【シキガミ×クエスト 異世界のモンスターを式神にして強くなる】 ヒツキノドカ/柴乃 櫂人 角川スニーカー文庫

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妖怪と契約して自らの力とする“式神使い”。その末裔・水門アキラは、天才である幼馴染と比較される日々を送っていた。対抗心を燃やして修行するも、妖怪の減った現代では強くもなれない―はずが突如妖怪(モンスター)溢れる異世界に転移!?出会った健気な冒険者・リーシェの案内で異世界を探索するアキラは、現代仕込みの荒業で次々とモンスターを討伐→契約し、成長していく。そして遂に幼馴染に匹敵するほど強力なモンスターと対峙した時―アキラは立ち塞がる全てを超え、不遇な過去に逆転劇をもたらす!!スニーカー大賞“優秀賞”受賞、いずれ最強へと至る式神使いの異世界冒険ファンタジー!!

あらすじが微妙に事実と違うような気がする。この主人公、確かに妖怪→モンスターを倒して契約して式神にして、その能力を利用した力を使えるのですが、折角異世界に来て地球にはいない多種多様なモンスターと遭遇するんですけど……全然契約しないんですよね! なんかえらい選り好みして、弱いモンスターとは契約しないとかいうスタンスなんで、結局元から契約していた雷獣の式神の能力を使うばかりで、色んなモンスターゲットして、色んな能力を次々と覚えてそれを使って様々な場面に対応する戦闘シーンが、なんてのを期待していたので盛大に肩透かしを食らってしまいました。
陰陽師要素も殆どなかったしなあ。元から強かった、というアドバンテージはあっても異種格闘戦みたな面はあんまり感じられなかったですし。符はどうした、符は。なんか途中、符術云々の話が出たのに結局使ったっけか?
天才で人格的にも優れていて非の打ち所のない幼馴染に対抗意識を拗らせてついには異世界にまで来てしまった主人公。と言っても、アキラ自身決して弱くないどころか優秀な部類の式神使いなので、なんでそこまで陰口叩かれるのか不思議なところではあるんですが……これ、能力の問題じゃなくて当人の性格の問題じゃないのか、これ? と思いたくなるほどに、目的のためなら周りを顧みないんですよね。いや、もうちょっと考えようと、と言いたくなるほどに。異世界に偶然とんでしまった際にも、地球には居ない妖怪の存在に浮かれてよっしゃー、ここで強力なポ○モンゲットだぜとはしゃぐばかりで……帰る方法についてはまったく考えてないんですよね。いや、ここで強くなっても帰る方法がなかったら意味ないじゃん、と思ったんだけど、全然心配も方法を考えることもなく放置。
そもそも、式神対決のみならずあらゆる勝負で負け続けているにも関わらず、強い式神ゲットすれば勝てる、と思ってるあたり浅はかというか、視野狭窄というか、ああもうこれ絶対勝てないですよね、って感じなんですよね。
こういうキャラって、主人公というよりも序盤に最強キャラに対抗意識燃やしてるけれど、ポッと出の脇から現れた主人公にけちょんけちょんにやられてしまい、より強い武器とか能力とかを無理やりゲットして再戦してきて、やっぱりけちょんけちょんにやられて潰れたところを、黒幕みたいなのに利用されて闇落ちする序盤の中ボスキャラみたいなキャラクターな気がするw
ただ、最終盤になってようやくアキラも自分のこと、目的のこと以外にも目が行くようになるんですよね。
リーシェという無能だけど根性だけはあるヒロインの姿に、飽きなく勝てない幼馴染に挑み続ける自分の姿を透かし見て、自分にとって譲れないものに固執し続ける彼女に共感を覚えて、彼女の成長に手を貸すことになるのである。
彼に必要だったのは、そんな他人を顧みる余裕、というものだったのではないだろうか。最終的に、アキラは自分ひとりの力で全部やろうとするのではなく、リーシェに力を借りるという形で他人と協力して事を成し遂げる、という経験を得ることになる。
強力な式神を手に入れる、という最初の目的は達せられたけれど、彼の成長というのはそういうところじゃないんじゃないのかな、この場合。
そうした自身の在り方が変わることで、幼馴染に勝つ、ということの意味が、負けないということの意味が以前と変わっていることを願うばかりである。周りからの目も、今の彼ならもうちょっと変わりそうだし。