクトベガだけは、リアルタイムで見ただけにもうあかんのですわ。泣く。

だからこそ、ほんと生きてて良かった。ウマ娘だから大丈夫だろう、と思っていても、それでもサイレンススズカがあの天皇賞秋のあとに生きていてくれるというだけで、もう物凄く嬉しい。本当に嬉しい。ありがとう、生きててくれてありがとう。
実際、時速70キロを超えるスピードで走っているウマ娘にも、そのまま転倒すれば生命の危険があるという話が作中でぶっ込まれてきて、そうだったのかとあとになってドキドキしてしまいましたが。危機一髪で飛び込んでスズカを助けたスペちゃん。的確に後ろから指示を飛ばしてくれたトレーナーさん。
スペちゃん、スズカさんが意識取り戻してから絶対泣き顔とかつらそうな顔とか見せずに笑顔のまんまなんですよね。スペちゃん、頑張ったよ、よくやったよ。ほんとに偉い子だ。
もう一度、走れるかもしれないという可能性。たとえ叶わないとしても、それは希望だ。もうあの走りには至れないとしても、目指すことの出来る未来だ。
このサイレンススズカには、未来がある。みんなが、それを守ってくれた。それが、本当に嬉しいです。

菊花賞はまさかのダイジェスト。セイウンスカイの生涯最高の見せ場だっただけに、あの満面の笑顔を一枚絵だけでなくレースでも見たかったなあ。
円盤特典には、セイウンスカイの小説がつくらしいのですけれど、各種レースの映像も欲しいのう。
ってか、これだけ多種多様なウマ娘がいると、どのウマ娘でも主役担えるわけですから、このまま主人公変えて二期三期とやってって欲しいものです。ってか、トウカイテイオー主人公でも1クール作れますよ?

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