戦うパン屋と機械じかけの看板娘〈オートマタンウェイトレス〉 8 (HJ文庫)

【戦うパン屋と機械じかけの看板娘〈オートマタンウェイトレス〉8】 SOW/ザザ HJ文庫

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ある日、トッカーブロートに謎の男・マイッツァーが現れる。彼は自らをスヴェンの父親と言い張るが、機械仕掛けの彼女に血のつながりなど存在しないはずで……。一方王都では、ソフィアがヒルダたちと新大陸国家ノアから来た正体不明の将軍を出迎えていた。また、ダイアンはある物の調査で、ブリッツドナーと共に敵国オーガストへと潜入していた。離れた場所の別々の事件が次第に交わり、より大きな事態に繋がっていく。登場キャラ総動員で動き出す人気シリーズ第8作!!

ロボ子のスヴェンに父親なんているわけがないじゃん。仮にいたとしても製作者はダイアンとわかっているので、父親扱いするならそっちだろうし。
だから、今回は父親を名乗る詐欺師の話かー……と思っていたらどうしてどうして。
あれ? 本当に父親なの!?
これはまったく予想外。そういえば、だいたい心を持つ機械人形って製作者を父親みたいなものとして認識していることが多かったのだけれど、ダイアンに関してはスヴェンはもとよりレベッカなんかもダイアンに対してボディの製作者という以上のものは何も感じていなかった。それは、彼女らの人格であるAIがルートたちが乗っていた猟兵機の支援AIであって、ダイアンが一から作り上げたものではなかったから、という認識だったから特に不思議とは思わなかったのである。
ダイアンを父と呼ばないのはそういうもの。スヴェンやレベッカが搭乗者であったルートたちを慕うのもそういうもの。そもそも、彼女らが機械にも関わらず人間のような心を持つに至ったのも、まあそういうものだから、というファジーな受け止め方をしていて、それで済む話なのかと思っていたのだけれど。
それでは済まなくなったのかー。
何気に、ルートがスヴェンの正体を知っているのかいないのか、というあたりにも容赦なく答えが突きつけられてしまったわけだ。もう素振りからだいたいのことは察せられていたのだけれど、そう言えばなぜルートがその事についてスヴェンについて問いたださないのか、という点については深い疑問を抱かなかったように思う。
それも、それがルートの優しい性格からくるものであり、そもそもスヴェンがそれを知られたくないと思っている以上、ルートから踏み込むことはないよな、という確信があったからなんだけれど。
言われてみると、それは停滞そのものなんですよね。関係性は、そこで行き止まりになってしまっている。それが悪いのか、と言われると首を傾げてしまうのだけれど、そうだよねー、何の関係もない他人……じゃなくても、友達や親しい仲でもこれに関してはなかなか言うことも言えないけど、女性側のお父さんからしたら、そういうなあなあな関係って認めがたいものがあるわなあ。
それでも、スヴェンが機械人形である以上、現状維持以外のどんな進展があるんだ、という話でもあるんだけれど、その前提がひっくり返るとなると、そりゃあもう話は変わってくる。
ってか、その前提ひっくり返るの!?
どうやらスヴェンの出自には、えらい歴史の深淵が関わっているようで、今まではルートの過去からいろんな罪やら想い出やらが追いかけてくる展開だったけれど、ここに来てついにヒロインであるところのスヴェンが、核心となって物語が動き出すのか。
何気に、前回確保されてしまったマリーさん。単にゲーニッツの残党に捕まったのかと思ったら、もっととんでもないモノに絡め取られてしまっていたみたいだし、想像以上に闇が深すぎる。
本来なら関わったり触れたりした途端に100%抹殺されるだろう展開から生還してみせるダイアン博士、この人なんだかんだとやっぱり凄えわ。
今回、ルートのパン屋さんが舞台のところと、ダイアンとブリッツドナーの門探索、そしてソフィアとヒルダのダグラス将軍接待編の三パートが同時展開していたわけですけれど、結構毎回違う場所で起こっている事件を同時進行で描いたり、という構成はあったものの、今回はさらに特別なクライマックスへと持ち込んでいて、これ物語そのものがクライマックスに突入したという盛り上がり、ばっちりですよね。何気に、全員揃ったのって初めてだろうし。まさにこの面子が主要人物として動いていくことになるのか。
これはラストに向けてテンションあがっていきますぞ。

シリーズ感想