魔術破りのリベンジ・マギア 4.絶唱の歌姫と魔女たちの祭宴 (HJ文庫)

【魔術破りのリベンジ・マギア 4.絶唱の歌姫と魔女たちの祭宴】 子子子子 子子子/伊吹のつ HJ文庫

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学園祭でデートにライブに大盛り上がり!?

欧州での事件を解決した晴栄たちは魔女学園に帰還する。折よくセイレムでは収穫祭としての魔女の宴<サバト>を迎えており、学園総出でお祭りの準備中。
久々の学生生活でゆっくりできると思っていた晴栄だったが、当然のようにその盛り上がりに巻き込まれていく。
ティチュやフラン、露花といったヒロインたちとの学園祭デートに加え、学園の成績優秀者<七虹の魔女(セブン・カラーズ)>とのエキシビジョンマッチまで組まれて、気付けば学園祭の中心に……?
お祭りムードでお送りするハイテンションな第4巻が登場!

第一巻にて日本からアメリカのセイレム魔女学園に転校してきたにも関わらず、二巻以降欧州各地の別の魔術学園を転戦してまわり、実はセイレムでちゃんと学園生活送ってなかった晴栄くん。一巻でも学園内で起こっていた事件を解決するのに奔走していて、授業もろくに受けてませんでしたしねえ。
というわけで、4巻にてようやくセイレムでの学園生活編なのであります。自分の学校にも関わらず、速攻で違う学校行ってしまったために、本来ならホームとなる学校の学友たちも知らない子ばかり。学園内の著名な実力者たちについてもまったくわからず、という実は今回が転校初日なんじゃないか、と思ってしまうような初対面のオンパレードだったりする。七虹の魔女なんて人たちがいるのも知らなかったしねえ。
落ち着いて周りを見渡してみるならば、ちゃんとセイレムにも個性あるキャラクターの持ち主たちに世界各地から流れてきた優秀な魔術師たちが揃っているわけで、改めてある程度この学園で物語を熟成してから外に出ても良かったんじゃないか、と思わないでもない。まあそれは改めてこの巻からはじめよう、というところなのかもしれないけれど。
外部とのコネは既に作ったので、あとは落ち着いて判明した蠢動する敵方との対決に物語を移行していくだけ、という段階に至ったのかも知れないし。
しかし、改めて判明したこの敵味方の構図が面白いことになってますね。魔術サイドの描写が緻密なだけに、その色んなジャンルの魔術系統が揃ってくるのってオールスターキャスト的な感覚が湧いてくるものなんだけれど、これ敵方の組織の正体が既存の魔術系統と全く異なる「アレ」サイドなやつなだけに、余計に対決構図に映えが出てきている気がします。全世界の既存魔術大系VSアレ、みたいな感じで。
セイレム魔女学園自体が、様々な系統・大系の魔術師を受け入れいれていて、晴栄自身も今回セイレム魔女学園の一員としての意識を強くすると同時に、学友たちとの交流を深めることで自分とは異なる価値観の相手との付き合い方、或いは自身の価値観を頑なに守るのではなく、緩やかに影響を与え合う健全な友人関係というものを構築していくことで、多種多様な価値観を守る側に立ち位置を据えることが適ったようですし。復讐者として自分を定義づけていた彼の、考え方の変化は主人公としての成長でもありますし、このセイレム魔女学園という場所の得難さを示しているとも言えます。
そこを、多種多様な傾倒の魔術師の友人たちと協力して、脅威となる敵組織と対決する、という物語の根幹となる芯棒を明確化するための準備回だったのかもしれません、今回は。
学園長先生の普段だらしないのにいざというときの格好良さ、頼もしさなんかも今後頼りにする大人の姿として重要でしたでしょうし、陰陽術と他の魔術大系と混ぜ合わせたハイブリッドの魔術を使うロカを、セイレム魔女学園が穏やかに受け入れてくれたところなんかも、先々のためには大切なシーンだったんだろうなあ。

しかし、シナトラでありますよ。シナトラといえば、あの著名なミュージシャンであるところのフランク・シナトラしか思い浮かばなかったので、珍しい名前だなあ、しかも音楽使うというか歌う魔術で歌手兼任らしいし、でもフランク・シナトラ男だし本作別に男女性別逆転させてるタイプの作品じゃないしなあ、と思ったら実は男の娘でガチでフランク・シナトラでした。ひゃー。
本作って、前回も実在の詩人ウィリアム・バトラー・イェイツを登場させたように、歴史上の人物を出演させてくるんですけれど、人選がまた思いもよらぬところから持ってくるのでビックリさせられるし、面白い。

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