【俺たちは異世界に行ったらまず真っ先に物理法則を確認する 3】 藍月 要/閏 月戈 ファミ通文庫

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高専生が次に挑むのは、難攻不落の"自動生成ダンジョン"!?

「位置がわかんねえならGPSみたいなシステム作っちゃいましょ!」
大精霊祭での活躍が注目されたギルド・オオヤマコウセンの面々は、国王から魔導具の祖ジーリンの情報と引き替えに"自動生成ダンジョン"の攻略を依頼される。その魔窟は、地形を変え続けることで難攻不落と言われていたが……。そして幹人と彼に積極的なザザ、それに焦る魅依、三人の関係の行方は――? さらに加速する高専生たちの普通じゃない超英雄譚、第3弾!

"自動生成ダンジョン"って「不思議のダンジョン」かー! あれはトルネコしかプレイしたことがないのだけれど、面倒くさい!!
ただゲームではない以上、最初から設定されたルールにこだわり続ける必要はないわけで、外からGPSみたいな支援機構作って位置情報を入手できるようにしたり、ダンジョンのシステム自体に介入したり、とそういうことが出来る「オオヤマコウセン」はそりゃ他のギルドとは違いますわー。
それでも、魅依のハッキング技術が謎すぎて彼女に任せればたいていなんとかなります、になってる気がしますが。インディペンデンス・デイの敵母船のメインコンピューターを旧式のノーパソで乗っ取った人レベルではなかろうか、すごいね!
不思議のダンジョン系のゲームというと、階層を移動すると階の構造が変わっている、という体が多いと思うのだけれどこのマヤシナ・ダンジョンは内部構造が変化するのが時間制なんですよね。日の出と同じタイミングで内部構造が変化する。その際、ダンジョン内に居たら「不変領域」と呼ばれる場所に居ないと構造変化に巻き込まれて死亡するケースも有り得るという……何気にこれ凶悪極まりない設定ですよね。不変領域発見できないとアウトだし、もし敵に遭遇して進行を阻まれて間に合わなくてもアウトだし、この不変領域って敵の不可侵領域、いわゆるセーフティーゾーンじゃないので敵が攻めてきたらヤバイことになるし、と。攻略不可能ダンジョンと言われていたのも納得である。
ある程度情報が揃った状態で攻略できたからマシだったけれど、果たしてここまでダンジョンの情報を集めるまでにどれほどの人命が失われていったのか。不変領域が存在するというのを発見するだけでも途方もない時間と人命が浪費されただろうし。
そう言えば、それだけの被害を出しながらも攻略しないといけない理由ってなんだったんだろう。なんか女王様は国の存亡が掛かっていてダンジョンを攻略しなければならない、と言ってたけれど作中でその理由が明かされた記憶がないんだけれどなあ。
今回はダンジョン攻略にかこつけつつ、幹人とザザと魅衣の三角関係についに決着が!? と見せかけて、何気に中久喜照治兄やん回でしたなあ。幹人と咲の雨ヶ谷兄妹の兄貴分である照治。どうして彼が兄妹と知り合ったのか。照治にとってのこの兄妹の存在とは。と、このオオヤマコウセンのリーダーであり、冷静沈着なまとめ役である兄貴分の掘り下げ回でもありました。
同時に、なんかようやくオオヤマコウセンのメイン以外のメンバーにもスポットがあたってきたようで。一巻なんか、一緒に異世界転移した仲間なのに名前すら殆ど出てこないモブ扱いで、どういうキャラなのかさっぱりわからなかったもんなあ。ようやく、塚崎と横倉という数少ない女子メンバーについてもキャラが描かれだして、ホッとしたところであります。
しかし、幹人がザザと魅衣に挟まれてえらいことになってる、と思ったらいつの間にか照治兄さんの方がえらいことになってません? てっきり、テル兄さんは咲の担当だと思ってたのに、塚ちゃんがこっそり好意を送ってるわ、テル兄さん的にはどストライクな雨ヶ谷兄妹とキャラかぶってる新キャラが登場してしまうわ。特にこのジルさん、雨ヶ谷兄妹とキャラがそっくりで気になってしまうからそっけなくしてた、ってもう一目惚れに近いんじゃなかろうか、これ。
一応、イヌくんがグッと想いを押し殺して仲良くなった女の子と別れて、幹人もザザに対して語ったように、みんな異世界から現代日本へと戻ることを前提として行動しているわけで、今回のダンジョン攻略もそのための情報を報酬として手に入れるため、であったのですから一貫はしているのでしょうけれど、テル兄さん大丈夫だろうか、なんか引っ張られて残ってしまわないか心配である。幹人と咲への執着が、逆に親離れ子離れじゃないけれど、離れるフラグみたいに感じてしまうところなんですよねえ。
それにしても、あの女王様合理と効率の塊すぎて、そのうち人心掌握に失敗してえらいことにならないか心配である。あそこまで情を解さないとなるとなあ。人間の感情というものを加味しない合理性、効率性ってその感情の非合理さから破綻するケース少なくないですし。

シリーズ感想