【ラストエンブリオ 4.王の帰還】 竜ノ湖太郎/ももこ 角川スニーカー文庫

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人類の未来に“退廃の風”が吹き始める――。シリーズ待望の最新刊!!

いよいよアトランティス大陸に到着した焔たち。白夜王と黒ウサギによって新たなゲームルールが説明されるが、彩鳥はかつてのように戦えない自分の不甲斐なさに不安を隠しきれなかった。一方、廃滅者パラシュラーマとの死闘の果てに、十六夜は再び箱庭に帰還する。どうにか焔と合流する十六夜だったが、そこに“ウロボロス”の刺客が現れ!? やがて告げられる衝撃の事実。焔と十六夜の運命が決する時、再び“絶対悪”の御旗が揺れる!
これは無理ー! 人類史消滅のお知らせー! これはあかんわ、人理焼却とかポールシフトよりもこう、ダイレクトにダメかも知らん地球。むしろ、ここから地球を守る手段があることの方が信じられない。まさに神の配剤である。実際には、神はそういう関与の仕方はしていないのだけれど。むしろ、既にあった材料を無理矢理にでも手繰り寄せて実現させようとしてるんだよなあ、これ。
そうか、それが「理由」だったのか。
ウロボロス側のなんか、人材というか所属している人たちの思想や属性というのがものの見事に雑多でまとまりがないに等しいにも関わらず、肝心の「目的」に関してはどうにも一致団結というわけじゃないけれど、ブレなく目指しているっぽい様子がどうにも不思議だったんですよね。どう考えても、かつてのカナリアや今の十六夜たちを裏切って向こうにつくとは思えない人たちまで加わっていたわけですしね。ジン・ラッセルくらいだとなんやかんやと思惑抱えて動いてそうなんだけれど、そういう裏表のなさそうな人たちまであっちに居るケースもあったもんなあ。

でも、これが「理由」だとしたら、どれほど後悔し苦しむことになろうと、大事な人たちを裏切ってでも、その選択をしようという人たちも出てくるわなあ。
でもそれは「悪」なのである。
許されざる悪なのだ。それを選択することは、人類が悪そのものへと染め上げられることになる。再び人類は現在を抱えることになる。
それを人類が選択しようとしているのを、そりゃ人類の正義を誰よりも信じているからこそ「絶対悪」の御旗を掲げたあの方がそれを許せるはずがないわなあ。
しかしそうかー、焔がその対象だったというのも、閣下の在りようと焔が行うはずだった未来の罪を説明されたらなるほど、と思わざるを得ないんですよね。まさにその在りようは重なっているのか。
どうもウロボロスの側でも、なんか妙な動きをしている連中がいるようで、世界の危機を救うためというお題目とは別の目的で動いているっぽいんだよなあ。ってか、露骨に退廃の風とか匂わせてるんだけどそのままなのもしかして? 
ともあれ、世界を救う手段そのものは提示されたものの、どう見てもそれって無理ゲーなわけで、なにをどうやったらこれ実現できるんだ? 少なくとも、現在の十六夜と焔の持っている能力と伝手だけじゃ絶対無理なんだよなあ。箱庭世界に来たことじゃなく、そこで出会う人たち、違う時間軸の人たちとの出会いこそが重要だったのか?
なんかさらっと、今まで伏せられ続けていたノーネームの前身である滅びたコミュニティーの真名までさらっと明らかにされちゃいましたし。あれって、名前が喪われたことが本当に重要で、だからこそ今の今まで絶対に誰もその名前を口にしなかったのに……その名前を言っちゃったってもしかして本当にヤバイことなんじゃないだろうか。
十六夜の原点、生涯の親友との出会いと別れの話によって、このぶっ飛んだ男の類まれなる理性と価値観の根源を目の当たりにしたわけですけれど……やっぱり凄い男だよなあ、こいつ。アジ・ダハーカ閣下の目は決して曇ってはいないと思う。力を振るうその方向性が実に極まって格好いいんですよね。その意味では、かの大英傑ヘラクレスもまた見事な格好良さで、もう思い描くべき英雄ってこういうのですよね。
世界を救うための大きな正義ではなく、か弱い助けを求める声に応えるその姿にこそ、震えるような熱さを感じるのである。打ち勝つべき困難とは、きっと理不尽というものなのだ。十六夜は、まさにその理不尽と戦うために、そこに宿った力を奮っていた。その極限が今ここに試されている。
色々とバックグラウンドが明らかになって、ようやくすっきりとしてきた。一方で障害となるあれこれの高さが成層圏貫いていて、これほんとどうすんの!?という有様なのだけれど、いい加減十六夜くんだけではイッパイイッパイになってきたので、次で他の問題児たちとも合流するんですよね? やはり三人揃ってないと、こういう絶対無理の壁はダイナミックにぶっ壊せない気がするのであるが故に。

シリーズ感想