聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 22 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>22】 あわむら赤光/ refeia GA文庫

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今や全世界の敵となった駿河安東を追い、天空に浮かぶ赤き月へと向かった諸葉たち。
サツキ、静乃、エドワード、シャルル、そして全ての仲間との絆が安東打倒の一手に繋がっていく。だが――
「ここからは俺も本気というだけよ」
現世で新たなる力さえ手にした安東はまさに死角なき絶対最強の王者として不遜に笑う。
そして、至高の武を結ぶ天上の戦いは、どんな前世でも到達しなかった究極の先へ――我が剣に宿れ、天地終焉の劫火!
≪剣聖×禁呪使い≫二つの前世を超え、灰村諸葉が未来を斬りひらく!!
超王道学園ソード&ソーサリィ、堂々たる決戦――これで終。
おぅおぅ、面白かったよう。昨今二十巻越え出来るシリーズなんて数えるほどしかないけれど、それに相応しい面白さを最後まで高止まりで維持し続けた傑作でありました。あとがきでも触れていますけれど、これほど長く続かなければ周りを固めるキャラクターをこれだけ掘り下げることは難しかったでしょうね。特に、本シリーズ影の主役である石動先輩ですよ。
とうとう、とうとうその頂きにまで至りましたか。もうめちゃくちゃかっこよくてめちゃめちゃ強えぇ。べらぼうじゃあないですか!!
当初はSクラスを目指しつつもついに手が届かないという儚い運命を背負ったキャラだったそうですけれど、彼の負けてもやられても倒れても諦めずに努力して努力して、ときに邪道に走りながらも闇落ちすることだけは決して無く、高潔な戦士のまま邁進し続けた結果、ストーリーとして自然な形でSクラスという頂きへと至る道をまさに自らの手で切り開いたという、思えば凄まじいキャラなんですよね。
絶対、途中で闇落ちすると思ってたもんなあ。実際、悪魔と契約するに等しい危うい真似はしているのですけれど、護る正義のために力を求めるという原則だけは絶対に見失わず、力を求めて自身の正義を見失うみたいな本末転倒な真似だけは決してしなかったわけで、そのあたりもこの人圧倒的に尊敬に値する人物だったんですよね。諸葉も最初から最後まで石動先輩への信頼は揺らがなかったですからね。
それだけに、最後の最後のあの圧倒的なまでのパフォーマンスはまさに二十巻を超えて待ちわびていただけに、まさに待ってましたの一言でした。
ラストは、クライマックスを飾るに相応しい総力戦。
一番印象的だったのはこの文章でした。
一人の人間としての孤独は、灰村諸葉として生を享けて以降、とっくに癒やされていたけれど。
一人の戦士としての孤高は、今この時に、本当の意味で癒やされたのだった。
自身でも述懐しているところですけれど、これまでずっと諸葉はその圧倒的な力を持って矢面に立ち続け、戦うときは常に最大戦力として身体を張り続けていたのですが、この最終決戦においてシャルルとエドワードという仲間とトリオを組むことで、むしろ自分がフォローに回って彼らの力を引き出す側に回って、自分の新たな可能性、そして自分もまた突出した一人として戦うよりも仲間とともに戦うことでもっともっと強くなれる、ということを、有無を言わさずまさに体感するのである。経験するのである。
ここでめちゃくちゃテンション上がってしまう諸葉が可愛くてねえ。
この主人公の諸葉は、ほんと最初からブレずに最強一途だったわけですけれど、その力に溺れない上から目線で歪まない、すごく可愛げと愛嬌のある好感持てる主人公で在り続けたのですけれど、それ故にシャルルとエドワードという一緒に戦えば相乗効果で力が増していく、本当の意味で対等の仲間を得てはしゃいでしまうところがもう可愛くて可愛くて、良かったねえと場を弁えずに微笑んでしまいました。そうお祝いしたくなってしまう主人公だったわけですよ。
最終決戦ということでほぼみんなに見せ場があったわけですけれど、こうしてみるとやはりフランス支部の魔術師団って世界各国の支部の中でも突出してたんだなあ、と実感させられてしまいます。よくストライカーズ、ある程度でも伍せたものです。イギリス支部があれだけ脆いとは思いませんでしたけれど。わりとAJさんのワンマンじゃね?これ。
アメリカ支部も、国土が広いのに比べてタレントの数が揃ってないですし、思えば壊滅する前のロシア支部、あれ本当に戦力揃ってたんだなあ。戦争スル気満々だったのもむべなるかな。
日本支部けっこう雑魚いね、と思ってたんだけれど各国の実情を見てみるとそこまで劣悪ではなかったのか、と少し思い直しました。
ルー・ヂーシンの顛末はまじで驚きましたけれど。石動先輩、マジぱねえっすわ。この腐れ外道をよくぞまあ……。
一方でレナードの旦那は敵だった頃から今にいたるまで一貫してイカシすぎてるよ、まじで。こうしてみると、シリーズ最強の敵だったのって間違いなく六翼会議だったのを実感させられます。その一角を討ち取った丈弦先輩もまじすげえっすわ。

エピローグ、いわばこの二十二巻の集大成な代物と言えるわけで果たしてどうするのかと思ったら、かなり大胆に分量を割いて、しかも1年後から5年後まで時系列を分けつつ描くという形でそれこそ「みんな」のその後を描いてくれたのは嬉しいものでした。これだけお付き合いしたわけですから、余すことなくみんなのその後、みたいですもんね。
石動先輩があの静乃のところの理事長の魔手に絡め取られてたのには驚きましたけれど。なんか政略結婚の鬼と化してるじゃないですか、理事長w でも、ただの野心家では収まらない、さすが静乃の係累と言わんばかりの計り知れない所も垣間見せてくれて、いやいや侮れんよこの人。なんだかんだと、あの灰村諸葉も静乃と結ばれたことで身内に引き込んだわけですしね。

……いやあ、まさかの春鹿さん最速とは、これはワラタ。現代においてそりゃ重婚ってのはどうやっても無理なのですけれど、敢えて結婚しないよー、という形で事実婚状態でみんなと結ばれる形にしたのは、時代の流れだなあと実感するところです。そうだよねー、結婚しなきゃ関係ないもんねー。まさか静乃とサツキではなく、最初に春鹿、次にレーシャに子供が生まれるというのは驚きましたけれど。マーヤが合法ロリの道をひた走ってるのも笑いましたし。
一方で、シャルルも年貢の納め時を迎えて、あれだけ結婚しないと宣言していたエドワードも、購入特典のSSで見事にAJさんにエドワード人生初の敗北を喫することになってるんですよね。ちゃんとバランスは取れてるわけだ。AJさん、ほんと良かったねえ良かったねえ。プロポーズされて、乙女らしい喜び方とは程遠いけど心底喜びまくってるのが否応なく実感できる喜び方しているアンジェラさん、可愛すぎでしょうこの人。
諸葉も、異性に対する愛情とか友人に対する友情とか除いて、純粋に人間として一番好き、めっちゃ好き、大好き!! てなってるのってアンジェラさんなんですよね。あの物凄いアンジェラ好きはなんなんだろう、と思うところだけれど、なんとなくわからないでもないw
熾場さんはというと、石動さんとは全く別のアプローチでダークヒーロー路線一直線。もうその背負ってる過去から凄惨な姿までアメコミのヒーローでもやれるんじゃないか、と。
ただ、孤高ではなくちゃんと支えてくれる仲間がいるのがこの人らしですよね。ってか、ネリーはもちろんとして、万理先生……これは行き遅れずに済んだ、と思って良いんですかね?w

なんにせよ、終わりましたねー。終わっちゃったなあ。感慨深いし、満足感もあるし、ちょっとした虚脱感もある。もろもろ、読んでる間ずっと楽しい思いに浸らせてくれる実にエンターテイメントしている作品でした。燃える滾る痛快な物語でした。まったくもってお疲れ様でした。
あー、面白かった♪

シリーズ感想