【第六皇女殿下は黒騎士様の花嫁様 1】 翠川 稜/赤井 てら ヒーロー文庫

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天使のような王女が降嫁された相手は強面の騎士!? 恋には年の差も身長差も関係なし? あま~いラブコメディが登場!

リーデルシュタイン帝国は隣国との戦争に勝利し、戦勝の式典のために慌ただしい時を過ごしていた。そんな中、第六皇女であるヴィクトリアは父である皇帝より、先の戦争で武勲を挙げた第七師団師団長のアレクシス――通称「黒騎士」に降嫁させると告げられる。
ドラゴンすら屠ると言われる剣の腕に加え、その鍛え抜かれた大きな体躯と厳しい風貌は、令嬢なら顔を見ただけで泣いて逃げ出すと恐れられている黒騎士。
対するヴィクトリアは16歳という実年齢に反して、10歳程度の子供にしか見えないほどに、幼くあどけない少女だった。
政略結婚にしても可哀想だと、周囲は結婚に反対するのだが、当のヴィクトリアは何故かアレクシスとの結婚に前向きなようで――。
女の人が泣いて逃げ出す強面って、まだ今の年齢(28歳)と師団長という立場故の貫禄でまだ格好がつくけれど、まだ何者でもなかった少年時代から女性に逃げ回られてたのなら、そりゃ思春期の繊細な頃の内面ズタズタでそれを今まで引きずっていた、というのもわからなくない。特に貴族様となれば一定の年齢になれば社交界にもデビューしないといけないわけで、惨劇が容易に想像できてしまう。
ただまあ、この国の貴族のご令嬢たちと来たら軟弱ですよねえ。強面ならまだましで、ブクブクの脂ぎった肉塊みたいな狒々爺にだって相手が偉い貴族だったりしたら問答無用で嫁がないといけないケースだって珍しくもないでしょうに。まあ、アレクシスの家が拒絶しても許されるだけの家格だったと言えばそれまでなんだけど、思いっきり悪役令嬢な役割が振られて思いっきりその役割を果たしまくってるイザベラ嬢が、なんだかんだと全く怖がりもせずにアレクシスにちょっかいを掛けているのを見ると、このクソ雑魚お姫様に根性で負けてるこの国のご令嬢方と来たら、と思ってしまいますがな。
まあ、イザベラ嬢は根性がある云々ではなく単なる無神経と考えなしゆえにアレクシスの強面に反応していないような気もしますが。
それにしても、このイザベラ嬢ってどういう立ち位置なんだろう、物語的に。ヴィクトリアのライバルというには、あまりにもあんまりなクソ雑魚っぷりですし、アレクシスとの間に割って入ることもまるで出来ていないわけで、そのくせアレクシスとヴィクトリアが直接関与しない場外ではやりたい放題やり倒して悪評ばかりは盛大にトロフィーの如く勝ち取りまくってますし。いや、なにしに現れてるんだ、このキャラ。彼女の起こしたトラブルの影響が回り回ってヴィクトリアたちが介入して解決する問題に発展しているのは確かなんだけれど、えらい遠回りと言えば遠回りな関与しかしていませんし。というか、敗戦国の人質同然に来た人間にこんな好き放題させて、帝国としても威信の問題とかあるんじゃないだろうか。いい加減、誰か偉い人ビシッとなにかしないと。
肝心のヴィクトリアとアレクシスの関係は、アレクシスが女性に対する自信のなさから及び腰なんだけれど、ヴィクトリアが積極的な分変にこじれることなく順調に進展していて、殆どノープロブレム。わりと16歳だけど10歳ぐらいの容姿でしかない、というのは難しい問題をはらんでいると思うんだけれど、アレクシスが及び腰な分婚約者というよりも姫に仕える騎士として振る舞うことで何とか自分を保とうとしているので、見た目もギリギリセーフになってるんじゃないでしょうか。28歳のいい男が10歳の女の子に本気で愛をささやくというのは、なかなか犯罪的な構図になってしまいますしねえ。まあイケメンならそれも許されてしまうのでしょうが。
それでも、王族として統治者しての資質を多分に見せつつ、年頃の女性として花嫁であることを公に、そしてアレクシスにも直接にアピールしてみせるヴィクトリアに、事態についていけていないアレクシスも段々とああこの人と自分は結婚するのだ、という自覚が芽生え、尊崇と敬愛の中から親愛とそれ以上の萌芽が育ち始める姿には、なんともときめきのようなものを感じる次第であります。
強面のおっさんにときめいてどうするんだ、と思わないでもないですがそれもまた良し。