夢を見た。
それはもう見ることのないはずだったユメで、だからこそ夢だった。
サイレンススズカには、幾つもの夢を見せてもらって、だからこそもう見れない夢に誰しもが悲しんだ。
だから、今でも夢を見る。もう見ることが叶わないとわかっていても、スズカに夢を馳せる。
「わたしの夢はサイレンススズカです」

翌年の宝塚記念で、もう居ない彼に思い馳せながら杉本清アナが語った言葉は、彼を覚えているファンにとっての共通の想いだっただろう。

そんな決して見ることのない、夢の続きを、今日確かに垣間見た。

サイレンススズカがターフに帰ってくる夢を。
大観衆の前で再び走り抜けていく夢を。
大欅の向こうを抜けて、あの日の続きを。ゴールを先頭で駆け抜けていく姿を。
もう一度、サイレンススズカに夢を見せてもらったのだ。

これは現実ではない。フィクションに過ぎない。夢である。でも、もう二度とないはずだった光景を、今こうして見せてもらえた。夢を、ほんとうの意味で見せてもらえた。
今日より以降、あの沈黙の日曜日を思い返して悲しみに沈んだ時、IFとしてはっきりとこの日の光景を脳裏に思い浮かべることが出来るだろう。サイレンススズカが帰ってきて、もう一度勝ってくれる夢を、「思い出す」ことが出来るだろう。

「あの日の沈黙を破り、サイレンススズカが今ゲートに入ります」


呪縛は解かれたのだ。




というわけで、スズカが場に姿を現したところから、もう涙止まらなくてたまらんかったです。
解説の細江さんまで、なんか最後のセリフ感極まってて、もうねえもうねえ。
実況の、あのセリフはもう歴史に残る名言なんじゃないでしょうか。

これからも、あの日の光景を思い起こし、また映像を見るたびに悲しみはぶり返してくるでしょう。やるせなさは胸を締め付けるでしょう。
彼がターフを走ることは二度と無い。でも、今日の回はそんな憂いと悲しみにそっと手を添えてくれる救いでした。あの日の光景を思い出したあとに、心をすくい上げてくれる糧となるものでした。
たとえイフでも、夢は見れたのです。

なんか、トレーナーさんとスズカの間に流れる空気がほんといい感じで、好きです。もう二人の間に出来た娘がウマ娘にはならないとしても、トレーナーになってスペちゃんの娘のブエナビスタと二人三脚で、とか妄想しちゃうじゃないですかw