魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 5 (HJ文庫)

【魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?5】  手島史詞/COMTA HJ文庫

Amazon
Kindle B☆W

盲目の獣人少女と聖剣の謎とは――。

気持ちを通じあい、順調に仲を深めつつあるネフィとザガン。ようやく恋人となった彼らだが、そもそも恋人というものがどういうことをすればいいかわからない。
アドバイスを聞き、デートとやらをすればいいことを知ったザガンは下調べに街を散策する。
そこで偶然にも助けた盲目の獣人少女・黒花は、新たに教会へと派遣された司祭だと言う。
そして一方、出自を知ったネフテロスはビフロンスのキメラに追われてザガンの領地へと逃げ込んでおり――。
大人気ラブコメファンタジー絶好調の第5巻!

尊い!!

なんかこの尊いという概念がわかったような気がする。自分解釈だけれど。
ネフィとザガンのイチャイチャっぷりって、ダダ甘なそれだけじゃなくて、二人とも常にお互いのことを思いやり気遣い考えて居るが故にそうなってるという部分が大きいんですよね。
で、本作はそんなメイン二人だけじゃなく、沢山いる登場人物みんながそれぞれに他の人を深く思い遣っているのである。それは恋情だけでなく、親子の愛情だったり師弟や主従の情であったり、友情であったり、様々な形をとっているんだけれど、他者を想うという意味で共通している。それが、みんなこう、深く胸を震わせる熱かったり優しかったりする想いなんですよね。
シャスティルとネフテロスの友情然り、ザガンとフォルの親子の愛情然り、ラーファエルと黒花とのそれ然り。それらもみんな、それぞれふたりだけで閉じているわけじゃないのだ。キャラクターたちの中にある優しさは特定の1人だけに向けられるものではなく、今やザガンとその愉快な仲間たちの間で蜘蛛の巣のように張り巡らされ、行き来して相互に思いやりが行き交ってるのである。
だから、もうどの方向を向いても、全方位で思わず「尊い!」と両手で顔を覆ってしまいたくなるような優しさが交わされているのである。信頼であり、親愛であり、友情であり、愛情である、温かなものが繋がり、結ばれあっているのである。
だからこそ、余りにも一方的だったビフロンスのそれは、孤立し敗北してしまうのである。もっとも、無慈悲で残酷な情の欠片もないただ享楽のままの行為がビフロンスという魔王の行動原理なら、それはもう敵ですらなかったのだろうけれど、形は違えど彼のネフテロスへの想いもまた、愛情だったわけだからなあ、たとえ歪んだものであったとしても。
しかし、それを堂々と指摘できるまでになったザガン、最初の頃の愛だの優しさだのを概念そのものから知らなかった男からすれば、凄まじい成長である。特にこの巻からは、ザガンって意識的に在り方変えていっているんですよね。
バケモノとしての魔王ではなく、「王」たるものとして魔王となる。その意識と目標を確立したからか、尋常じゃない風格みたいなものが出はじめている。
そんなザガンをして、背中を預けることのできる盟友、とある意味対等以上の評価を得ているシャルティス。プライベートのポンコツはどこへやら、今回はお仕事モードだったせいかお前誰だよ、と作中のキャラたちからもツッコまれる頼りになる聖騎士さまっぷりで。それ以上に、心身ともにボロボロになったネフテロスを助け、彼女のためにガン泣きしながらネフテロスの心を守りきったシャルティスがもう存在そのものが尊い!! ある意味、もうひとりの主人公、と言って過言ではない存在感を示してるんですよね。
今回、メインキャラの幾人かはザガンの元ではなく、シャスティルの元へと落ち着いちゃったわけですし。緩やかではありますが、ザガンの魔王軍とシャスティルの聖騎士団の2つのグループが出来上がってきてるわけだ。とはいえ、両者の関係は今すごい良好な協力体制にあるのですが。まさか、ザガンとシャスティルのトップのつながりだけではなく、末端の騎士と魔術師の関係も普通に密接になってるとは思わなかった。
今回、シャスティルがついに失恋を自覚してしまったわけですけれど、その分バルバトスくんがすごい健気に頑張っているだけに、報われてほしいのう。何気にキメリウスがゴメリ婆ちゃん気にしてて、思わずニマニマしてしまった。ゴメリ婆ちゃん、他人のラブコメ楽しんでる前に足元確認した方がよかないですか!?
今回、結局デート本番までたどり着けなかったので、次回こそデートに漕ぎ着けられるか否か。わりともう膝枕とかマフラーとかで十分お腹いっぱいなんですけど、デートは別腹ですよね、はい。

シリーズ感想