女神の勇者を倒すゲスな方法3 「ボク、悪い邪神じゃないよ」 (ファミ通文庫)

【女神の勇者を倒すゲスな方法 3.「ボク、悪い邪神じゃないよ」】 笹木 さくま/遠坂 あさぎ ファミ通文庫

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ゲス参謀VS女神の勇者軍団10,000人!!! 最終決戦、開幕!?

「女神教の大神殿に攻撃を仕掛ける」
真一は宣言した。最強の魔法使い"聖女"まで魔王城の住人となり、人間側の理解者も得られた。今が攻め時と、セレスと共に聖都に乗りこんだ真一は四大枢機卿の一角、聖母卿に狙いを定め攻略を開始する。だが、魔王たちが平和に暮らせる世界まであと少しに迫ったその時、女神の祝福を得たあの男が一万の勇者の大群を率いて復活しようとしていた――。ゲス参謀VS女神教、最終決戦!? 大人気の異世界勇者攻略譚、第3弾!

そうなんだよな、作中で真一が述懐しているように女神教ってその不死の勇者の能力を悪用したら幾らでも俗世の権力を乗っ取れただろうに、その意味では健全な運用をしていた、とも言えるんですよね。これはむしろ、まだ出来て百年余の新しい組織だから、という要素もあるのかもしれない。古代から続く古い宗教と違って、新しいからこそまだ民草に馴染みきってはいないけれど、新しいが故にまだ組織の理念が腐敗せずに教団の人々に根付いていた、とも言えるのでしょう。もっとも、各国に対する横暴さや傲慢な振る舞い、組織上層部にはびこりだしていた色んな意味での腐った有様wを見ていると、過渡期を通り越して堕落の時代に入りかけていたのかもしれませんが。
とはいえ、純粋な理念や信仰にハマりすぎて排他的になってしまうと現実を無視した危うい集団へと転化してしまうので、その意味では運営母体にある程度の俗さは必要とも言えるんですよね。だから、四人の枢機卿のうち二人は真っ当な人間性の持ち主だったというのは、相応にバランスの取れた組織として落ち着いたものになろうとしていたところかもしれない。いずれにしても、どちらに転がるにしてもまさに過渡期だったんでしょうなあ。
純粋理念に殉じるには組織として老成し、変質するまでは劣化していない時期だった、と。

ここで受け身に回って相手のリアクションを待つのではなく、積極的に攻勢を仕掛けてイニシアチブを握りながらも、女神教を叩き潰すのではなく共存できる環境を作り出すためのグランドデザインを描いてみせるあたり、真一の考え方ってかなり大胆なんですよね。人間側の認識そのものを変えられる可能性、教団組織の影響力の限界と現実認識を前回把握したからなんだろうけど。
自分で人間側の領域に潜入して工作に従事するなど、行動力も抜群な真一にぴったりとくっついてサポートし続けるセレスさんの相棒感がいい加減半端ないことになってるんですよねえ。変に煽てず甘やかさず、毒舌を飛ばしてチクチク弄りながらも、実質はそりゃもう献身的にくっついて離れないわけで、なかなか一緒に行動できないアリアンとはちょっと差が広がってるなあ。
あのグリグリと真一をイビりながらも絶対的に信頼を寄せている、という済ましたセレスさんの態度はなかなか来るものがあるんですよねえ。いざという時は、想定外すぎる絶望的な状況に動けなくなった真一を叱咤激励して背中を叩いてくれるわけで、もう姉さん女房的なところまで垣間見えるわけで、真一側からの信頼感も半端ないところまでゲージあがっちゃってますし。
その絶体絶命のピンチに対する逆転の発想もまた面白い。あくまで真っ向勝負では仕掛けないんですよねえ。相手の盤上には乗らずに必ずその外側から仕掛ける。そのひっくり返し方が実にエッジが効いていて、実に好みでした。
なんか、これで終わりみたいな雰囲気だったので完結か、と焦ったのですがちゃんと続きも出てるようで良かった。

2巻感想