【やりなおし英雄の教育日誌 3】 涼暮 皐/桑島 黎音 HJ文庫

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全てを知る灰色の魔女登場。

かつて辿った仲間との旅を夢に見たアキ。懐かしい記憶に感傷を覚えながら目を覚ますと、その枕元には《灰色の魔女》を名乗る少女が姿を現していた。
ソニカたちを攫って消えた魔女を追ったアキはその終着点で世界の真実を知ることになる。
人類とは、魔族とは。そして、過去にアキを送った灰色の魔女の真の狙いとは。
失敗した未来を覆す、元英雄によるバトルファンタジー第3巻!
灰色の魔女って、失われているアキの記憶の件もあるし、その存在自体が謎すぎて、彼女こそがこの物語の最重要キーパーソンなんだと思ってたんですよね。
いかにして、この時代にもいるはずの灰色の魔女を見つけ出すのか。その探索が一つの山場になってくると思っていた。こういうのって、RPGに毒されてるのかもしれません。クエストは能動的に動いて待っている鍵となる人物、フラグとなる人のところへとたどり着く、みたいなのが定番という意識があるのでしょう。
まさか、向こうからひょいひょい来るとは思わなんだ。
昨今ではラスボス魔王もラストダンジョンの魔王城におとなしく鎮座しておらず、気軽に徘徊する時代であるので、珍しくもないことなのかもしれないけれど、なんちゅうか主導権を握れていないというのは確かだよね、アキたちが。
結局の所、未来から戻ってきたアキをして、自分たちが戦う魔神のことも、魔族のことも、自分を助けてくれて未来へ送り出してくれた灰色の魔女のことすら何も知らず、世界の真実を何も知らない以上、主導権なんか握れるはずもないのだろう。
灰色の魔女が賭して現れたのは、ある意味アキたちに力を与えるためというよりも情報を与えるためだったのかもしれない。それでも、彼女が負うリスクに対してそれに見合うリターンだったのかはかなり疑問でもあったのだけれど。
まあ端からパワーバランスというか、敵と味方の彼我の戦力差が酷いんですよね。スタートラインから無茶苦茶出遅れて態勢も何も整えることの出来なかった過去は問題外としても、話聞いてるだけで魔族の側の九王位とかデタラメもいいところで、これ一人ひとり魔王と呼ばれる存在なんじゃないの? よく考えると、ラスボスの魔神って文字通り神なわけで、その前に魔王が9人いるってどんだけ無理ゲーなわけですか。先述したとおり、昨今では魔王も平気であっちこっちうろついているわけで、わざわざ敵の陣地に乗り込まなくても向こうからホイホイやってくる時代なわけですよ。
アドバンテージなんてどこにもありゃしない。
それでも、未来からアキを過去へと送り返したように、もう一度かすかな可能性を手繰り寄せるための綱渡りを、あの灰色の魔女は選んだわけだ。何気に生き方在り方が、アキや過去の勇者パーティーの面々と一緒なんですよね。その正体と出自を考えるなら、それは当然のことかも知れませんけれど。
しかし、彼女がもたらしてくれた圧倒的な密度と量の真実によって、あらかたのあれやこれやは説明がついたにも関わらず、何気に一番最大の疑問点、違和、相違点、正体不明の存在が尚更に正体不明になってしまったわけだ。
原点に戻る、じゃないけれど。一番最初の「え?なんで?」がさらに補強された形で「え?なんで?」になったわけで、ほんとなんなんだろう、アミちゃんこの娘。
それはそれとして、イフリアが可愛いなあ可愛いなあ。素直かつ積極的になったこの娘さん、パねえっすわっぁ。ソニカたじたじじゃないですか。このままソニカ右往左往してたら、一方的になっちゃいますよ?

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