異世界建国記III (ファミ通文庫)

【異世界建国記 掘曄〆木桜/屡那 ファミ通文庫

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『七日戦争』を勝利し、ロサイス王の国の国王になったアルムス。アルムスは自国の軍事力と経済力増強のため慌ただしい日々を送っていた。そんな中、軍事大国ドモルガル王の国内でカルロ派とアルド派が対立し、武力紛争へと発展してしまう!! すると、アルムスの元に友好関係を結んだカルロ派が力を貸して欲しいと救援を求めてきた。アルムスは悩んだ末に手を貸すことを決めるのだが……。大人気異世界内政ファンタジー、第三弾が登場!!
そんな後出しジャンケンみたいな政略結婚って、ありかいな。まあこればっかりはアルムス側もゲヘナのアブラアムも想定外の偶発的なことだっただけに仕方ないのだけれど。ただ、発覚したあとのアブラアムの間髪入れずの付け入る蠢動は、さすが僭主として権力を握った姦雄であると言えるのでしょう。アルムスはその点、気をつけてはいるもののアブラアムがどこまで積極的に策動するかについてあまり想定していないようで危惧が残る。後継については思慮を重ねてはいるんですけどね。ユリアの方が男の子だったら何の問題もなかったんだろうけどなあ。
さて、古代ローマをモデルとして描かれているロイサス王国興亡記である本作ですけれど、地図を見るとロサイス国ってまだまだ本当に小さいんですよね。文字通りの都市国家。この時点で首都移転計画立ててるのって、けっこう気が早い気もするのだけれどどこまで将来的な展望を持っていたんだろう。半島統一を考えていたのなら、周辺諸国飲み込んでもまだまだ半島全体から見ても領地は小さいものですし。でも位置関係見ると半島でもほぼ中央に位置することから、それほど問題でもないのか。
でも、それだと半島のど真ん中を結構広く専有しているグリフォンさまの不可侵領域ってかなり邪魔で交通の便的にも迂回を強いられるだけに、これどうするんだろうって場所なんですよね。デカさ的にも琵琶湖よりも大きいような領域が真ん中にズドンとくり抜かれて、進入禁止になってしまっているわけですから。将来的にトラブルになっていくんだろうか、これ。
外交交渉と新婚旅行を兼ねて、ユリアとテトラを連れて近隣諸国を回るアルムス。近代以前に、国のトップが直接外遊、なんてことはまずなかっただろうだけに、こうして直接面通しして国の方針を伝え合うというのはただの交渉よりもよほど大きな結果をもたらせそうなものですけれど、意外とあんまり劇的な効果もなかったような気がしないでも……。ゲヘナでは逆にトラブル抱え込むことになりましたしね。
結局、ロゼル王国の暗躍、というかマーリンの暗躍によって周辺諸国との関係は一気に悪化してしまったわけで、外遊による信頼の獲得なんてのはさっぱり出来てなかったことになる。
まあ、アルムスからして実際国内が安定して国力が確保できたら近隣諸国を攻めて国土を広げる気満々だったわけですから、当然といえば当然の結果なのでしょうけれど。
しかし、当面の最大の敵はこのままロゼル王国になるのか。北の大国として実に大きなプレッシャーかけてきていますし、何よりロゼルを裏で操るマーリンちゃんが色んな意味でやばすぎる人ですし。いろいろ擦れちゃってるもんなあ。擦れた上で熟れて国動かしてるものだから、質が悪いなんてものじゃないですぞ。
今のところは直接国土を面しているわけではないので、脅威とはなってませんけれど、既にこの段階でバチバチと裏では火花を飛ばして競り合ってきているわけですしね。
順当に子供なんか作って私生活充実させつつあるアルムスですけれど、登極以前から或いは当初からの家臣たちもそろそろお年頃だったり、相応の地位を得てちゃんと家庭を持つ段階になり、次々にあれこれと結ばれていくのを見ていると、子供であった時代は通り過ぎてここからは大人になった彼らの話になってくんだなあ、とじわじわと実感し出しています。

1巻感想