【ラストラウンド・アーサーズ 2.聖女アーサーと赤の幼女騎士】 羊太郎/はいむら きよたか 富士見ファンタジア文庫

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「5000万あったんだぞ、どうしてそれが0になってんの!?」
“アーサー王継承戦”に備え、一緒に住む提案をした凛太朗に、瑠奈はあろうことか凛太朗の全財産を使い込み屋敷を買うという相変わらずのロクでなしっぷりを発揮する。そして出会う次なるアーサー王候補は―
「師匠!お久しぶりです」
凛太朗がかつて戦い方を教えた弟子のエマ=ミシェーレ。エマに仕える“騎士”ラモラック卿の圧倒的な実力に劣勢を強いられる瑠奈は
「貴方、凛太朗の身請けにいくら出す!?」
まさかの保身と金儲けに走り始め!?納得できないエマは瑠奈と凛太朗を賭けて、王としての器を勝負することになり―。
ガウェイン、掛け値なしのクズじゃねえか!! これが本作ではなく、原作のトマス・マロリー版アーサー王伝説のエピソードなんですよね。
騎士とは!? 騎士とは!? ただのチンピラの所業じゃないですか。これ、モードレッドが加わっているのはともかくとして、さり気なくアグラヴェインまで参加してるのがこやつ……って感じで。
ってか、ガウェイン兄弟こうしてみるとみんなろくでもないな!!
とまあ、ここのマーリンこと凛太郎に敵視され、生前の所業からラモラック卿に八つ裂きにされても飽き足らないほど敵視されちゃっているガウェイン卿だけど……どんまい!
今世ではヘタレな部分もあれこれ見せていますが、なんだかんだ頑張ってますし、頑張ってますよね!? 今回、マスターのフェリシアと小物というかオマケ扱いを終始されながら、何気に美味しいところをたくさん持ってったこの主従コンビ、結構好きです。ってあ、フェリシアってラモラック卿とかからもまったく眼中にない扱いをされてたのに、すげえいい仕事してたじゃねえですか……。
本格的に何もしていなかったケイ姉ちゃんが、メンタルやばくなるくらいにw

それはそれとして、ラモラック卿である。ガウェインがやらかしたせいで知名度超低い、という話で実際自分も全然知らんかったです。昨今超有名なFGOは勿論として、それ以外の円卓騎士団をネタでもなんでも取り扱った作品の中でもちょっと覚えてないんですよね。
しかし、その実力はランスロット卿と伍する騎士団最強の騎士でもあったということ。そうなのかー。
まあ、最強にも関わらずあんな殺され方されたらなあ。
はいむらー氏の描くラモラック卿は、なんというか表紙見たら一発でどんなキャラかわかるような見事なデザインてか佇まいで、ちょっとおっぴろげすぎじゃないですかね!? 体型的には確かに幼女かもしれないけれど、あの態度と言い妖艶さといい雰囲気的には幼女っぽさ欠片もないんですよねえ。
実際、あの倒錯した性格は幼女という特質を完全に塗りつぶしていますし。まあ、幼女だからこそアレさが引き立つのかもしれませんが。

ガウェインの強烈すぎるエピソードと、ラモラック卿の強烈すぎるキャラクターにエマの強烈すぎる境遇を目の当たりにすると、凛太郎と瑠奈って全然外道でもゲスでもないよなあ、と思ってしまいます。というか、普通にいい奴らなんですよねえ……アホだけど。特に瑠奈、アホだけど!
瑠奈は瑠奈なりにアホなりに、凛太郎振り回している方がやっぱり似合います。凛太郎の方の言動に瑠奈が振り回される方になるとなあ……アホが際立ってしまって、なんかもうこの娘誰か介護してあげて! と言いたくなってしまいます。ケイ姉ちゃんだと全く役に立たないし、フェリシアもこういう場合完全に賑やかしも良いところなので、やはり凛太郎にその御鉢を受け取ってもらわないと格好つかないや。でも、だからこそこの二人のコンビは様になるのでしょう。
エマは、素材としては良いところついていたのかもしれませんけれど、なんせ境遇からくる性質が完全にぶっ壊れちゃってましたからね、まずもって土俵に上がれてなかった、というべきなのかもしれません。それを理解していた凛太郎と、アホなので全くわかってなくて独り相撲していた瑠奈とで、まあ見事にすれ違ってしまったのですが。
むしろここからリハビリして立て直したら、エマの出番は周回遅れであろうと回ってくる可能性はなきにしもあらず、と期待したところ。ほんと、素地はピカイチなだけに。

しかし、いきなり円卓一位のランスロットとここで二位のラモラック卿をだしてしまって、後の騎士は実力的に大丈夫なのか!? と言いたいところだけれど、何しろ多士済々なのが円卓騎士団。強い云々は置いておいてもアレなのがまだまだ居るだけに、むしろこれから一筋縄ではいかなくなるかしら。

一巻感想