神域のカンピオーネス 3 黄泉比良坂 (ダッシュエックス文庫)

【神域のカンピオーネス 3.黄泉比良坂】 丈月城/BUNBUN ダッシュエックス文庫

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北欧神話の世界から帰還した蓮たち一行は、梨於奈との婚約話を進めるため日本の魔術組織「神祇院」の本拠地・京都を訪れていた。梨於奈の妹・芙実花も登場し、将来の家族と仲を深めていく蓮。だが京都に新たな空間歪曲が発生し神話の世界と繋がってしまう!!サンクチュアリ・黄泉比良坂―日本神話の世界を瞬く間に滅ぼした女神イザナミは日本へ侵攻、黄泉醜女と呼ばれる凶悪なゾンビたちで関西地方は溢れかえってしまう。未曾有の危機に為す術のない神祇院は、唯一神に対抗できうる“神殺し”六波羅蓮に日本を託すのだった…!女神イザナミ、英雄スサノオ、八岐大蛇…日本を舞台に新たなる神話級バトルの幕が上がる!!
ちょっ、神殺しさまに対してなんという対応を。
流石は神殺しやまつろわぬ神々の脅威に見舞われずに来た世界である。カンピオーネの世界の業界関係者なら真っ青になって逃げ惑うような対応を神殺しとなった蓮たちにやってしまう神祇院。神話世界の侵食に関しても認識が非常に甘いし、かなりぬるま湯に浸かってきたんだなあ、というのがよく分かる。カンピの正史編纂委員会は極めて優秀だったのに。
これは梨於奈が舐め腐ってしまうのも仕方ない。一見増長している風にすら見える梨於奈だけれど、あれで彼我の戦力分析は冷静極まるんですよね。自信満々だけれど、自分の能力の限界を見誤らないですし。あかんものはあかん、と割り切って暴走する心配はありませんし。
まあ、そんな彼女に見下されきっている、という時点でお察し、というところなのですが。それでも、日本の魔術組織として統制力を持つ神祇院は敵に回すよりも利用できるなら利用するのが一番言い訳で……、この点ではコミュニケーションの化物でもある蓮の方が交渉役として結構な役に立っている気がするぞ。結局、お飾りだった当主さまを絶対的な味方に引き入れた上に実権もたせたわけですから。
とはいえ、ある程度計算してそういう小細工できる人である一方、社会的だったり倫理的なものに対して極めて大雑把になれる、というのも神殺しの特徴なわけで、蓮って建前なんて全然気にしないというところで、カンピの護堂さんよりも質悪いんですよねえ。わりと平気で建築物や史跡もぶっ壊しちゃうしなあ。大阪がえらいことになってしまったじゃないですか。まあ大阪城くらいなら立て直しも容易かもしれませんが。あの城も頻繁に怪獣の類にぶっ壊されるところですし。
恐ろしいのは、相方である梨於奈もステラもイケイケドンドンで街や建物を破壊することに何の痛痒も感じないどころか、やっちゃえやっちゃえ、というタイプの人たちなんですよね。今回のパーティって、止める側の常識人タイプが一人も居ないw
どうやら霊媒であるらしい梨於奈の妹の芙実花はまだマトモなタイプのようですけれど、怖いお姉ちゃんに対して意見言えるような娘でもなさそうですし。
今回は日本が舞台ということで、出てくる神様・伝説上の人物もみんな和モノ、というわけでイザナミやスサノオはともかくとして、味方サイドに厩戸皇子と役小角というチョイスは渋くて好きです。役小角が賀茂氏の人というのは知らんかった。そう考えると、八咫烏を祖とする血統は日本の呪術を司る系統に位置している、というのもまんざらでもないのか。八咫烏の化身である梨於奈がめっちゃ胸そらしてドヤ顔しているのも、そこらへんの自負があるからなのね。
でもまあなるほど、そこまで梨於奈が自負を強くしているのなら、地元である大和こと奈良を差し置いて、京都が日本の都であり魔術の本拠を自称していることに、不満をいだいているのもわからなくはない。いやでも、この奈良県推しはなんなんですかねw 確かに、近畿圏の各府県はお互いわりと隔意持ってるところは無きにしもあらずですけれど。
さて、ズンドコ進展してしまった挙げ句に、早々に実家にご挨拶、というところまで進んでしまった蓮と梨於奈の婚約者関係。別に表向きだけ、というわけではなく、両者ともに乗り気というのが恐ろしい。いや、梨於奈はともかく蓮は微妙にどう考えているのかわからんところがあるのだけれど、結婚してしまうことに対して特に嫌がってる素振りもないからねえ。こうなると、ニコニコと見守っているカサンドラはともかくとして、ステラは穏やかならず。でも、そうか。ステラって体が小さくなっているということ以外に、人妻というハードルがあるのか! ステラ本人は全く気にして無くて浮気する気満々なようだけれど、蓮としては人妻相手はポリシーに反するようで……でも、いざとなったらまあいいか、で済ましそうな気もするんだよなあ、この男。
とりあえず、現代の軽トラックを乗り回して戦車戦車ヒャッハーしてるカサンドラさんが楽しそうでよかったです。一台くらいお持ち帰りさせてあげてもいいんじゃないですか?
とか言ってるうちに、そのカサンドラさんがえらいことになってしまったわけですが。やはり本作は梨於奈とカサンドラさんの二大ヒロインぷらすマスコットという構成で行くのか。

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