神スキル【呼吸】するだけでレベルアップする僕は、神々のダンジョンへ挑む。(1) (モンスター文庫)

【神スキル【呼吸】するだけでレベルアップする僕は、神々のダンジョンへ挑む。1】 妹尾尻尾/伍長  モンスター文庫

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十五歳になると、女王からスキルが与えられる世界。冒険者になることを夢見ていたラーナが賜ったのは、「呼吸―息を吸って吐くことができる」というふざけたものだった。落胆するラーナだが、魔女の呪いで眠らされてしまった妹を救うため、万能の霊薬『賢者の種』を求めてダンジョンへ挑むことを決意する!自分に与えられたのが神のスキル“神呼吸”であることも知らずに―。幼なじみの美少女魔道士、ハイテンション受付嬢、ハーフエルフの姐さん鍛冶職人たちと協力し、最強スキルでダンジョンの最下層を目指せ!「小説家になろう」発、正統派冒険ファンタジー第一弾!

自分も、ログインしているだけで経験値が溜まっていくゲーム欲しいです。切実に欲しいです。経験値カード貯めるのめんどい!!
とまあ、息するだけで経験値が溜まっていってしまう、なんてスキルを手に入れたラーナくん。それで調子に乗ってしまったりしないところがこの子のいい所なのでしょう。
妹の命を救うためにダンジョンの最下層にまで行かなくてはならない、という切実な理由があるのですから、調子に乗っている暇もない、というのが正しいところなのでしょうけれど、それにしては深刻ぶらないラーナくんとプリネちゃんのコンビである。
元々の夢としてダンジョン探索というのが二人の間で約束されていたわけで、妹を助けるためという急ぎの理由はできたものの、夢はかなったわけですから楽しんで頑張らなくちゃ、というポジティブさは個人的には好ましいですね。変に深刻ぶって真剣さばかりを加味しても、それでうまくいくかというと人それぞれなわけですし。
勝利と喜びのダンス、というモンスター倒したら二人で意味不明な踊りを踊って喜んでるところなんぞ、微笑ましいというべきか頭お花畑だなあと呆れるべきかなかなか難しいところではあると思うのですが、その健全な前向きさはいいと思うんだけどなあ。
どんどんレベルが上がるからといって、なんでも自分でやってしまうのではなく、魔法関連に関してはプリネがいないとダメ、と割り切っている上に魔法に関してならプリネなら遥か高みにたどり着ける、という幼馴染への深い信頼。そして、彼女が居なくちゃ自分だけじゃダンジョンクリアなんて絶対にできない、という確信。これがラーナくんをして調子に乗らず、プリネとのコンビを大事にしている所以なのでしょう。本来なら万能感や特別感に酔ってしまいそうなところを、この謙虚な姿勢は明るさと相俟っても良い子なんだなあ、と頭なでたくなってしまいます。
こういう素直で謙虚な子なのだからこそ、プリネとの仲も進展しない、というのもあるのでしょうけれど。これに関してはプリネの方が問題だわなあ。一度ラーナくんの方から告白した時、兄として見てるよー、なんて言われたらそりゃもうプリネは妹同然妹同然、と自分に言い聞かせても仕方ないでしょうに。良い子、良いお兄ちゃんだからこそ、プリネの気持ちを尊重してしまっているわけだ。
ところが、プリネの方はこの告白のことを覚えていないのか、それとも全く違う解釈が存在しているのかわからないけれど、告白の件について全然認識していないようなんですよね。その上で、プリネなりに積極的にアプローチしているものの、ラーナくんはプリネは妹プリネは妹と言い聞かせているので、悲しいすれ違いが起こってしまってるんですねえ。
この件に関して、おそらく二人の誤解や勘違いやすれ違いを仲裁できそうなのって、ラーナくんの実の妹であるメアリーだけっぽいのである。二人のことを一番理解しているのが彼女であるようですし。
だからこそ、このダンジョン最下層に潜ってメアリーを助けるということは、イコールプリネとラーナの仲が結ばれる、という付与効果もついてきそうな側面もありそうなんですよね。
現時点で糖度高すぎるイチャイチャっぷりなので、別に現状でいいんじゃないの、と若干思わなくもないですが、まあ中途半端はよろしくないですからな。
ひたすらポップに明るく進んでいくダンジョン攻略、柔らかい気持ちで安心して読めるという意味でも読みやすい作品でした。