ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.17 (電撃文庫)

【ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.17】 聴猫芝居/ Hisasi 電撃文庫

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Kindle B☆W

シュヴァイン様こと瀬川茜が最も怖れるもの、それは―オタバレ。あれ?シューちゃんがゲームするのなんかみんな知って…いや言うまい。と思っていた残念美少女・アコをはじめネトゲ部の面々の微妙な気遣いを余所に、夏休み明けの茜に向けられた言葉は…
「え、でも茜、ゲームしてるんでしょ?」「ち、ち、違うってば!」
クラスメイトの温かい言葉が瀬川さんに突き刺さる!そして茜の選んだ道は、みんなでLA引退&リア充化!?
ネタバレ:できない&なれない
やがて文化祭のコスプレ展示やミスコン企画も巻き込み、騒動は加速して―隠れオタ瀬川茜。最後の闘いが始まる! 
残念で楽しい日々≒ネトゲライフ、隠れオタ発覚の第17弾!

この英騎と茜の関係ってこれだけ巻数を重ねてもなお凄えなあと毎度感心してしまう。今回は茜回というべき話だっただけに、尚更に。
これだけ恋愛感情抜きで仲の良い男女の友達ってちょっとお目にかかれないものなあ。珍しく二人きりで、というシチュエーションがリアルでもゲームの方でも続いたわけで、リアルの方のそれは間違いなくデートみたいなもの。アコ公認、というのが凄まじいところなんだけれど、確かにアコとは別の意味で息ぴったり、相性ぴったりで何時間一緒に居ても飽きずに一緒にいられる関係だというのが実感できるデート回でした。こればっかりはさすがに会長やセッテさんでは難しいでしょう。楽しくは過ごせるだろうけれど、相手に気を使ってしまうところはあるでしょうし。
前回までの一年の双葉の新規加入と三年の会長の引退間際というのも含めて、今回は部の体制の刷新という重要回。夏休み明けの文化祭までこの重要な問題を引っ張ってる、というあたり彼らののんびり具合がわかるというものだけれど、それは新入部員入れるつもりサラサラなかった頃からわかりきっていたことなんだけれど、そうだよね、世間に対しての茜のオタク趣味の秘匿、というのは部としても考えてみたら問題だったわけだ。ネトゲ部は影の秘密結社などではなく、歴とした学校の部の一つ。そこに通い詰める茜がゲームもしないオタク嫌いというのはどうやったって無理が出るわけで、そのあたりの精算というか整理をまったく考慮せずにここまで来てしまったあたり……この人たちほんと問題が実際に問題になるまで全く危機感を持たないのはヤバイと思うぞ。当初からアコの非社会性ばかり取りざたされてきたけれど、他のメンツも相応にアレなんだよなあ。
そして、オタバレしかかった際の茜の対応の酷いこと酷いこと。それで隠せているつもりかーw
むしろこれは、英騎のフォローがうまかったというか、その言い訳は下手くそすぎます。
でもここで、オタクやめてリア充になる! と宣言するのはらしいと言えばらしい展開なのだけれど、茜一人が自分だけオタク辞めると暴走するのではなく、みんな一緒に辞めるんじゃー、とネトゲ部全員巻き添えにしようとするあたりが、今のネトゲ部の面々の関係だと自分勝手な暴走じゃなくて、みんなへのヘルプであり甘えであり仲の良さを強調する表現になってるのは、このネトゲ部の関係の特別性をより引き立たせてるんですよねえ。
みんなも嫌がらずに、よしじゃあ付き合ってやるかー、と嫌な顔一つせず茜のネトゲ絶ちに付き合ってリア充っぽい放課後や休日を過ごしてみせるのとか、どんだけ仲いいんだよ、となるんですよね。
あのリアルとゲームが逆転しガチなアコですら、ごねずに付き合ってますし。彼女の、みんなでやるぞー、と言ってくれたのが嬉しかった、というコメントに彼らの関係がギューと詰まってたんじゃないでしょうか。
まあ、速攻でみなさん禁断症状が出てしまうのですが、あのリアルリア充なセッテさんですら症状が出てしまったあたり、闇は深いw
双葉みかんも、一人だけ一年生という立場に気後れすることなく、もうネトゲ部に馴染みきってて完全にメンバーの一人になってますなあ。変に妹キャラ、後輩キャラみたいなキャラ付けもまったくなく、みかん色をちゃんと出しているのがまた偉い。イイ性格してるんですよねえ、この娘。マイペースに物怖じせずにぐいぐい押してきますし。途中参加というのが今となっては不思議なくらい馴染んでる。
さて、ミスコンなんてリア充の極み、みたいな文化祭企画に何故か茜のオタバレ回避のために参加することになった一同。なんだかんだと、ネトゲ部の女性陣がべらぼうな美少女揃い、という現実が浮き彫りになってしまったわけで。アコが美少女としてこれほど注目を浴びたことがこれまであっただろうか。まあ同時に、ガワの良さだけではどうにもならない中身の残念さも全校生徒に知れ渡るほどに浮き彫りになってしまったわけですが。もうこれでクラス公認に留まらない校内公認の夫婦ですね、西村英騎しか務まらないという意味でもw
あと、猫姫先生いじって遊ぶの勘弁してあげなさいw
いやうん、この先生をにゃーにゃー言わせて慌てふためかせるの、確かに面白いしかわいいけれど! こいつら、ちゃんと自覚して猫姫先生のことイジってたのか。さらっとミスコン優勝かっぱらいかける先生も大概パないのですけれど。

さて、冒頭ではひたすらに茜と英騎の男女の友情について言及してましたけれど……恋愛感情が見えないからと言って、それが存在しないかというと無いとは言い切れない、という表現になってしまうんですよね。
ネトゲ部のアコ以外のヒロインズ、決してその感情を匂わすことはしないのですけれど、時々ポロッと爆弾めいた言動は垣間見せるんですよ。茜がリア充活動の停止とネトゲ解禁を決めたときのセッテさん、秋山さんが茜に囁いたセリフとか、その秋山奈々子さんも聞きようによってはダイレクト極まりないセリフをさらっと英騎に言っちゃったりしていますし。
それでも、おそらくそうした気持ちを決して英騎には見せることがないであろう彼女たち。心の底からアコとルシアンのカップルを祝福し、応援しているからこその揺るぎない友情であり、相棒としての関係。いいですよねえ、これこそ一生モノの繋がりですよ。

シリーズ感想