異世界迷宮の最深部を目指そう 11 (オーバーラップ文庫)

【異世界迷宮の最深部を目指そう 11】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

Amazon
Kindle B☆W

――千と一年越しの告白。

迷宮から地上への脱出を果たしたカナミ、ライナー、ティティー。
散り散りになった仲間達の足取りを追って辿り着いたフーズヤーズは、すっかり様変わりしていた。
かつて親交を深めた人々と言葉を交わし、そしてカナミは最愛のひと、ラスティアラと再会を果たすが、とある理由から同行を拒否されてしまい――。
「さよならだね」
千と一年越しの再会と決別が繰り返され、互いにもつれゆく関係性の中で、カナミが取る道は。
【運命】に抗う異世界迷宮ファンタジー、第11巻!
カナミのテンションがいつになく高いぃ!!
テンション高いというか、これ躁状態なんじゃないだろうか、というくらいティティーと二人ではしゃぎっぱなし。未だかつてこんなに明るいカナミがいただろうか。異世界来てこれだけ開放感堪能してるカナミ初めてなんじゃないだろうか。
これまで、幾多のトラブルを乗り越えていわゆる平穏な環境を手に入れても、周りヤンデレに囲まれて気が休まる時がなかったもんなあ。場合によっては何事もトラブル起こってない時のほうが命の危機が迫ってるんじゃないか、一つ選択肢を間違えれば、一つ発言をしくじれば、即座に「死!」という常にギロチン台に首据えてるような状態だったもんなあ。
それを思えば、ちょっと開放感にテンションあがっちゃうのもしょうがないよね。そのテンションに任せてラスティアラに告っちゃってもしょうがないよね。
見事なまでに粉砕玉砕してしまいましたが。
おかげさまでカナミのテンションが余計に変になってしまってるぅぅ!
いや、この場合は無理やりあげあげにメンタル持ち上げようとカナミがテンションあげてるところに、ティティーが容赦なく無神経にそして無邪気に急所をナイフでスッパンと切り裂いてしまうような発言をしてしまうのが悪いのですが。
というか、ティティー狙ってないのになんでそんな会心の一撃なコメントばっかりするんですか、この子! 押してはいけませんと看板立ててあるあからさまなボタンを、全く見ないまま気づかず、でもピンポイントでガン押ししてしまうような的確な発言を繰り返すティティーさん。悪気が一切ないのが怖いです。なんか違う意味でサークルクラッシャーだぞ、この子。
それでも、それでも今までのヒロインたちと違うのは、ティティーはヤンデレじゃないというところなのでしょう。いや、前回ちょっとこの子もヤンデレ気質があるんじゃ、という恐れを抱いてしまったのですが、今回見る限りどうやらその卦はなかったようで、ティティーとしてもカナミに対してはお姉ちゃんというか相棒というか、異性という見方はしてないんですよね。その分、カナミも気後れなくティティーとは付き合えてて、なんていうかなー、これまでカナミって一緒に居たどの女の子もメンタルヤバイ子ばっかりだったから、いろいろと気を遣いっぱなしで相手のことを常に繊細に考えながら慎重に接してきたわけですけれど、ティティーに対してはそういう気遣い一切なく、ものすごく気安く接しているわけですよ。ティティーの方も、カナミに対しては全然気をつかったりせず、言いたいこと言ってやりたいことやって、とそういう無思慮な言動を場合によってはちゃんと受け止めて、場合によっては適当に受け流してくれる、という大きな信頼があるんでしょうな。
だから、二人してもう子供か、というくらい一緒にはしゃいでしまって、ライナーが別件で一時離脱してしまったせいもあってか止める人もいなくなって、今回ほんとカナミとティティーの二人して大騒ぎの大はしゃぎ、という楽しいお話に終始していました。
別れてしまった昔の仲間との再会の旅、というともっと深刻なものになるかとも思ったのですが、二人の躁状態もあってか、ガンガン進んだって感じですねえ。
カナミのいなくなったパーティーがバラバラになっていた、というのは案の定というか当然というか、まあそうなるな、ってな感じではあったのですけれど、もっとやべえ感じにバラバラになっていたのかと思ったら、わりと穏当に分裂してたなあ、という印象を持ってしまったのは我ながらどうなんだろう、と思うところですけれど。いやあ、もっと殺し合いとまではいかないまでも、喧嘩別れに近いものになってるんじゃ、と恐れてた部分もありましたからね。
実際、喧嘩別れみたいになっているところもあったのですが、感情的な行き違いというよりも方針の違いであり、ラスティアラの弱気から来たもので、わりとみんなの間にはパーティーを維持しようという気持ちがあったんだなあ、というのは意外でありました。
マリアがまたたくましくなりすぎ、というくらい頑張ってるのも意外でしたけれど。成長という意味では能力だけじゃなく、メンタル的にもこの子が一番かもなー。
ただ、この一年で一番頑張っていたのは文句なしにスノウでしょう。キャラ変わるくらい頑張ってたって、どんだけ無理してたんだこの子ったら。スノウって怠惰なのに一度頑張りだすと果てしなくやり倒してしまうところが凄いというかヤバイというか。
それでもまあ、一人でこれだけ頑張ってたわけですから、これは大いに褒めてあげないと。ある意味一番に合流したのもこれご褒美だわねえ。
ラスティアラはもうなんか拗らせちゃってますし。カナミもあれだけ面倒くさい性格だったのを頑張ってこれだけ矯正してきたのに、肝心のヒロインさんがどんどん面倒臭さを拗らせてきちゃってますよ。最初出てきたときは、もっと自分本位な子だと思ってたのにねえ。
とりあえず、ラスティアラは置いておいても他のマリアたちなどの面々とは合流して、という順番で話は進むと思っていたのですが、アイドの方から動いてきましたか。
ぶっちゃけ、今のアイドって前回までのロード・ティティーと状態は同じなだけに、それはもう乗り越えてきた場所だ、という印象が強いので、あとはティティーと……何気にアイドのヒロイン的存在らしいルージュ、この表紙の子が展開の上でも鍵となってくるんでしょうね。ティティーと同じ展開、というわけにはいかないでしょうし。ティティーとアイド、患っているものは同じでも立ち位置も違えば、現在置かれている環境も違うわけですし。
しかし、この件が解決してもティティーはなんとかならんですかねえ。本人もう覚悟完了しているのは仕方ないですけれど、カナミとのコンビが思いの外本当に気安くて心地よいものだっただけに、いなくなってしまうのはとてもとても寂しい。

シリーズ感想