【嘘つき戦姫、迷宮をゆく 4】 佐藤 真登/霜月 えいと ヒーロー文庫

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縦ロール(物理)で闘う熱血ファンタジー第4弾。最愛の妹分がパーティを抜けた理由とは? クランバトルで仲間を奪還せよ!

五十階層の試練を突破したリルドールだったが、コロネルの突然の脱退によりパーティは一時解散状態になってしまう。現在東の迷宮では、五十階層以下が開放されたことで、普段は南の迷宮で活動しているクラン『栄光の道』が東の迷宮に参入し、『道化猿』率いる中級冒険者達と資材の利権争いが起きていた。
ヒィーコ達にとって普段ならば興味がない話題だが、『栄光の道』――そのクランこそが、コロネルが移籍したクランであった。ヒィーコとムドラはコロネルの真意を確かめに、『栄光の道』の元へ向かうのだが――。
コロネルの脱退で腐れワカメになるリルさま。腐れワカメw
コロに見栄を張ることで自分を支えてきたリルさま、その芯棒であるコロが居なくなるだけで腐れワカメになってしまうのかw メンタル弱々の根性なしなのみんなに知れ渡ってるなあ。それにしても酷い腐れワカメである。ってかもはや縦ロールが触手みたいになってるんですけど! 縦ロールを武器に、って最初はまだこうちゃんと(物理)みたいな感じだったのに、最近もはや縦ロールとは?という概念崩壊を交えながら物理の範疇逸脱しつつあるんじゃないですかね、その縦ロール!!
あと、こう言っちゃなんですけど、コロの髪型ポニー縦ロールよりも普通のポニーテールの方が圧倒的に似合ってますよね。コロナってわりと真っ当な英雄だったんだよなあ。
それに比べて、コロネルは容姿からその甘ったれた性格に至るまでどうしてこうなった、という有様で。コロナがお姉ちゃん主張するのもよく分かる。コロナの場合は、リルを甘やかしてくれそうな妹になりそうですけど。
ともあれ、腐れワカメと化していたリルドールがちゃんと一人で復活出来たのは偉かった。一人と言っても、ある人の声援を受けたからなのだけれど。あの人はリルにとって強さというものに対する指針を与えてくれたという意味で、コロと違う今のリルの根幹を形作った人なのだろう。コロに対する見栄だけではない、リルドールという少女の偽物でも嘘でもない本物の強さを育ててくれた人なのでしょうね。
彼女を人間としてダメダメなクソ雑魚お嬢様時代からずっと間近で見続けて、結局彼女を変えることが出来なかったアリシアとしては、リルの成長には思うところというか忸怩たるものがありそうですけど。
でも、アリシアの思考を追っているとこの侍女ってかなり甘やかし体質っぽいんですよね。というか、わりとお嬢様のダメなところを愛してたんじゃないだろうか。危ないことはしないで欲しいという願いはよくわかるんですが、どうにも自分がこのダメダメお嬢様を保護して囲って面倒見続けたいというかなりアカン嗜好みたいなものがちらほらと垣間見えるようなw
まあちゃんとリルの成長を喜び、自分の手元を離れていくことを寂しく思う健全な考え方の方がメインを張っているので大丈夫そうですが。

さて、リルの奪還のためにクラン・バトルを挑むという方法を取ることになったために、急遽幾つものパーティー、というか十人のメンバー登録が必要になるクランを設立することになったリルドールたち。
ここでそれまで仲の良い友達という体だったカスミたちと本格的に合流することになるわけで。カスミたちのパーティーの男連中の扱いが相変わらず雑なのがなんかかわいそうでもあるんですが。
ってか、ウェブ版ではもう少し必要人数少なかったんですよね。ムドラは存在自体なかったですし。さらに、道化猿という中級冒険者たちのクランも書籍版からなので、当然フレーズも居なかったんですよね。道化猿自体が思いの外物語上でも重要なポディションを担い続けていて、これがちょっと驚きだったんですよね。フレーズという有望株の参入もそうなんですけど、それ以上にモーメツのおっさんが夢破れてなお夢を追う若者たちを支える大人という枠で色んな所に影響及ぼしてるんですよねえ。てっきり、リルたちの通過地点の噛ませ犬ポディションかと思ってたのに。
何気に、ウェブ版とのストーリー上での改変点でも大きな役割を担ってますし。クグツさん、ある意味自分と似ていると自身で認めているモーメツが居なかったら、フクランとエンジュという仲間たちが居てもダメだったんじゃないだろうか。我が身を省みる、というのは本当に難しいことだから、フクランたちが自分の傍らに居ることの意味ですら、気づかないまま終わったかもしれなかったので。
これ、変わった内容で一番救われたのフクランさんかもしれんなあ。あの人、一番大変な役目背負わされることになってたわけですし。クグツの話を聞いていると、フクランのキャラクターって他人に責任を追うことを好むタイプとは程遠いみたいだったわけですから。

クラン同士のこの大人数同士のぶつかり合いというのは、やっぱり燃えるものがあります。ってか、リルドール多脚歩行モードのやりたい放題っぷりはどうしようもなく面白い。
それ以上に、今回はカスミパーティーの本格大暴れ。そして伝説の「不死鳥」エイスの覚醒回ですからね。何気に、今回のエイスの扱い方でウテナが別の意味で目覚める萌芽となってしまった気もするがw
でも、ウテナの魔法ってあれ何気に尋常ではない特殊系ですよね。魔法が発現してそれほど経ってないはずなので、なるほど将来的にこれは伸びるよなあ。
エイスはエイスであれまた別次元なんですけど。

コロナは、もう良い娘すぎて英雄なんだからもっとスレてても良かったのに、本質的に彼女もコロなんだよなあ。むしろ、頭の良いコロということで余計に物分りが良すぎたのかもしれません。ずっと先頭に立ち続けた彼女を、リルが受け止めてくれたときにはリルさま身内ごとに関しては器大きいなあ、と感嘆させられました。コロナも嬉しかっただろうなあ。
『無限の灯(ノー・リミット・グロウ)』というクラン名については、掛け値なしにいい名前だと思うんですよね。語音の良さもそうですけれど、リルがその名前に込めた想いがまたいいんです。
自分が輝くだけではない。自分の輝きで他者をもまた輝かせる。リルとコロがお互いの輝きに魅せられて、憧れて、正史にはない成長を見せたように。彼女たちの輝きに照らし出されて、自身の壁を乗り越えて、墜ちた闇の底から抜け出て輝き出した、ヒィーコやムドラ。カスミたち周囲の人々。
そんな無数の輝く灯火を引き連れて、ついにリルたちは迷宮の最深部へ。立ちふさがるは、これもまた伝説。史上最悪の英雄クルックー・ルーパー。
物語の中でもっとも魂震わせる戦いの開幕である。勇んで待機、待機ぃぃ!

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