第10節「妖眼」から第15節「皇女アナスタシア」まで。

一方的に搾取される側の叛逆として集った叛逆軍でありながら、枯渇した食料を補うために皇帝派の都市から物資を奪う作戦を選ばなくてはならなくなった、という矛盾。
いや、当事者のヤガたちからすれば正当な報復になるのかもしれないけれど、サーヴァントたちからするとこれは苦痛にすぎる問題だ。それでも、その選択を取るというところにアタランテの覚悟が見える。
さて、覚悟なのかバーサーカーゆえのブレーキの緩さなのか、アタランテゆえの子供たちを守るための執着なのか。それでも、自身に確信を抱けずずっと迷いを抱えたまま、というのがこれまでの特異点でのサーヴァントたちと違うところだなあ。
敵の首魁の一人であるところのアナスタシアも、また奪われたもの。奪われ尽くしたものと言っていい。ここは、奪われた者同士がさらに奪い合って滅び合う、まさにこの世の地獄のようなありさまだ。
そんな中で、アナスタシアのためと割り切って護るため、彼女に取り戻させるために選択を終えているカドックくんは、この世界の中でもっとも覚悟しきった存在なのかもしれない。
未だ、どうすればいいのかわかっていないぐだ子たちと比べても、たとえどんな峻厳な鋭峰の切っ先であろうと足元はしっかりしていると言っていい。
ともあれ、こちらとしてはその足元を定めるための世界に対する情報そのものに欠けていたが故に、サリエリさんの参入と異聞帯という情報は確かな足がかりとなるのでしょう。
もっとも、その先は希望のない絶望の開示に過ぎないのかもしれないけれど。

そんな中で相変わらずアヴィケブロン先生が便利すぎる。あの虐殺のはじまりを食い止められたのって、アヴィケブロン先生でなかったらどのサーヴァントでも難しかったんじゃなかろうか。
そんな先生が人間嫌いというのは皮肉な話だけれど、人間嫌いであるが故に破綻してしまった生前時や、もしかしたらアポの際の失敗を反省して積極的に交流を持とうとしているのなら、サーヴァントが成長しないって嘘だよなあ、と思ってしまう。
このアヴィケブロン先生はアポの時のこと覚えてるっぽいんですよね? 先生と呼ばれる資格がない、と悔いを込めて語っているのを見ると。

サリエリ先生の方は、てっきりずっと敵側だと思ってたら汎人類側だったのか。あっさり洗脳からとけてこっちの味方になってくれるとは思わなかった。というか、こんなにすぐに正気に戻ってくれるとは。アヴェンジャーは決してバーサーカーではないんだよなあというのを納得させてくれるものである。
それでも、譲れないもの決して許せないものを抱えているのが、アヴェンジャーでありその一点に関してはどんな論理も理性も通用しないのだろうけれど。
しかし、素の霊基アンデルセン並なのか。というか、アンデルセンってサーヴァントの中でも最低レベルなのか。