【ロード・エルメロイII世の事件簿 6.case.アトラスの契約(上)】 三田誠/坂本 みねぢ TYPE-MOON BOOKS

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「人がつくりだした、極小の死後の世界。それこそが墓である」舞台は始まりの地、ウェールズへ!! いま明かされるグレイの過去!?
ついに、物語は『彼女』の故郷に至る。半年前、ライネスとロード・エルメロイII世は、第五次聖杯戦争で勝利する手がかりを得るため、とある辺境の墓地を訪ねていた。だが、一見平凡な墓地と村には奇妙な掟(ルール)と謎が秘められており、そこで遭遇した事件と人々が、後々までふたりを縛り付けることとなったのだ。黒い聖母。ブラックモアの名を継ぐ一族。灰色のフードで顔を隠した、寡黙な墓守の少女。そして、時計塔と並び称される魔術協会のひとつ――アトラス院の院長が姿を現したとき、事件は真に変転する。
タタリじゃー!! これはタタリのタタリじゃーー!!
前回のアインナッシュに引き続き、月姫要素満載でお送りしております、ってなもんでいやまじで遠近で言うならばモロにFateの作品群の一角でありながら、本作最近月姫感がたっぷりなみなみと注がれていて、長らく摂取していなかった月姫成分を堪能しまくれて、ちょっと法悦ですのよさー。
そもそも、今回のグレイの故郷の村というのも、余所の土地から隔絶され独自のルールが課せられていて謎めいた秘密が隠されている、という時点でサスペンス感満載だし、そこどこの隠れ里よという感じで、やはり「伝奇」としての特色も強かった月姫っぽいんですよねえ。
そして、その村の中になぜか来訪者として存在している「ズェピア・エルトナム・アトラシア」。なんか外から来た人が他にもいるってんで会いに行ったら、これが居たとかすんげえビビるんですけれど。しかも、喋る内容がまたアレ極まってるのである。
このFate世界におけるズェピアはタタリ化していない……本家月姫世界。彼が登場する「メルティブラッド」においては彼ってタタリという現象と化してしまっている……のですが、そう言えばアトラス院の院長たるアトラシアの名を冠したズェピアって、生きてりゃ大昔の人だったんですよね。それが今登場してくるとなったら、そりゃ生きた人じゃないわなあ。
まさか、こっちでも死徒化していたとは。しかも、しゃべる言葉の異質さよ。
凄いよね、ここまで頭の構造、思考回路の常人との違い、というか人間から逸脱してしまった、ライネス曰くの「計算の権化」という存在の異常性が、完全に伝わてくるこのキャラの描き方ですよ。狂気とはまったく違う、合理と計算の究極の結果が、すなわち狂気の産物めいた有様になってるこれですよ。
現象化していないとはいえ、これなんかもうタタリと変わらないんじゃないか、とすら思えてくる。半年経って再び今度はグレイ連れて訪れた村が、異様なことになっていて、しかし同じ場所にまったく同じように彼が存在しているのって、なんかもう怖かったんですけど。
アトラス院、みんなこんなだったら怖いけど、さすがにこれは切っ先すぎると思いたい。現院長か院長候補であるだろうシオンは、月姫では屈指の穏健派で(他のヒロインと)話の通じる人だったしなあ。

と、ズェピア登場に沸き立ち、さらにはグレイの故郷の村がブラックモア。月姫にては二十七死徒の一角である黒翼公グランスルグ・ブラックモア由来の村だったり、グレイが村を出てエルメロイ先生の内弟子になるまでにいかなる事件があったのか、という情報がいつ出てくるのかと思ったら、故郷の村がなんかタタリの渦中にあるかのような状態になってて、うわーーー、ってなってたらラストにあれですよ、衝撃すぎる展開。まさかの人物の出現にヒートアップなのですよ。
ってかアッドってそうだったの!? あくまで媒体!? それとも当人!?

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