女神の勇者を倒すゲスな方法4 「お気の毒ですが変人は増えてしまいました」 (ファミ通文庫)

【女神の勇者を倒すゲスな方法 4.「お気の毒ですが変人は増えてしまいました」】 笹木 さくま/遠坂 あさぎ ファミ通文庫

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あらゆる手を尽くし、女神教との一時停戦をもぎとった真一たち。次は“不死身の勇者”を生み出す女神そのものを倒すため各地を旅していた彼らは、かつて女神が直々に破壊するよう命じたと言う“エルフの墓所”の存在を知る。しかしエルフは人間を忌み嫌い、不死身の勇者たちですら一蹴するほどの魔力の持ち主。なるべく友好的に接しようとした真一たちだったが、暴言を吐きまくるエルフに、ついにはセレスがブチギレ――!! 勇者も敵わないエルフ攻略方法はあるのか!? 魔王の参謀となった少年の異世界攻略譚、第4弾!

前回、女神教のこと不死を権力奪取に悪用せずにわりと健全な組織運用してたんだなあ、と述懐してましたけれど、前言撤回します。充分悪用してるわー!
疲れたら治癒で強制回復、眠くなったら覚醒で起こされ、過労死しても死者蘇生で復活させられ、24時間働け働け、って女神教のヤバさが振り切ってる!
これは人格歪むわー。腐ってるとはいえ、比較的マトモなフェルメータ卿ですらこれ経験してるんですよね。これが当たり前になってるのか。上から下までこんだけ働いてたら、そりゃ女神教躍進するでしょうし、みんなまともな思考ぶっ壊れて狂信者になりますわなあ。むしろ、腐ったり俗世に塗れたりで落ち着いてまともな人格のままでいた二人の枢機卿が凄いのかも知れない。
フェルメータ卿が指導者になって、ある程度女神教もまともになるかも、と期待したいところだけれど、狂信とはまた別の方向でフェルメータ卿が着々と内部腐教を進めているのがちと怖い。順調に行くと、教義自体が腐りかねないんですが! 女神教、別に女人限定の宗教じゃなくて普通に男女入り混じっているのですが、このままだと男の方の立場が掛け算の具だけになってしまいそうだ。

とはいえ、原理派が排除されて現実派が主導権を握った女神教は少なくとも敵対勢力ではなくなったので、当面の驚異は女神そのもの、となったわけで、今後はその女神の正体、彼女が魔族を絶滅させようとする意図を暴く、という探索モード、アドベンチャーパートへと突入。その秘密が眠るかも知れない遺跡を探索するために、遺跡を守護するエルフの里を訪ねることに。
そして、血統を守護するために近親交配を繰り返して、血のどん詰まりを起こして滅びかかってるエルフの里w
うん、そうだよね。外から新しい血を入れずに引きこもってたら種として行き詰まっちゃうよね。わりとファンタジーだと引き篭もり傾向のあるエルフだけれど、大概のエルフは寿命が無いか千年単位で生きるので、血の濃さの問題というのは浮き彫りにならないケースが多かったのだけれど、この世界のエルフは別に長寿でもなんでもないので、あっさり滅びかかってる、という……。
コメディタッチで描かれているけれど、なんとか血縁の遠い者同士での交配をしようとした結果、恋愛感情無視どころではないドロドロの婚姻模様が繰り広げられていたようで、ひたすらエグい実態が。場合のよってはファンタジー世界にも関わらず横溝正史ワールドな世界観になってたんじゃないだろうか、エルフ村。
そんな中で、血の濃さ故に誰とも結婚できない定めとなりハブにされていたエルフ娘のクラリッサ。……あかん、この子本物の変態やー! いやもう、道を誤った人はたくさん出てきましたし性癖としてどうなんだ、という人もたくさん出てきましたけれど、なんかこの子はそんな中でも並外れて「真性」だよ!!
ヒロインとしても色んな意味で「無理!」な感じの真性ですだよ!
まあセレスさんがドスケベエルフだというクラリッサの主張には大いにうなずかざるを得ないけれど。

ともあれ、遺跡の探索によって古代文明にかかわる女神エレゾニアの正体の一端をようやく掴んだところで、ラストの衝撃的な展開である。
真一という人間を現在の形に形作った根源ともいえる部分に、何の躊躇も罪悪感もなく無造作に手をツッコミ、かき回すどころか抉り取って見せつける無慈悲さ、冷徹なまでに愛情も友情も踏み躙る非情さ。なにより、やり口のえげつなさ。
女神エレゾニア、こいつが一番ゲスそのものや!
これは役者も揃って一気にクライマックスか。

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