ミリオン・クラウン2 (角川スニーカー文庫)

【ミリオン・クラウン 2】 竜ノ湖太郎/焦茶 角川スニーカー文庫

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遂に明かされる環境制御塔の真実。竜ノ湖太郎が放つ新シリーズ第2巻!!

「環境制御塔は――ただの一度も、暴走した記録はありません」
白鯨の幼体達を退け、関西の要塞都市国家『関西武装戦線』に訪れた東雲一真は、海上都市遺跡の中で上級自己進化型有機AI・「アウルゲルミル」と出会う。そこで一真が手にしたのは、母・東雲不知夜からのメッセージと、強大な力が隠された鍵だった!?
中華大陸連邦の使者が暗躍し、幻獣種の襲撃が相次ぐ中、その裏で蠢く新たなる王冠種とは!? 本物の王冠種との衝突で赤き徒花はその真価を試される!!
竜ノ湖太郎が放つ新シリーズ、激動の第二幕!!
破局噴火って、触りを調べただけでも起こってしまったら人類滅亡じゃないの? という規模なんですよね。それが同時多発的に、ってシェルターを作っていたとはいえ人類よく滅びなかったよなあ。三百年後の現在、地球の様相がまったく変わってしまっているのも納得である。そのうえで幻獣種との間に霊長の座を巡って争っているわけだから、そりゃあ人間同士で争っている余裕なんざないよなあ。
思いの外中華大陸連邦との関係が理性的だったのに若干意外の念を抱いていたのだけれど、それだけ人類が切羽詰まっていると考えたら、分かる話ではあるのだけれどそれでも縄張り争いや主導権争いにかまけてしまうのが人間でもあるので、駆け引きがあるとしても根本のところで人類の団結と守護を志向している、それも上から目線ではなく厳しく同輩たるを見極めている、という高潔さと強かさを兼ね備えている中華大陸連邦の主席には見惚れるものがありました。
半端ない大人物だなあ、この伝説。
果たして、っまだ一真には彼ほどの人類を背負って立つという気概がまだ持ち得てないのだろう。お前のような普通の高校生がイルカ!と言いたいところなのだけれど、長き眠りについていた彼にとってそこまで意識を急に変えることは難しいだろうし、那姫を筆頭に周囲には極めて優れた人材、逸材が揃っている。剣の腕に自信はあるとはいえ、それは一兵卒としての自信。他人を従え他人に命じて仲間たちの命を預かる、というのは自分の腕前云々とはまた別次元の領域である。別に臆しているわけではないのだろうけれど、もっとうまくやれるやつがいるだろう、という思いは一介の高校生であった一真にとっては当然の思いなのだろう。
だが、人類の希望にして最終兵器にして最高戦力であるミリオンクラウンはそれではいけない。それでは決定的に足りない。それでは、ミリオンクラウンたり得ない。
ワンカイロンとの邂逅は、一真にとって革新となり得るのだろう。でも、それ以上に彼との邂逅によって自分の手の中に握られていた、母や初恋の人から送り届けられたもの、彼女らからの信頼、親愛、何も一真に背負わせず選択肢を残してくれた彼女らの想いを知ることが出来たことが、彼に決意をもたらしたのだ。漢の決意である。心地よい気迫、清廉なる潔さ。
三百年前からの迷い人であった東雲一真の、足元も拠り所も覚束ないまま歩いてきた彼の、彼に意思によってはじめる戦いが、ここからスタートするのだと思えば、実にワクワクするじゃないですか。
そう、ここからこそが本番だ!

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