ミリオタJK妹!2 異世界の戦争に巻き込まれた兄妹は軍事知識チートで無双します (GA文庫)

【ミリオタJK妹! 2.異世界の戦争に巻き込まれた兄妹は軍事知識チートで無双します】 内田 弘樹/野崎つばた GA文庫

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「王国を救ってほしいのですにゃ!」
猫耳もふもふの獣耳種たちが暮らすカッツェラント王国。宗也たちが竜人種を退け、つかの間の和平を享受する一方、獣耳種たちも竜人種の侵攻を受けて危機的状況にあった。敵の敵は味方とばかりに、将来的な相互支援を視野に入れた宗也は、旧王家の生き残りである姫騎士ターマを支援すべく駆けつけるが―
「はぁ~、だる」
ターマはコタツで丸くなっていた。数万の大軍勢に対し、宗也たちの戦力はヒキニートな姫騎士ターマが率いる千人の聖猫耳騎士団のみ。絶望的な戦局に軍事知識チートで対抗する宗也&みぐ。獣耳種の存亡を賭けた冬戦争が、いま始まる―!

おいおい、いいんですかパルチザンとかやっちゃって。確かSNSでパルチザン関連のこの世の地獄っぷりを呟いていらっしゃったのは内田先生御本人だったような記憶が薄っすらとあるのですが、これIFルートでカッツェラント王国地獄変編とか実は存在してるんじゃないだろうか。
今回はみぐの直接の戦力としての活躍は最小限に。大陸北部の寒冷地における雪深き冬期の森林地帯を舞台に、宗也くんのタイトル通りの軍事知識チートが冴え渡ることに。って、冴え渡るなんていうと軍師的な智謀が云々、を想像してしまうかもしれませんが、ほんと実践から得た知識の集積からの応用なんですよね。それも、血と絶望を燃料にして駆動した地獄の有り様から摘出された、死臭のする知識である。
華々しい軍事史における作戦や兵器のそれとは違い、パルチザン……地元住人をも巻き込む形となる誘引型のゲリラ戦って、とかく泥臭く残酷で無慈悲と非人間的な決断が散りばめられているせいか、他の軍事関連の書籍と違って日本で書かれたものや邦訳されたもの、というのが極めて少ないそうなんですね。必然的に、それらを調べるためには海外の書籍の原文やもとの映像資料なんかを辿らなくてはならなくなる。マニアと呼ばれる人々の中でもそれが出来る人というのはさてどれくらい存在するものか。そう考えると、宗也くん年齢あと十年か十五年は上乗せしてないと、怖すぎる未成年青年である。内乱地域に自ら足を運んでドンパチのさなかも現代で経験済なんだぜ、こいつw
アナリスト顔負けである。カッツェラントでやってたことも、軍師というより軍事顧問みたいな感じでしたしね。
とはいえ、今回の作戦は一歩間違えると猫耳氏族の族滅が企画されかねない綱渡りでもあったわけで、相手が交渉が出来るほどに理性的で有能な軍隊という大前提がないとえらいことになってたんですよねえ。多くの村を疎開させて行動をともにさせている時点で死なば諸共ですし、村を捨てさせている以上は多くの資産をも捨てさせているわけで、食料確保の目処立ってなきゃ二度と立ち直れないことになってたでしょうし、それでなくてももし戦争に勝ち残れたとしても国家としてのダメージは極めつけに酷いことになってるでしょうし、復興までの道のりは苦難の道でしょう。
それでも、戦うことを選ばざるを得ない状況に追い込まれたからこそのパルチザン活動であるわけで、その一方でそこまで追い込んだ相手と交渉が出来る、というのはなんとも細い綱渡りのツナであったわけですなあ。
ともあれ、戦争の相手が話が通じる連中である、というのは厳しいけれど助かる要因でもある。まあ、今回の場合話をせざるを得ないところまで追い込んじゃっているところもあるのですけれど。
ドローンによる司令部爆破による暗殺とか、現代戦でも現在試行錯誤中という最新戦術じゃないですか。相手にとって事が終わったあとも何がどうしてそうなったのかわからない、という恐怖感があとあとにもうまく作用した、という点ではまさに軍事知識レベルの差によるズルではあるんですけれど、この奇襲それ自体は現代の軍隊相手でも下手をすると同じ程度で通用してしまいかねないところが恐ろしいです。実際のドローン戦のカウンターとか防衛とかどうなってるんでしょうね。これこそ最新知識を追えていないニワカにはわからないレベル。最新どころか現代戦そのものからわからんのですけれど。
ところで、このカッツェラントで新たに作ってしまった兵科。愛玩動物とされてきたサーベルタイガーっぽい大型にゃんこを使役して敵を襲わせたり、騎乗して突撃したりするこれ。もろに、あれですよね。某皇国の守護者の剣虎兵ですよねw
そりゃ強いよ。いきなり森から三十匹のでかい虎が突撃してくるとか、泣いて逃げ出すよ!
宗也くん、とんでもねえカード手に入れてしまったなあ。指揮官があの某やばい人みたいな人じゃなくてよかったよ、うんうん。
しかし、これだけやりたい放題やられてラズさんの方は本国での地位とか大丈夫なんだろうか。一度ならず二度までも喉元に剣を突きつけられて軍を引く真似をさせられたわけで、果たしてこのまま交渉できる敵の司令官、としての立場を維持し続けることができるのかしら。いい加減、責任とか取らされそうで怖いんだけれど。
あと、みぐの猫が苦手の理由がかなりえげつないもので、それとなくみぐの境遇の凄まじさをぶっこんできますねえ。そういうトラウマを徐々にでも解消していくことが、彼女がまともな人間性を取り戻していく過程として捉えることがいいのかもしれません。

1巻感想