【百神百年大戦 2】 あわむら 赤光/かかげ GA文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

雌伏の時に終わりを告げ、神々の戦いへと再びその身を投じることになった《剣》の神リクドー。
新たな龍脈の地で契約を交わす巫女は――
「ワンコ! このペロリストめ! 」
リクドーの頬を舐め回す甘えたがりな犬人間族の少女ラランという。手強いライバル出現でミリアは内心穏やかではない!?
リンスク地方を巻き込んだ両巫女の対決に発展しかけるも、共にリクドーに見初められし最高の巫女同士、本当の『敵』を見誤りはしなかった!

リンスクの地に迫る三柱の悪神たち。宿敵ミヒャエルがついに一大侵攻を始め、その軍団をリクドーは迎え撃つ――!!
最古の少年神が征く神による神殺しの物語、第2弾!!
相変わらず庶民的なお姫様、というよりも商店街の看板娘みたいなお姫様である、ミリア。この元気いっぱいテンションあげあげなのがいいんですよね。もうちょいエンジンの回転落とせば、と心配になるくらいガンガン回しまくってるお姫様で、わりとチョロいというか乗せられやすいのが玉に瑕なんだけど、それもまた魅力なんですよねえ。これでアホの子だったり変な暴走するタイプだったりすると迷惑な子になってしまうのですが、ミリアの場合はガンガンぶん回すわりに視野も広くて肝心のところで立ち止まってグルっと周りを見渡して大事なところは見失わずに鋭く見極める子なので、その突っ走り方も安心して見ていられるのである。パワフルでありながら非常に聡明、というのだろう。
今回だって神様任せにせず、起こったかなり面倒な問題を自力で解決してるんですよね、この子。リクドーはどれほど親しみやすい存在であっても神である以上、その発言は絶対のものになってしまう。感情面でも論理面でも正しい結論だったとしても、上から与えられた結論には問答無用で抑え込まれて頭をさげなくてはいけなくなる。全部自分でなんとかしようとしていた時代のリクドーは、それで多分に嫌な思いをするに至って隠遁のような状態になってしまっていたわけで、今回の問題は再びその引き金になりかねなかったわけだ。それを、ミリアは人間だけの力で解決してしまった。神の権威を借りずに、である。リクドーにとって、それは自立した人格として自分と対等に付き合おうという姿勢なんですよね。それがどれほど好ましくあるか。新しい巫女であるラランからしても、快刀乱麻を断つように自分を取り巻く問題を解決してしまって自分を護ってくれたミリアは、敬愛すべき神様なリクドーを介在せずとも、ミリアだけで大好きなお姉さまになっちゃったわけで、この人誑し神誑しなお姫様め、という状況なんですよねこれ。
リクドーを最大のライバル視している敵サイドからしても、リクドーの動向をばかり注視していたら、全然眼中になかった人間のお姫様に策謀をひっくり返されてしまったわけで、まったく予想外だったわけですなあ。その仕掛け人たる月の女神は、自分のちょっかいを蹴っ飛ばしてしまったバイタリティが過剰にあふれているミリアのことをそりゃもう気に入ってしまったわけですから、リクドーが言うようにミリアという少女の性質は、神様からもモテモテになっちゃう類の快なんだろうなあ。クレスの顛末もあれ、リクドーがどうのというだけじゃなくて、ミリアにちょっかいかけたいというのが大きな動機になってそうだし。
まだちょっとミヒャエル陣営の動きが派手なわりに内実があんまりないというか、埋伏の毒にしてもそこで明かされるの? という効果がよくわからない段階での暴露で、ミリアの目立ち方に比べて神様の陣営同士のバチバチとした相対や、クレスやラランという他のヒロインの存在感の見せ方も若干弱かったかなあ、と思う部分もありました。ミリアのリクドーへの接し方も、そのパワフルなキャラのパワーの部分だけでぶん殴ってるような荒っぽさがちょっとどうか、というようなところもありましたし。取りも直さず巫女さん三人揃っての姦しさが、これから全体を盛り上げていってくれればいいのですが。

1巻感想