浅草鬼嫁日記 四 あやかし夫婦は君の名前をまだ知らない。 (富士見L文庫)

【浅草鬼嫁日記 四 あやかし夫婦は君の名前をまだ知らない。】 友麻碧/あやとき 富士見L文庫

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浅草の今を生きる茨木真紀は、かつて鬼の姫“茨木童子”だった記憶を持つ女子高生。彼女と同じく元大妖怪の天酒馨や継見由理彦を巻き込んで、今世も悩めるあやかしのため、賑やかに駆け回る。修学旅行先の京都で、真紀は前世にまつわる嘘を明かし、すれ違っていた馨と向き合った。そして今度は約束していた江ノ島デートへ!ところがその頃浅草では、由理彦の妹の若葉が、見えないはずのあやかしと出会っていて…。冬の浅草を襲う異変に、また一つ暴かれる嘘。「最強の鬼嫁」夫婦と、友との絆が試される―!

由理の嘘って、先だっての真紀ちゃんの抱えていた嘘に比べたら別にバレても問題にはならないんじゃ、と前巻でその一端が明らかになったときには思ったものでしたが……。
大問題だった!!
そうかー、真紀ちゃんや馨にバレたところでそんな拗れることはない、というのは間違いじゃなかったのだけれど、清明が指摘してきた嘘の代償って結局自分にこそ返ってくることになるんだよなあ。
てっきり、真紀ちゃんや馨の転生に合わせて由理は継見由理彦になったのだ、と思ってたんだけれど、話を聞く限りでは完全に偶然じゃないですか。正しく運命的だったのか。
そしてそれは同時に、由理が決して真紀ちゃんたちに合わせて今の人生を歩んだわけじゃなくて、彼自身の望みのために人として生きていたわけだ。たとえ、それが嘘によって成り立っていたものだったとしても、そこで育まれた関係が嘘であったはずがない。歪であったはずがない。
由理だけが与えられて受け取っていたんじゃないんですよね。由理の家族もまた、由理から多くを受け取っていた。由理があってこその継見家だったはず。だからこそ、若葉は本当の由理を知りたがったはずなのに。もっと、兄が報われるために。本当の姿を知ることで、彼が自分がついている嘘に苦しまずに済むように、と。
でも、その嘘を暴いてしまったがためにすべてがなかったことにされてしまう、というのは由理だけじゃなく残された継見の家の人たちがまた辛すぎる。たとえ、何も覚えてない事にされてしまったとしても、喪失感は由理を愛していた分だけ抱え込んでしまうでしょう。
それもまた、残酷な話じゃないですか。
家族という存在に対して複雑な想いを抱いてきた真紀ちゃん、馨、そして由理彦。それぞれの形で、家族という存在に追いすがり、求めてきた彼らだからこそ、この継見家の結末は苦しいよなあ。
ちょうど同じ時期に、津場木くんところの家のあったかな関係……なんの衒いもなく家族は大切にするもんだろう、ときょとんと言ってしまう津場木くん、彼にそう言わしめてしまう津場木家の在りようを目の当たりにしていただけに、余計に来るものがある。
真紀ちゃんたちが目指す、家族の形の一つに成りえるんだろうなあ、あの家は。まあ、某親戚のオジさんによって家系そのものがえらい呪いを食らっているという現状もあるのですが。津場木家の呪いの話って、こっちで関係してくるのかそれとも「かくりよの宿飯」の方で関わってくるのか気になるところではある。
と、話が逸れたが継見家の件についてはこれが決着というにはあまりにも悲しいので、記憶が消されてもなお諦めていない若葉ちゃんの頑張りに期待したいところでありまする。清明先生も人間の味方だってんなら、由理はいいので妹ちゃんの味方はしてあげてほしいのう。由理はなんだかんだと自分で決着つけちゃいすぎる。さっさと身の振り方まで1人でなんとかしちゃいましたし。馨や真紀ちゃんからすると、ちともどかしいところなんでしょうなあ、そういうところ。

シリーズ感想