百神百年大戦 (GA文庫)

【百神百年大戦】 あわむら 赤光/かかげ GA文庫

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神VS神!天地鳴動バトルファンタジー開幕!

数多の神々が互いの覇を争い、力の源泉《龍脈》を巡って果てなき大戦を続ける世界、タイクーン。
そんな戦乱に関知せず、自堕落に暮らす神がいた。名をリクドー。少年の姿に"剣"の真名を持つ、最古の神の一柱。若き神々からは「中身、枯れたオッサン」と侮られるも、十大龍脈ヴェステル火山を根城とする彼の、本性を知る古き神々は言った。
「あの男こそ最も油断ならぬ腹黒狸」
そして今――リクドーは雌伏の時に別れを告げる!
立ちはだかるは軍神ミヒャエル。名だたる神々の殺戮者にして、大陸一つをも支配する宿敵の覇権を、いざ阻止せん!!
これは智勇以て天地鳴動の大戦に斬り込む、最古の少年神の最新神話。

ってかミリアさん、ちゃんとしたお姫様にも関わらず、世知辛いくらいの貧乏ぐらしすぎて庶民的を通り越して生活が「庶民!」なんですけど!
なまじ普通の民家じゃなくてちゃんとした王宮に住んでいるだけに、貧乏暮らしっぷりが堂に入ってしまってるんですよね。お姫様が王宮の壁の子供の落書きをバケツと雑巾引っさげて消してまわったり、料理する人の手が足りないときは自分で厨房に立って家族のごはん作ったり(そのまま厨房で食べる)。しかもその料理が豪快な野菜炒め、と完全に漢の料理。
神様が実在する世界であり、そりゃ当然神を奉る教会が権威を持ち、相対的に王家の価値は下がり、税金の徴収権は奪われ教会からのお小遣いで収入を賄う日々である。そりゃあ、王家も寂れる世界情勢。持ち込まれる稟議や陳情もそれ町内会でやるようなのじゃない? というものばかり。
お姫様たるミリアもまあやさぐれるわけである。神とか名乗る連中コノウラミハラサデオクベキカ、と怪気炎を上げるわけである。
それでも、このミリア姫、寂れ廃れた王家を復古させるために頑張るんですよね。でも、王家をどうのこうのする以前に、王族として……病気のために一線から退いている父王に代わり、あんまり頼っては来てくれないけれど、国民のために頑張るわけですよ。ご近所トラブルと変わらないような陳情だって、ちゃんと丁寧に聞いて親身になって解決しているのである。それも、わりとテキパキと適切かつスピーディーに解決してるんですよね。情と合理性の調和が取れた、統治者として理想的なそれを、えらくマイクロな規模ではあるもののちゃんと実践している。
何より、その庶民的を通り越して貧乏的ですらあることを、本人が自覚しているかはともかくとして、同じ目線の高さ……同じどころか若干低くね?と思うほどのところから、民を安んじるために走り回る王女様のことを、この年頃の娘さんにも関わらず何気に勝ち気を通り越して男前なんじゃない?と思わせてしまうカッコいいお姫様を、国民はこの上なく親しみ慕っているんですなあ。
それを間近で、押しかけ衛視となって身近で見続けた神様・リクドーが思わずときめいてしまうのもよくわかるほどの、それは普通のお姫様像からかけ離れているにも関わらず、理想的なプリンセス像なのである。神をも惚れさせる生き生きとした輝きというべきか。
可愛い。
そりゃ、神様としてもこの娘に認めてもらうためならば、とハッスルしますわなあ。
特に、人間との関係について他の神とは相容れない、しかし彼なりに確固とした理想像を持つリクドーとしては、その理想を体現するような彼女の存在はまさにクリティカルなのである。
まああれだけ、神=ゴキブリ扱いだったミリアもわりとあっさりとリクドーにコロリといってしまうのはチョロかろうチョロかろうと思ったけれど。他の神たちのえげつないまでの人間の扱いを見てしまうと、神にも関わらず人と同じ目線で生きてくれて、なおかつ普段の昼行灯といざというときのビシッとした在り方のギャップや、カッコよさと誠実さを見せられてしまったら、あれこいつイイ男じゃね?となってしまうのも無理からぬところ。普段のゆるいところも、母性本能くすぐる部分あるしなあ。
神同士のど派手なバトル、という観点だとまだ寝起きってところで宿敵となる軍神ミヒャエルとの手合わせも前哨戦ってところですし、これからが本番ってところですかなあ。
リクドーの神々の中でも油断のならない腹黒、という部分についてまだまだ真価が見えてきていないところですし、これからが本番ですか。
人間である巫女と寿命の無い神様との流れる時間の差異、という所も冒頭の先代巫女とのやり取りを見てても決して無視できなさそうな部分ですし、その辺も鑑みてシリーズ楽しみです。

あわむら赤光作品感想