逝きかけ英雄講師の最終講義 (角川スニーカー文庫)

【逝きかけ英雄講師の最終講義(ラストクエスト)】 森崎 亮人/necomi 角川スニーカー文庫

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逝くのはまだ早いですよ、先生?人外少女の熱血決闘ファンタジーが始まる!

世界統一を成した英雄《北の皇帝》ジンには、多種族が集う名門・セントラル学園での講師生活など造作もなかった。
「俺は1日1分だけ本気を出せる」そう言って向かってくる全生徒を18秒で沈め、種族に合わせた100点満点の指導も欠かさない。全てにおいて俺TUEEEな日々の連続であった。
そんな中、オーガ族のシュテルは父の仇を討つ為にさらなる強さを求める。心打たれたジンは、死の縁に立たせることにより真の力に目覚めさせるという、最高の講義を施す。しかし、ここで一つ問題が――それは仇討ちの相手が俺ってことだ!!
世界を掌握した皇帝による学園決闘ファンタジーが始まる!

ヒロインのシュテルがいいなあ。この娘、オーガ族のお姫様なのですがオーガという種族が完全脳筋の戦闘種族。強さが価値観の基準であり言動はまさにバーサーカーな狂戦士なのですが、一方で王族として礼儀作法や文化人としての教育も丹念に仕込まれていて、品行方正で上品典雅な楚々としたお姫様でもあるのだ。
バーサーカーでありながらお淑やかなお嬢様、というどう考えてもミスマッチしている属性を二面性という人格面の切り替えなんていうやり方ではなく、ごくごく自然に併せ持っているキャラクターになってるのである。
これが妙な魅力があって、何より面白い。
彼女のみならず、多種多様な種族の生徒たちが登場するのだけれど、それぞれ種としての特徴がそのままキャラクターに当てはめられているのではなく、種族の特徴を踏まえた上でちゃんとそれぞれ一人ひとり個性付けされてて、きっちり存在感を示してるんですよね。
なので、主人公の北帝陛下からして大戦時の後遺症もなんのその、かなりぶっ飛んだ性格をしていてお忍びで講師しているにも関わらず、わりと躊躇なく実力や権力振りかざして大暴れするのですが、それに周囲のみんなもわりと負けてないんですよね。一方的に振り回されてばかりではない。まあ、学園長さまはご愁傷さま、ではあるのですけれど、あの人も頭抱えて泣きわめいているだけではなく、ちゃっかり抑えるところは抑えてて強かさパないですし。
中でもシュテルは、脳筋というかあり方そのものが彼女の中で確固として確立されていて一切ブレがないので、ジンとノーガードでお互い振り回しあってる感もあり、何気にお似合いなカップリングなんですよね。周りが大変迷惑する組み合わせな気もしますけれど、二人ともやりっぱなしではなく相応に収拾する能力と意思はあるので、ただただ酷いことにはならないという安心感と、それ以上に痛快感が大変素晴らしい。
メインの二人が暴れまわるわりに品が良いというか上品な性質をしているせいか、ドタバタ的な展開にも関わらず、物語の流れや世界観、登場人物周りの語り口なんかに荒っぽさや雑さがあんまり目立たなくて、全体にこう「典雅」な装いがあるんですよね。
それが読んでても心地よい感じがして、なんか浸ってしまいました。これ、すごく好きかも。
このメンツでガンガンお話を盛り上げていく展開をぜひみたいだけに、シリーズ続いてほしいですね。大変面白うございました。

森崎 亮人作品感想