【なぞとき遺跡発掘部 卑弥呼様はどちらにいますか?】 日向 夏/vient 小学館文庫キャラブン!

Amazon
Kindle B☆W

遺跡調査で掘り出されるのは、事件の予感?

考古学専攻の田中灯里は、キャンパスに生えるたんぽぽを主食にするほどハードな極貧生活をおくる女子学生。遺跡発掘調査のアルバイトで学費を稼ぎつつ、食費を浮かせるために、人はいいが影の薄い西枝教授や男前だけど隠れ甘党な古賀先輩に、福岡グルメをたかるのが灯里の日課だ。
そんな灯里は、昔から妙に運がいい。スコップ片手の発掘現場で、たびたび貴重なものを掘り当てる灯里は、運の悪さを自ら認める西枝教授にたいそううらやましがられている。ただし、灯里が見つけるのは、古代ロマンあふれる勾玉や土器の欠片ばかりじゃない。加えて五感も鋭いせいで、土の微妙な手触りの違いや植物のささいな変化に気付いてしまい、ついうっかり怪しいものを発見したり、白骨死体に遭遇したりすることも! そのたび、やっかいな騒動に巻き込まれ、灯里は古賀先輩とともに、事件やトラブルを解決するべく駆けまわることになって――!?
注目をあびる気鋭の作家が「福岡あさくら」を舞台に描く、遺跡発掘×ミステリー!
本格的な考古学モノではなくて、遺跡発掘現場の作業中に起こったあれこれの小さな事件を目ざとい灯里が解決、というか幾つか気づいたことから見抜いて、答えを提示していく、みらいなライトミステリーですなあ。
小さい事件と言っても、ラストの事件は相応に大きいものになっていますが、遺跡発掘では定番とも言えるネタになってしまうのかも。
でも、発見率というか当たりの多さからすると、灯里の方が疑われないかと心配になるくらい、現場に出る度になんか見つけてるんですよねえ。まあ見つけるものが歴史的な遺物、とかではなく、白骨死体だったりやっかいなものも多いので、そういう疑いはかけられないのでしょうけれど。
しかし、彼女の場合運が良いというだけではなく、観察力が並外れているとも言えるんですよね。他の人が気づかなかったところに違和感を感じることで、なにか埋まっているポイントを見つけ出しているので、何の目算もなく適当に割り当てられたところ掘ってたらなんか出てくる運だけの人、ではないのでしょう。
彼女の鋭い観察眼と、自分が見つけたものを考察する分析力みたいなものはやはり飛び抜けているんですよねえ。まあ、彼女が考古学者に適正があるのか、というとなんとも首を傾げてしまうのですが。
考古学への情熱があるわけでもなく、「……っす!」という喋り方は女の子として大丈夫か、と心配になるくらいの三下口調ですし。案外友達いなさそうですし。そりゃ、暇さえあればご飯たかってくる娘はなあ。彼女がたまにポロッとこぼす困窮具合や過去の家庭環境はわりと洒落になってないですし。現在は大学に通えているように、幾分ちゃんとしたものになっているようですけれど。
古賀先輩もこの厄介というか極めて鬱陶しい後輩の面倒をよく見てるなあ、と思うんだけれど、相性いいんだろうか、古賀先輩も面倒くさいといったら面倒くさい人みたいですし。
ともあれ、まあサラッとというかサクッという感じで読める日常ミステリーものでありました。生徒も同じ学者仲間にもろくなのいないのに、温厚故に色々面倒しょってしまう西枝教授がなんとも哀愁漂っていて、もう少しみんな優しくしてあげてください。
古賀先輩は教授ラブすぎて、逆に鬱陶しがられてないだろうか、あれw

日向夏作品感想