【俺もおまえもちょろすぎないか 2】 保住 圭/すいみゃ MF文庫J

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自分に正直で素直な少年・功成と、生真面目で何でも真正面から理解しようとする少女・つぶらは、お互いの性格が相乗効果となり、恋人として瞬く間に関係を深め、二年後の“結婚”を約束した。だがつぶらは、もっとイチャイチャしたい!と思う功成とは逆に「そういうことも二年待ってください!」とお預けをしてしまう。
そんなある日、以前告白してフラれたギャルの先輩・青原稀が功成たちの前に現れる。怒られる…?と怯える功成に対して彼女は―「好き!付き合って!」功成の衝撃的な告白が忘れられず、惚れちゃったって…!?
キミはこの甘さと速さについてこれるか!?超濃厚ハイスピードラブコメ、第2弾!!
あれ!? つぶらちゃん、あーた恋敵の話もそんな真面目に聞いちゃうの!?
稀先輩の強襲は、あれは功成の無神経極まる告白とその撤回行脚が原因で自業自得以外のなにものでもなく、だからこそちゃんと功成が謝り倒して謝罪に徹するという行動は当然といえば当然だったのだけれど。
そうかー、稀先輩のロジックを真正面から聞いちゃうのか。その感情の推移とそれに伴う行動に関して、きちんと説明されてしまうとそれは確かに筋が通っているんですよね。それを秘さずに詳らかに説明してくれた稀先輩の態度は誠実であったし、その言動は話を聞けば理にかなう、というのも変な話だけれど、理解できるものだったわけです。
そう、理解できてしまうものだったわけで。ちょうど恋というもの体験真っ最中だったつぶらからすれば、それは大変に理解と共感を得ることの出来るもので……。
まさか、功成よりも先に当の恋人であるつぶらの方が共感からのめり込んでしまうとは思わなかった。これ、つぶらの特質を悪用されてしまってたらわりととんでもないことになってたんだろうけれど、幸いというべきかなんというか、この稀先輩という人もまた強かでありつつも誠実な人で、功成へのアプローチは仕掛けるものの、ちゃんと恋人がいる相手であること、その恋人であるつぶらへの配慮、という点に関してはちゃんと線引きしてやりすぎないんですよね。
つぶら公認の最初のデートで、だいぶ攻めてたのだけれど、そこでラインを見極めたのか、それ以降は好意は隠さないものの、つぶらを尊重して邪魔はしないというスタンスを崩さないものだから、それはそれは男性陣女性陣関わりなく好感度あがりっぱなしなのである。
それも計算のウチ、とすれば恐ろしい人ですけれど、なんというかイイ人なんだなあ。ってか、そんなこと出来るほどなら、最初の功成の無差別告白テロの時にうまいこと掻っ攫ってるわなあ。
相手の気持が理解できる、その人の感情を受け止められる、それはとても尊いことなのでしょう。真面目に、真剣に話を聞いてそれを受け止めて、理解して、だからそれを蔑ろにしない。尊重して、大事にしてってされたら、話した方も嬉しいです。自分の気持を理解して受け入れてくれることほど嬉しいことはないでしょう。
でも、野放図に受け止めてしまっていたら、肝心の自分たちの気持ちの方はどうなってしまうのか。相手の気持を受け入れて尊重して、その結果として自分の気持ちを押し殺すことになってしまっては、本末転倒ではないのか。相手を大事にして、自分の方を蔑ろにしていいのか。一番大事にすべき人を後回しにしていいのか。
真面目で愚直であるが故に、目の前のことに囚われて迷走しがちなこのカップルは、そのままなら迷走したまま行き止まりへと突き進んでしまっていたかもしれません。幸いだったのは、それを危惧して身を挺してわからせてくれる友人たちが、彼らの周りに居たことなんでしょうなあ。
小津梅香にしても、稀先輩にしても、ほんと心根がスッキリしていてイイ人だとしみじみ感じ入ってしまった。それでいて、ワンチャン確保しているあたりは、ただただイイ人だけじゃないんだぞ、という功成つぶらの鉄板カップルに対しての諦観に縛られない前向きさがあって、そういうの好きです、ええ。ふたりとも、つぶらのあの生真面目さをこよなく好きになってこのカップルを祝福しつつ、でも自分の気持には正直に押し殺さないように、ってのは功成とつぶらに示した「自由」を実践している、とも言えますしね。まあ、きっぱり振られて、気持ちにけりはつけているとも言えるのですが。特に小津ちゃんはその辺、頑張るつもりみたいですし。
それはそれとして、予想外のところから伏兵が出てきたぞぉ。