【齢5000年の草食ドラゴン、いわれなき邪竜認定 2.だめだこの眷属、どうにかしないと】  榎本 快晴/しゅがお 角川スニーカー文庫

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水路の町セーレンを発ち、再び魔王討伐の旅に出た邪竜(仮)レーヴェンディアとその眷属の娘レーコ。
しかし彼らが訪れた小国アスガで『邪竜が国王を襲う』事件が勃発!?
もちろん身に覚えなどないレーヴェンディアが出会ったのは、自分こそがアスガ国王であると名乗る謎の女性で……?
邪竜を崇拝する秘密結社や“忌み子”とされる王妹の思惑も絡み合い、今回も邪竜とレーコは大騒乱!?
だからわし、邪竜じゃないんだってば!!!!

今回わりとレーコ大人しかったなー、という読後の印象だったのですが……いや待て、世間一般を鑑みて果たしてこれを大人しいと言っていいのだろうか。ただの「当社比」であって普通に考えたら十分やりたい放題暴れまわっているんじゃなかろうか、という事実に気がついてしまった。
まあ、これで「大人しくなった」と思われてしまうほどに、一巻のレーコのあれやこれやはそれはそれはとんでもなかった、ということなのですが、なのですが。
決してレーコの性質が落ち着いたわけでもないはずなので、それだけドラゴンお爺ちゃんのレーコの操縦法がうまくなった、ということなんでしょうなあ。あれだけ痛い目みたわけですから、たとえお爺ちゃんだとて慣れたり学習したりするのである。
それに、今回は邪竜教団なるレーヴェンディアを崇め奉る宗教団体が登場して、それが危険度こそ極めて少ないながらも、思考の方向性がレーコとえらいシンクロしていたものだから、レーコも同志ともなる集団が現れてご満悦だったですよね。それでか、今回は比較的に穏当な対応に終始していたんじゃないかと。完全に独自の世界観で生きていた娘で他人と、それこそレーヴェンディア爺ちゃん当人とすらまったく噛み合っていなくても全く気にしていなかったレーコですけれど、それでもおんなじ系統の人たちが現れたら、それはそれで嬉しかったんだろなあ。
繰り返しになりますが、危険度に関してはレーコと邪竜教団では比べ物にならない差があるのですが。
邪竜教団の人たちはどちらかというと純朴純粋な人たちであったので、さほど厄介ではなかったのですけれど、今回はそれ以外の主要な登場人物が揃って厄介! 厄介な人種ばっかりだったので、相対的にレーコが目立たなくなっていた、とも言えます。前回はほぼレーコがオールで先頭に立って自分以外のすべてを振り回し倒しまくってましたけれど、今回はアスガのボンクラ女王と野心たぎらせすぎの危ない王妹ロゼッタがそれぞれに三方でやらかし暴れ倒してる上に、大魔導のプラバス公もある意味勝手に暴走してやりたいようにやってたわけで、レーコの独壇場だった前回と比べてやらかす人が多かった分、レーコがおとなしく見えたんじゃなかろうか。魔王軍の偽眷属ともケリつけられなかったところもありますし。
個々の暴れっぷりを見ると、どこが大人しく見えたのか不思議なくらい相変わらずのやりたい放題なのですが。
そして、概ね被害が集まるのが焦点であるところのレーヴェンディアお爺ちゃん。今回なんぞ実際に体張って頑張ってましたものね。御本人からすると、周りから寄せられる期待というものは勘弁してほしいものなのかもしれませんが、実績あげちゃいましたしねえ。なにより、力云々じゃなくその優しい心持ちにこそ、みんな心を寄せてしまったわけですから、なぜかガチで魔王討伐の旅になってしまったのも、まあ仕方ありませんて。
まあ、マジでドラゴンじゃなくてガチの蜥蜴だということが発覚してしまった邪竜さまにとって、この展開ほんまの死活問題なんでしょうけれど。それでもがんばれー、がんばれー。大丈夫、最強の眷属がついているから。それが一番大丈夫じゃないとか言わない。

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