【スキだらけ女教師と異端生徒〈イレギュラー〉 ―斬影桜花―】 亜逸/はる雪 富士見ファンタジア文庫

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世界有数のスキル専門校・角宿学園に通う乙姫優人は、攻撃スキルの適合率が壊滅的で、防御と回復しか能がない異端生徒。そして新任教師・夜々木結々は、対スキル戦闘学の担任なのに、適合率ゼロでまさかの無能力者!?だが優人だけは、結々の秘密―かつての争乱で最強の英雄となった『零姫』としての過去を知っていた!!今度こそ、この手で結々を護りたいと決意した優人は、彼女と二人っきりの特訓を開始するのだが?
「せ、先生と生徒で恋愛できるわけないじゃないっ…!」
いつの間にか特別な関係に!?二人のイレギュラーが学園を襲う脅威に挑む、禁断の学園スキルバトルアクション開講!!

スキだらけって、無防備で脇が甘いってことですか!? それは確かに隙だらけ。そりゃね、無防備に胸の谷間からブラチラしてくれたり、ストレッチで胸押し付けられたりしたら男の子はたまりません。この主人公、乙姫くんはそのあたり思わず逃げちゃうような草食系ではなくガッツリガン見して、じっくり胸の感触を味わってしまうような健全な思春期男子なので、こやつ女教師を満喫してやがる!?
ただ、それ以外には結々先生、別に隙があるわけじゃないんですよね。無防備である以外にも天然ではありますけれど、卓抜した教える能力や教師という仕事に対する情熱から、傍目には新任教師としては殆ど完璧に見えますし、生徒への硬軟合わせたコミュニケーションはすぐさま面倒くさい性格の生徒も含めてみんなに慕われることになってますし。
まあ、その内面を見ると初めてやる教職に、しかも憧れていた職業について浮かれていたり、自信を持って振る舞っているようでその実戦々恐々、不安たっぷりで、今の大丈夫だったかな大丈夫だったかな?とオロオロしているところなんぞ、初々しくて可愛らしいことこの上ないのですが、そうした内面は見事に隠しきって生徒には接していますからねえ。
ただまあ、その両面が見える読者側からすると、なんだこのかわいい生き物は、ということになるのですが。乙姫優人の幼い子供時代からの一途な思慕と男らしい姿勢に打たれてすぐにぐらついてしまうところなんぞ、えらいチョロいですし。
いやまあ、彼女の境遇からして優人のそれはときめきを覚えても仕方ないくらい威力高かったと思いますけど、その肝心の彼女の境遇が重すぎるんだよなあ。
何気にその境遇に至る結々先生の覚悟の動機が、特定のエピソードじゃなく純然たる彼女の性格に基づくものとなってしまっているので、それは先生自己犠牲が過ぎるよ、という印象になってしまうんですよね。そこまでしなければならない理由が、彼女には見当たらないもの。両親や親しい人を理不尽に失った、という原因はあるにしてもそこから結論に至るまでの彼女の想いの道程が描かれていないわけですしね。
これはある意味、彼女自身よりも彼女の周りの人たちのほうがキツイでしょうなあ。それに、満を持して優人も加わってしまった、と。まあ彼の場合、最後に発覚してしまった彼自身の背景もちょっと重すぎて子供が背負うもんじゃないよなあ、という代物なのですけど。
もう少し頑張ってる人たちは報われてほしいものです。