【最強同士がお見合いした結果 2】 菱川 さかく/U35 GA文庫

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「初めましてアグニス様。しばらくこちらでご厄介になります」
二度にわたる聖堂の崩壊を受けてお見合いが頓挫する中、アグニスの砦に一人の少女が現れた。
外遊にやってきたというレヴァーミント王国の王女エリカの魅力に周囲は早速メロメロ。
そんな彼女の目的は『最強』の剣士アグニスの篭絡だった!?
「そろそろ落としにかかるわよ」
だが、生来の恋愛ポンコツたる最強剣士にはまったく手管が通用せず、逆に地獄の修業につきあわされる始末。
さらにはもう一人の恋愛ポンコツ『最強』の魔女レファの参戦で事態はどんどん面倒くさいことに!?
お見合いから始まる最強同士の恋愛ファンタジー第二弾!
影ですっごい努力している腹黒系ヒロインって好きなんですよねえ。表と裏の顔を使い分けて、周囲を籠絡するというのは定番なんだけれど、その表の顔を維持するのに不断の努力をしてるとなるとすごく真面目で健気な娘だなあ、と見えてしまうのです。
特にこのエリカは、頭がいいのか悪いのかわからないところがあって、突発的な予期せぬことが起きても臨機応変に対応できずに、わりと脳筋対応というか提示された課題にめっちゃ集中して取り掛かってしまうところがあって、あとになって本筋から盛大に外れていることに気づいて、なにやってんだわたしーー! と、それまで夢中になってやってたそれを地面に叩きつけて頭抱えるようなところがあって、アホ可愛いというかなんというか。
根っから努力家なんですよねえ。アグニスに媚び売って修行にお付き合いしますー、なんて言ったらガチでそれ姫とか以前に女の子にさせちゃいけないハードトレーニング!! というのをやらされそうになって、そこから普通なら逃げ出すのにエリカって、負けん気とかそういうのじゃなく思わず言われた通りに夢中になって全部メニューをこなしてしまってから、あれなんで自分こんなことやってるんだろう、とハッとなるとか、根っから努力するのが身についていないとなかなか……単にぽんこつ、という可能性もありますが。
一番効率的な作戦を選んだつもりで、何気に迂遠な方法になってしまっていて、やたら自分が苦労するルートを選んでしまっているところとか、ほんともう頑張れ頑張れー、と応援してあげたくなるような腹黒娘なんですよねえ。
ヒロインとしても、幼馴染で運命の約束の人同士、というアグニスとレファの間には後発では絶対に割って入れない、という立場でありましたし。その事実を、全部気持ち的にも手遅れになってしまってから気付かされるとか、なにかしらうまくいかない娘なんだなあ。
ただ、こういう娘だからアグニスもレファもある意味素直になれないお互い同士よりも、思いっきり肩入れしてしまったところもあるのでしょう。エリカも含めて何かと報われない三人組として、得難い友情のトライアングルが形成されてしまったのかも。うち二人は潜在的バカップル、という残り一人にとって何気にえげつない関係でもありますが、ポンコツ腹黒ヒロインはデレると徹底して健気な振る舞いに徹してしまうからなあ。なんとか報われてほしい娘さんでした。
それにしても、アグニスとレファはあれでちゃんと類稀なるポンコツ同士として噛み合ってたんですねえ。エリカのあの二人に対しての暖簾に腕押しな、なんぼ頑張っても策謀の手が引っかからない空回りっぷり噛み合わなさは、涙がそそられるものでしたし。
一見、ある程度会話が成立しているというか、アグニスとかえらいまともな対応に見えてしまう分、顔を合わせると破壊と混乱が渦巻いてしまうアグニスとレファのペアよりもちゃんとしたコミュニケーションに見えてしまうのが、何気にたちが悪いというかなんというかw
一方で帝国側の暗躍も目立ったものになってきて、対帝国編の特色も濃くなってきたようで、先の行方も面白くなってきた。

1巻感想