【絶対城先輩の妖怪学講座 十一】 峰守 ひろかず /水口十 メディアワークス文庫

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『白澤』の脅威は、ついに杵松にまで及ぶ。親友を救うため手掛かりを探す絶対城と礼音は、郊外にある国立文書館へとたどり着く。そこで白澤の正体と目的を知った二人だが、白澤の追手から逃れるため身を隠すことに。しかし、その先にも魔の手が迫る―。白澤に対抗する手段を探し、師匠のクラウス教授や、同じ妖怪学徒の櫻城晃の協力も得る。しかし白澤は絶対城を取り込むべく、妖怪知識の全てを得られると誘惑し…。最愛の先輩を救うため、一人残された礼音は―。

今回の表紙絵の絶対城先輩はいつもにも増して妖しい雰囲気だなあ、と思ってはいたのですが、なるほど今回の話には相応しい姿ではあったんですなあ。
まあ絶対城先輩って各表紙の妖しい怪しい雰囲気とは裏腹にえらい実直な人なんですけどねえ。見た目と存在の胡散臭さはほんと見た目だけで、付き合ってみると不器用だし生真面目だし誠実だし、非常に可愛らしい人だもんな。そういう人だから、礼音みたいな娘が対等にお付き合いできているんじゃないかと思うんですよね。
今回なんぞ特に、礼音の側が弱気になってる絶対城先輩をずっと支えてましたからねえ。
てっきり敵側になってしまった杵松さんがしばらく暗躍するのかと思っていたら、さすがは絶対城先輩、速攻で見抜いてしまうのだからこの人やはり凄い。決して疑り深い人間じゃないのに、誰よりも信頼しているはずの親友が裏切っていたことに気づいてしまうのですから。気づいてしまうからこそ傷ついてしまうとも言えるのかも知れませんが。
でも、バレた途端に杵松さん、キャラ変わりすぎですよ。元の杵松さんの方が泰然自若として何事にも動じず何を考えているかわからないところがあって、でもなんでも出来るし頼もしいしとこの人がラスボスでも黒幕でも何らおかしくないという底知れなさを感じる人だったのに、白澤になった途端にえらい小物じみた言動しだして……杵松さんはそんなこと言わない!w
ただ見知っているどころか信頼している人が次々と敵側に回ってしまうという追い詰められ方はさすがに緊迫感がありました。白澤には社会的に相手を抹殺するような権力も握ってましたし、さすがにあの人が敵に回ったときには人物が人物だけにたまらんものがありましたし。
ただ、今回の一件に関しては弱気になっている絶対城先輩に対して、礼音の方が慌てず騒がずどっしりと構えていて、絶対城先輩の精神的支柱として踏ん張っていたので、追い詰められていたわりには切羽詰まった感じはなかったような気がします。絶対城先輩自身はそりゃもう切羽詰まってましたが。今回に関しては先輩的に打開の手段がなく為す術なし、という状況だったからかもしれませんが。それに、知識に関する誘惑も効いてましたし。
だから、その分本当に今回は礼音が頼もしかったです。全然怯えずパニックにもならず変に気負うこともなく、精神的に参っていた絶対城先輩の解説の聞き役をうまくこなしてストレスもうまく逃してあげてましたし。パーフェクトサポートですよ。
とどめにラストの一本だたら=すいとんフォームでの登場はなんだかヒーロー見参!って感じで実に格好良かったですし。
あの格好というか装いというか装束? はビジュアル的にもキマっていてあれは挿絵がアレば是非見てみたかったかも。
しかし、先輩なんだかんだと全部謀っていたのか、と思ったら全然そんなことなかったのね! 単に衝動的にしただけだったのね!
それだけならまだいいんだけれど、あとでしたり顔で後付の説明を付け加えて知らん顔しようとしていたあたり、この人もう可愛いなあという印象しか出てこないんですけど。

なんか色々と懸案も片付いてしまって、これで締めと言われても不思議ではない終わり方だったのであれ?もしかして完結した!? と驚いてしまったのですがもう一巻出るようでちょっと安心した。もうちょっと余韻に浸りたかったですしね。
次はついに最終巻。結構な長期シリーズになりましたが、どう〆るのか楽しみです。

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