【この素晴らしい世界に祝福を! 15.邪教シンドローム】 暁なつめ/三嶋 くろね 角川スニーカー文庫

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正体とこれからやる事を口外しない。と、魔王軍幹部セレナから身の安全と引き換えに取引をしてしまったカズマ。これがきっかけでアクセルの街は大きく変化する。ギルドの酒を水に変えてしまい、屋敷でアクアが謹慎している間、プリーストとして街の冒険者達を癒しまくったセレナ。おかげでアクアがいなくても街が回るようになり―。
「…私、この街にいらない女神ですか?」
物事を深く考えず、悩みと無縁のムードメーカー。これまで一番付き合いが長かったアクアからの衝撃の一言。持ち前の悪知恵と意地で、女神もアクセルも救い出せ!

なんだかんだと、カズマさんはアクアに甘いねえ。この話はウェブ版でも大変面白かったので覚えているのだけれど、あっちだとアクアもっと追い詰められてたんですよね。かなりガチでいらない子扱いされちゃってたんだよなあ、そう言えば。だからこそ、「私いらない女神ですか?」というセリフがアクアなのにズシンと響いて、カズマさんが本気になっちゃったわけですけれど、こっちだとアクアさんそこまでいらない子扱いされてないんですよね。ちょっと邪険にされたくらいじゃないかな。むしろ、普段の方が自業自得だけれど酷い扱いされてワンワン泣いちゃってたような気もするのだけれど。
だからか、ちょっとアクアが虐められただけでカズマさんが「おうおうウチの駄女神になにしてくれとんじゃ!」となってしまった感があって、カズマさんどれだけアクアにダダ甘なんだ、という体にw
まあカズマさん、アクアに限らず身内がシリアス方面でちょっとでも危うい局面に立たされると即座に動き出してしまうので、アクアに対してのみならず概ねダダ甘やかすタイプな気がします。
それにしても、このセレナさん。今までの魔王軍幹部も大概ひどい目にあってきましたけれど、彼女頭一つ抜けて悲惨なことになっちゃったんじゃないでしょうか。いや本当に酷いw
彼女も彼女で人間なのに魔王軍幹部やっている、という背景からして色々とその人生には物語があるはずなんだけれど、そのへん一切触れられることなく、ひたすらカズマさんの被害者担当に。徹底的に被害にあってます。これまでの人たち、なんだかんだと途中で相手が退避したり公権力が制止したり金銭面でストップが掛かったり、めぐみんやダクネスに止められて、このくらいにしてやろう、で終わったのにセレナの場合止める人が全然居なかったものだから、本当に本当に酷いことになってしまって、いやもう可哀想に……と思わず真剣につぶやいてしまったり。
いやもう本当に可哀想に。
カズマさんてあれなんですよね、敵に回すとタチが悪く味方にするとやっぱりタチが悪い、というそもそも関わること自体が悪手、という疫病神なんだよなあ。それこそ、自身が厄神的な存在でないと釣り合いが取れなくて、一方的に厄が降りかかり続けてしまうような相手といいますか。アクアもめぐみんもダクネスも、余人が関わるとほぼほぼエライ目にあってしまう厄神型ですし。
考えてみると、彼ら相手に大して迷惑らしい迷惑被ってないアイリスって、マジで凄い人材なんじゃないだろうか。エリス様ですら、度々えらい目にあってるのに。
ともあれ、カズマさんを敵に回してしまい、チクチクと嫌がらせ受けてる段階でセレナ、もう大概な目にあってたのに、本番はむしろカズマさんの洗脳に成功して味方にしてしまったときから始まってしまった、というこの顛末。いやもう何度も何度も繰り返しになってしまいますが、これは本当にもう「酷い!」。
マジ泣きしながら逃げ出さなかっただけ、セレナさん根性ありまくります。むしろ逃げてれば良かったのに、と思わないでもない。
その点、王都のクレアとレインは徹底してカズマから逃げ惑い、どうしても逃げられない時は土下座も辞さないあの徹底した態度はこうしてみるとむしろ大変賢い! わりと早い段階でその対応を選んでいるあたり、魑魅魍魎が跋扈する宮廷で仕事しているのも伊達ではないのかもしれない。
セレナの自信の根拠の一つは、あの即死魔法だったんだろうけれど……それ、一番カズマさんに効かんやつや! ってか、めっちゃ効くけれど、すぐ帰ってくるから意味ないやつや!

なんだかんだと、初心者の街に居座り続けてはや15巻。時々他の街に遊びに行ったりもしたけれど、基本的に居を移さず引きこもり続けているにも関わらず、なんだかんだと魔王軍の幹部を何人も倒したりもしてしまってるわけだけれど、いい加減知らんぷりもできなくなってきたんですよね。ってか、世界のマジピンチである。原因→カズマさん。となれば、この男、やる気はないけれど責任感なのか小心者だからなのか、こういうケースでは知らんぷりも出来ないんですよね。おまけに、アクアが勝手に動き出したとなると、結局保護者役からは目を背けられないので……背中を蹴飛ばされるようについに最終局面へと突入になるのでしょうか、これ。

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