異世界JK町おこし ~このことについて、魔族に依頼してよろしいか伺います~ (電撃文庫)

【異世界JK町おこし ~このことについて、魔族に依頼してよろしいか伺います~】 くさかべ かさく/sune 電撃文庫

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名所も名産もなく、冒険者達がただ通り過ぎていくだけの「二番目の街」タフタ。役所に勤めるハルは、町の財政難に頭を抱えていた。そんなある日、異世界から来たというJK勇者のナツが役所に迷い込む。レベルは1。超ザコ。ナツの思いつきで、魔王を観光資源としてタフタへの誘致を提案すると、何故か採用。魔王城での命懸けの交渉に挑むハル達の前に現れた魔王は、ナツの友達、JKのフユだった!?JK魔王フユがいきなり遊びに来ちゃったり、魔王誘致や洞窟開放の反対派に対応したりと、勇者と魔王になったJK達と公務員ハルの町おこし!?ストーリー!
とりあえず町おこしらしい町おこしは何もしてないですよね!?
ぶっちゃけ世界に街が5つしかない世界で、しかも最大人口を誇る一番目の都市で数万人しかいないという極めてスケールの小さい世界観の中にも関わらず、税収不足からくる財政難とか問題の原因がわりと深刻というか真面目というか、枠組みの適当さのわりに内実が妙にリアル寄りなもんだから解決のしようがないんですよね。何をしようとこれ早晩経済破綻して街滅び去るんじゃないだろうか。
ハルくんが勤めているお役所、つまり二番目の街を司る行政機関、どう見ても規模が贔屓目に見て市役所。多分実質は村役場、くらいのそれなのでやれることは殆どありません。ないよね?
この環境で色々と案を出して実際に動かしているハルくん、仕事押し付けられているだけとは言えまあよく頑張るなあ、と感心してしまうのですが問題はここから。
ハルくんが起こした案件が実際に事業として動き出そうとした際に、次々とそれを妨害する形でトラブルが舞い込んでくるのであります。
保守的な老害村民による妨害活動、隣接する街との公文書問題、カルトな宗教団体との土地問題。
いわゆる話の通じない、話をする気のない相手によるクレームや居座り、嫌がらせといったトラブルが次々にハルくんに襲いかかってくるのである。おおよそ、ラノベの主人公が立ち向かうトラブルではないそれらは、さながら窓口担当の地方公務員あるある!
そう、この作品ってJK町おこしと銘打ちながら町おこしが主題ではなく、市役所の職員とか村役場の担当さんを日々見舞う理不尽なトラブルの数々を、まったく颯爽とせずスパッと解決することもなく、なあなあで何とか収めてもらうという世知辛いあれやこれやを描いていく作品だったのだ。
もちろん、究極の問題である財政難の解決糸口は毛ほども見えない!
こんな中で肝心のJKはなにをしているのかというと、ほんとなにしてるんだろう!??
ただ、まったく話の通じない人種のなかでもギャル系JKはちゃんと意志の疎通はできるし、同じ何言ってるかわからない系でも味方になってくれるとその勢いで同じ話が通じない、話をする気ない連中を一貫した独自理論で押し切ってくれるので、建前だけで対処しなくてはならないお役所仕事なお役人様からすると、交渉の矢面という場面ではかなり頼もしいよね、という感じでけっこう役に立っていた気がするので、なにもしてないってことはないんだろうけど。
ってか、魔王役の娘はやっぱり何もしてないよね!?
世界観がやたらチープでやっつけなのも相応の理由がちゃんとあり、でもその理由が明らかになっても問題の解決に何の寄与しないあたりとか、なんか一貫して「どうしようもないもんはどうしようもないよねー」という諦観、というと高尚だな。こう、糸目になるほど目を細めてそんなもんじゃない?とぼんやり突っ立ってるみたいな感じのものが作品全体に横たわっていて、まあこういう味の作品なんだなあ、と感じたわけです。
いやどんな感じだよ、と言われそうですけど。