ストライク・ザ・ブラッド APPEND2 彩昂祭の昼と夜 (電撃文庫)

【ストライク・ザ・ブラッド APPEND 2.彩昂祭の昼と夜】 三雲岳斗/マニャ子 電撃文庫

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魔族特区の学園祭にようこそ! 彩昴祭前日の学園で起きた異変とは!?

彩昴祭。それは彩海学園における秋の一大イベント、学園祭である。開催前日、クラスの演し物であるVRMMO――仮想現実大規模多人数お化け屋敷の準備をしていた古城たちだが、混入した謎のデータによって、調整中の幻術サーバーが暴走。その直後から、学園内には様々な異変が起こり始める。
彩昴祭の見学に訪れたラ・フォリアと紗矢華を狙う復讐者たち。模擬店の料理に混入した魔術薬。クラス演劇に出演中の雪菜を襲う怪物たち。すべての事件を陰で操る黒幕の意外な目的とは……!?
世界最強の吸血鬼が、常夏の人工島で繰り広げる学園アクションファンタジー、待望の番外篇第二弾!
ブルーレイ特典をまとめたオムニバス第二弾。本編の5巻6巻あたりの話ということで、那月ちゃんの監獄結界の件が片付いたあたりの時系列ですか。というわけで、あの事件の後始末というか余波によるドタバタ劇であります。
そう言えば本編で那月ちゃん、幼児化してたんでしたっけ。あれと同じ有り様になってしまったラ・フォリアと煌坂紗矢華。那月ちゃんですら精神退行してたにも関わらず、平然ともとの意識を保っているラ・フォリア、さすがラ・フォリアとしか言いようがなく、一方でちゃんと中身も幼児化してしまった煌坂は、むしろ幼児化してもブレない不動のチョロさでさすが「チョロい」さんと呼ばれるだけあるなあ、と感心する他ない。この人のチョロさというのは防御率ゼロの受けというのとはまた違って、完全に自爆特攻型なんですよね。自分から突っ込んでいってチョロさ覿面を発揮してしまう。今回だって、真っ先に古城に大きくなったら結婚して、と約束を取り付けているわけで。あんた、それ何年も経たなくても事件解決したら大きくなるんですからね。もとに戻ったら悶絶必至の重大発言を息を吐くようにしてしまうチョロ坂さん。積極的とは間違っても言えないむしろ作中屈指のヘタレな姿勢にも関わらず、なぜかこの人が一番ガンガンえぐりこむように攻めている感すら伺える。このあたり、硬軟織り交ぜてひたすら攻めまくっているラ・フォリアが、意外と勘所は抑えられていないのと比べると面白い。
そして、闇誓書の効果があってすら、あれだけささやかな……ささやかすぎる願いしか願えない浅葱の不憫さというべきか、それとももうちょっと欲張っていいんだよ、と言いたくなるところとか、本当にもう、なんとも言えない。
コンスタントに効果的なクリティカルショットを当て続けている雪菜が正妻枠譲らないのも宜なるかな。
まあ今回一貫して楽しんでいたのはラ・フォリア、もうこの人の一人勝ちだったんじゃないでしょうか。別にこの人がトラブルを造っているわけじゃないのだけれど、幼児化にしても惚れ薬の蔓延にしてもVRお化け屋敷にしても、起こったトラブルを便乗どころか半ば乗っ取って自分のやりたい放題好き放題フリーダムに遊び倒しているわけですからねえ。
なんかヴァトラーも今回、同じようにはっちゃけてたけれど。ラ・フォリアとヴァトラーって大概同類だわな、こうしてみると。

そして、ラストの短編は彩昂祭から離れて、那月ちゃんの過去編。まだ攻魔官になる以前、監獄結界を身のうちに入れて、魔女となって殺された家族の復讐のために闇の中を走り続けていた時代のお話。
考えてみれば、那月ちゃんのあの性格からして、あんなフリフリの少女趣味なドレスを常から着込んでいる、というのは不思議ではあったんですよね。隠れて少女趣味な可愛い物好き、という感じの秘密も普段の生活を見ている限りではまったく見受けられませんでしたし。
そんな彼女が、どうして今のようなドレスを身につけるようになったのか。感傷的と言えば感傷的な理由なんだろうけれど、そもそも復讐のために自分の未来を犠牲にするような激情家が、感傷を大事にしないわけはないのかもしれない。
しかし、いつも那月ちゃん呼ばわりしてくる古城にちゃん付けで呼ぶな、と怒ってるのって普通に嫌がってるのかと思ってたら……なんか愛情こもりまくってるじゃないですか。それがまた感傷だったり懐古からくるものだったとしても、そのやり取り自体を大切にしていることからも、いろいろ伺えてしまうじゃないですか。
永遠のお姉ちゃんなのか、なるほどなあ。

シリーズ感想