恋愛至上都市の双騎士 (ファンタジア文庫)

【恋愛至上都市の双騎士(カップル)】 篠宮 夕/けこちゃ 富士見ファンタジア文庫

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最強の双騎士・勇也と藍葉が任務で送り込まれた世界は―恋愛感情が生む力が強さに変わる『恋愛至上都市』だった!?“魔王”討伐を期待される彼らは戦うためにやむなく…
「優しく、ぎゅって抱きしめてください」
戦闘中にハグしたり。
「先輩、顔近いですっ…まだ心の準備が」
訓練で壁ドンさせられたり。
「この戦闘服、スカート短すぎです…!」
ギリギリな衣装を着せられたり!?いつも生意気な態度で隠しているけど、実は勇也のことが好きな藍葉はドキドキが隠しきれない!?次第に過激になるスキンシップも、全ては世界を救うため!恋愛初心者な双騎士が贈る、いちゃラブバトルファンタジー!
これ、最初の通り「双騎士」と書いてバカップルと読む、で良かったんじゃない? というくらい、ナチュラルにイチャイチャするお二人さん。こいつら、普通にしているだけで恋愛値溜まってくんじゃないだろうか。
ただ、この勇也と藍葉の関係はバカップルという枠組みに押し込めてしまうにはやや微妙に複雑なものなっている。元々この二人は、二人ではなく三人であったのだ。そして、カップルというべきは勇也と幼馴染の少女であり、藍葉は後輩の女の子として二人にちょこちょこくっついて回る関係だったのである。それが、幼馴染の少女がある事件で勇也の目の前で亡くなってしまい、言わば取り残された二人として、この先輩後輩のカップルは続いているのだ。
今なお亡き幼馴染を想い傷心を抱えている先輩に、忸怩たる想いを抱えながら寄り添っている後輩。普段は気兼ねなくぶつかり合い、文句を言い合い、喧嘩をしながらベタベタしている二人でありながら、根底のところで繊細で容易に触れることのできない絡まりあった想いが秘められている、というなかなかに重たいカップルなんですよね。
それを、軽妙でスチャラカなノリでずいぶんと軽減しているんだけれど、このシリアスとコメディのコントラストが自分としてはかなり好みでありました。
いや、ほんと掛け合いがキレキレですごく楽しいんですよ。勇也と藍葉の二人に限定されずに、周りの面子も非常にテンポよくノリとツッコミが繰り広げて、笑えるわ面白いわ。特に婚期が遅れた挙げ句に痴女と化してしまった近衛の華恋さんとか。この人、色んな意味でキャラが濃すぎる上に言動がキレキレなので、出てくるだけで場がえらいことに。勇也のツッコミも冴え渡ってしまいますし。
ラブコメとしても、藍葉のかの幼馴染の女性夕日への憧れと劣等感。こちらに振り向いてくれないくせに遠慮なく喧嘩してぶつかり合って、大事にしてくれる先輩への憤りとどうしようもない恋心を持て余しながら、素直になれずに衝突して……いるようではたから見ると以心伝心にイチャイチャしているようにしか見えない、という恋する女の子の可愛らしさが溢れんばかりににじみ出ていて、非常に良いものでした。良いものでした。
この楽しいノリとテンポは、どんどん続き読んでいきたい作品でした。