最強同士がお見合いした結果 (GA文庫)

【最強同士がお見合いした結果】 菱川 さかく/U35 GA文庫

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Kindle B☆W

『凄まじい殺気と魔力、まさかこの機会に俺を暗殺する気か!?』
『開始早々の斬撃!? この緊張を恋のドキドキと勘違いさせる気ね!!』

エスキア国最強の剣士《獄炎帝》ことアグニスは、仇敵イグマール最強の魔術師《氷結姫》レファとお見合いをすることになった。
だが二国が講和するキッカケのはずのお見合いは、実際は相手の最高戦力を籠絡して取り込むための化かしあいだった!? しかも何度お見合いを重ねても事態は進まず、会場を焦土に変えるばかり。そう二人は戦場では最強だが、恋愛方面ではまったくのポンコツだったのだ!
国家の命運を背負った二人の最強は果たして幸せな結末に辿りつけるのか!?

いや、別に相手の最高戦力を籠絡するのに、こっちも最強戦力で対応する必要ないじゃん! ハニトラ専門の人員用意しなさいよ、とまあ常識的に思うところなのだけれど、そもそも両国首脳陣ともにお見合いを成立させる気が殆どないってんなら、この対応も仕方無いのかなあ。ふたりとも、母国の首脳部からは身内にも関わらず特に嫌悪、どころか憎悪すらされてそうな感情的にも拗れていて酷い扱いを受けてるんですよね。だもんだから、無茶振りをしておきながら、国としての支援は殆どなく、アグニスは唯一慕ってくれてる実妹。レファに至ってはお付きの戦闘メイドというそれぞれ1人ずつしか手伝ってくれる人がいない、という状況でちょっと可哀相すぎる境遇なんですよねえ。
そもそも、二人とも王族だったり国有数の貴族の出にも関わらず、社交に関する知識が乏しく恋愛ポンコツなのも、そもそも貴族としての常識に疎いのも最前線に立たされ続けて、本来受けるべき教育も受けさせてもらってない、というのが原因の一つでもあるわけですからねえ。
いやまあ、どう考えても当人の資質、という点も見逃せないのですけれど。妹ちゃんの努力が空回りしていくさまは涙を禁じ得ないのです。それに比べて、レファサイドの方は参謀ロゼリーヌがわりと端からレファで遊んでいる風なので、こっちはわりと楽しそうである。いじると面白いからって王族で遊ぶなw
しかし、第三国の脅威が迫っていて仇敵同士でありながら共闘しなければならない、という認識を持っていながら、具体的に何もしていなくて知らん顔している両国の首脳部は、ちょっと無能の誹りは逃れられないんじゃないだろうか。いや、そりゃね、相手の最高戦力籠絡しろ、というのはまあ方法としてはありだとは思うんですよ。それで国として優位を確保しようというこすっからい考え方も、まあアリと言えばアリなのでしょう。主導権を握りたいのは当然のことだ。でもだったら、ちゃんと国を挙げてバックアップしなきゃならないのに。当人にやれ!とだけ命令してあとは無視って、何をしたいのかわからない有様なんですよね。相手の国は嫌い、そして自分所の最高戦力であるアグニスとレファもそれぞれ嫌い、嫌いだから勝手にしてろ、みたいな感情優先にしか見えなくて、いやホントになにしてるんだろうか、と思ってしまうわけだ。
それに比べて、主人公とヒロインであるアグニスとレファの健気で献身的なこと。恋愛的にポンコツなのは自覚もしている上で、凄く真摯に頑張ってるんですよね。それは自分の国に対してだけではなくて、自分を助けてくれる妹のメイやロザリーヌに対してもそうであり、それ以上に幼い頃の純粋な願いと誓い、そして約束に対して今なお真剣に挑み続けているそのひたむきさ。
それが故に二人がここでお見合い相手として会ったのは、会うことが叶ったのは運命ではなく、自分たちの努力によって手繰り寄せたもの、と言えるわけで。
この二人には正しく報われて、幸せになって欲しいと思うばかりです。
それはそれとして、仲人役としてとてもひどい目にあった教会の司祭さまは……うん、この人も報われてくださいw